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[がん政策レター 2013/07/02(第98号)]医療を取り巻く環境を把握しておきたい

配信日付:2013年07月02日


━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013/07/02(第98号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

● 医療を取り巻く環境を把握しておきたい

 このところ、医療を取り巻く環境について議論している審議会などの動向を
把握することをずいぶん怠ってしまっていました。少し挽回しなければと、先
の週末に慌てて「にわか勉強」をしてみました。もし、同じような状況の方が
おられれば、お付き合いください。医療の枠組みの今後の方向性に関わる大切
な議論がたくさん含まれているので、無関心ではいられませんね。

 医療を含む社会保障の将来像を議論している「社会保障制度改革国民会議
(以下、国民会議)」は、議論の範囲がおおよそ明らかになってきたようです。
4月22日に、「これまでの社会保障制度改革国民会議における議論の整理(医
療・介護分野)案」が出されています。

 基本的な考え方には、「『いつでも、好きなところで、お金の心配をせずに、
求める医療を受けることができる』医療から、『必要なときに適切な医療を適
切な場所で最小の費用で受ける』医療に転換すべき」「『病院で治す』医療か
ら超高齢化に合った『地域全体で、治し・支える医療』へ転換することが必要
である」などと記されています。また、「医療・介護の提供体制の在り方」「
在宅医療と在宅介護の連携の在り方」「医療関連データの収集・分析」などが、
個別のテーマに上がっています。

 国民会議の資料や議事録はウェブ上に公開されています。中継動画も見るこ
とができます。資料には、日本の社会保障を概観するのに便利なものもたくさ
ん含まれています。国民会議の設置期限は8月21日で、それまでにまとめを出
すことになります。7月21日の参議院選挙後に、実施に向けた具体的な動きが
さらに続くでしょう。いずれにしても、どんな議論が進んでいるのか把握して
おくことは大切でしょう。

 厚生労働省の「社会保障審議会」においても、国民会議の4月22日の論点整
理に対応した議論が進められています。主に医療保険制度体系を審議する「医
療保険部会」では、5月29日に国民会議の論点整理に対する同部会の論点を示
しています。主に介護保険制度体系を審議する「介護保険部会」も、同様のペ
ーパーをまとめています。主に医療提供体制を審議する「医療部会」は6月20
日に開催され、国民会議の論点整理に対応する考えを審議しました。

 来年の春は診療報酬の改定期に当たります。今後、社会保障審議会医療保険
部会と医療部会で審議されて決められた枠組みの中で、「中央社会保険医療協
議会(以下、中医協)」がその中身を具体的に決めていくことになります。国
民会議、社会保障審議会(医療保険部会、医療部会)、中医協の議論はセット
で把握しておきたいものです。

 中医協における一つの注目点は、昨年5月に新たに設置された「費用対効果
評価専門部会」における議論です。いわゆる「医療技術評価(HTA、Health  
Technology Assessment)」の考え方を導入しようとしています。

 HTAは、薬剤や医療機器などの費用対効果を分析します。それを解釈し、さ
らに臨床的、倫理的、社会的な影響を考慮し、評価を行っていきます。海外で
は治療に有効であっても費用対効果が低い場合は、保険診療にならないことも
あるといいます。 日本の財政難のなか、「医療を効果的に活用するためには
必要な考え方」との推進論もあれば、「新しい治療への患者のアクセスを制限
しかねない」と慎重論もあるようです。

 上記に見てきたようなマクロ状況の議論には、財政難と財源の確保、超高齢
化社会の進展への対応など、大きな構造問題が横たわっています。政府は6月
14日に「経済財政運営と改革の基本方針」を示し、改めて「目指すべき社会保
障の規模は中福祉・中負担」としています。日本の財政状況や社会保障費用の
構造は、財務省がまとめた「日本の財政関係資料」で概観することができます。

 患者アドボケート(患者の立場から政策提言する人)としては、こうした社
会環境を踏まえつつ、こうした議論の俎上に上っている課題の解消に資する活
動を含めたり、喫緊の課題に明確なアウトカムをもたらす解決策を提案するな
ど、環境に合った訴求を行っていくことも必要となるかも知れません。いずれ
にしても、政策立案者が現在どのような関心を持っているかを知った上で、患
者・現場の課題解消に有効に役立つ提案をしていくことが、今後ますます重要
となