活動レポート~地域から生まれる好事例2010~(抜粋版:愛知)
「愛知発:ピアサポートプロジェクト~がん診断時からのピアサポート・モデル事業~」参加レポート
がん治療体験者にとって、もっとも精神的な負担が大きい時期は「がん告知から治療が始まるまで」という調査結果があります。この時期に、同じがん種の治療体験を持つ「がん種別ピアサポーター」から情報支援を受けることができれば、精神的にも安定し、治療についても理解が深まります。また、患者が同種のがんの治療体験者に学ぶことで、医師とのより良いインフォームド゙コンセントにもつながります。
名古屋市とNPO法人ミーネットが協働で運営する、常設の「がん相談情報サロン」では、半年間のトレーニングを受けた約60名の「がん種別ピアサポーター」が、ローテーションを組んで相談対応や情報支援を行い、がん患者さんの拠点として多くの方々に支持されています。 地域のがん専門医の協力を得ながらサポーターが実績を積む中で、がん種別のピアサポーターのスキルを、がん診断時からの患者教育(支援)に生かしてほしいという医療機関および医師のニーズが生まれました。
がん専門医の理解と協力のもとに「がん診断時からのピアサポート・モデル事業」を実施することで、がんと診断された時点から患者さんの闘病プロセスを支援し、患者さんと医療提供者の双方にとって良好な信頼関係を構築します。
・キックオフとして「がん患者学フォーラム」を開催し、本プロジェクトへのアンケート調査を行います。
・ノート機能を備えた「がん診断時からの患者ハンドブック」と、ピアサポーター用「相談支援マニュアル」を、がん専門医と協働で作成します。
・がん診断時から患者を支援する「がん種別ピアサポーター」養成カリキュラムを確立します。
・モデル的に養成したがん診断時からの「がん種別ピアサポーター」が、医師およびがん相談支援センター相談員と連携し、がんと診断された患者10名をサポートし、サポートシステムを構築します。
・上記の取組みを専用サイトで公開し、新聞等、マスコミでも報道してもらいます。
これらの目標を達成するために、がん患者とその家族、医療や行政に携わる人々、地域の方々とつながりながら本プロジェクトを進めていきます。
・「相談支援マニュアル」により、がん種別ピアサポーターによる患者支援の進め方が明確になります。
・がんと診断された患者用のハンドブック「がんとより良く向き合う」により、患者は自分の治療に必要な知識を得ることができ、安心して治療に取り組めます。
・がん診断時からの「がん種別ピアサポーター」を養成し、がん診断時から患者を支援することにより、患者のQOLを守り、より良いインフォームドコンセントをもたらします。
・モデル事業を通して、エビデンスの伴ったがん診断時からの「がん種別ピアサポーター」の養成システム、患者支援システムが構築され、本事業が成果を生み出すためのベースが確立されます。
・本モデル事業が報道されることにより、多くの市民、医療関係者、行政等に本事業の必要性を訴求できます。
私たちは、地域の皆さんとコミュニケーションの場を設けます。インターネットなどを通して発信される私たちの動向に、どうぞご注目ください。
・2010年2月に、キックオフとして「がん患者学フォーラム」を開催し、本事業の趣旨に関する「患者アンケート調査」を行います。
・3月末までに“がん相談・対応マニュアル”を作成し、ピアサポーター用の「相談支援マニュアル」のベースとします。
・4月末日までにがん種別ピアサポーター用の「相談支援マニュアル」と、がんと診断された患者用のハンドブック「がんとより良く向き合う」を作成します。
・5月~7月に“がん診断時からの「がん種別ピアサポーター」養成講座”を開講し、がん診断時から患者を支援する「がん種別ピアサポーター」を20人養成します。
・8月~11月に、がん診断時からの「がん種別ピアサポーター」が、がんサロンやがん拠点病院で、初診がん患者20人を継続的にサポートします。
本プロジェクトは、私たちが進めます。(かっこ)内は所属を表しています。
・花井 美紀(NPO法人 ミーネット理事長)
・上田 龍三(名古屋市病院局長)
・小松 弘和(名古屋市立大学病院 外来化学療法部部長)
・阿部 まゆみ(名古屋大学大学院 特任講師)
・伊藤 和直(がん種別ピアサポーター)
・大野 裕美(名古屋市立大学大学院 人間文化研究科)
・加藤 美代子(名古屋市立大学病院 がん相談支援センター 相談員)
・田淵 タカ子(名古屋市立大学病院 がん相談支援センター 相談員)
・荒木 宗貴(名古屋市立大学病院 医療福祉地域連携室 担当者)
がん体験者によるピアサポートは診断時こそ重要
がん専門医と連携した「がん種別サポーター」のモデルを作ります
がんの診断を受けたばかりのときには、誰しも不安で、たとえ非常に早期で発見されても、冷静な判断ができないものです。それなのに、短期間で自分の受ける治療法を選ばなければならず、そのときの判断が、予後を左右するといっても過言ではありません。医師は説明してくれているのに、がんの診断を受けた衝撃で理解できず、自分のがんの状況を把握できないままに、セカンドオピニオンを受けて空回りしている方も少なからずいらっしゃいます。
私たちは、2008年から、がん体験者を対象にがん種別ピアサポーターを養成し、がん診療拠点病院や名古屋市と協働で運営する「がん相談情報サロン」で心理的なサポートや情報提供を行ってきました。その経験から、診断時からのサポートが非常に大事だと痛感しています。
モデル事業では、さらに専門的な研さんを積んだ「がん種別ピアサポーター」を養成し、名古屋市立大学病院で実際に、がんの診断時からサポートを行う予定です。そのシステムや成果を学会などでも発表し、医療者にも必要性を実感してもらい、広く展開させたいと思います。がん種別ピアサポーターが、がんと診断された方の学習を助け、医師と患者との橋渡し役となれば、医師が治療に専念できる環境を作ることにもつながるのではないでしょうか。
(花井 美紀:NPO法人ミーネット理事長)
・NPO法人 ミーネット
・がん患者団体支援機構
・日本対がん協会
・日本死の臨床研究会中部ブロック
・東海ターミナルケア研究会
・乳がんの希望会
・がん克服の市民フォーラム
・名古屋市がん相談情報サロン・患者会
・愛知県内がん診療連携拠点病院
・同・がん相談支援センター
・大学医学部(名古屋市立大学・名古屋大学・藤田保健衛生大学・愛知医科大学など)他
・名古屋市健康福祉局
・愛知県健康福祉部
・愛知県医師会
・名古屋市医師会
・愛知県病院協会
・愛知県医療法人協会
・愛知県薬剤師会
・愛知県看護協会
以下の予定でプロジェクトを進めます。
1月 | “がん相談記録”と“患者会記録”の集約、分析 |
キックオフ・ミーティング | |
2月 | 「がん患者学フォーラム」を開催し、本事業へのアンケート調査を行う |
3月 | 「相談支援マニュアル」と「がんとより良く向き合うハンドブック」執筆、編集 |
がん診断時からのピアサポート モデルがん種の決定 | |
4月 | 「愛知発:ピアサポートプロジェクト」ウェブサイトの公開 |
「相談支援マニュアル」と「がんとより良く向き合うハンドブック」制作 | |
5月 | がん診断時からの「がん種別ピアサポーター」養成講座 カリキュラム編成 |
6月 | がん診断時からの「がん種別ピアサポーター」養成講座 開講 |
7月 | がん診断時からの「がん種別ピアサポーター」養成講座 開講 |
8月 | がん種別ピアサポーターによる診断時からのピアサポート活動を実施 |
アンケート・ヒアリング | |
9月 | がん種別ピアサポーターによる診断時からのピアサポート活動を実施 |
アンケート・ヒアリング | |
10月 | がん種別ピアサポーターによる診断時からのピアサポート活動を実施 |
アンケート・ヒアリング | |
11月 | がん種別ピアサポーターによる診断時からのピアサポート活動を実施 |
アンケート・ヒアリング | |
「がん診断時からのピアサポート モデル事業」報告書・検討会議 | |
12月 | 事業の評価 報告書の作成 |
アンケート、ヒアリング結果をウェブサイトで公開 |
本プロジェクトへのお問い合わせは、下記までお願いいたします。
・申請代表者氏名: 花井 美紀
・住所: 名古屋市昭和区天神町3-6-5C
・電話:052-851-7113 FAX:052-851-7114
・E-Mail:hanai@tokai-medi.co.jp
更新日:2011年04月08日
更新日:2011年04月01日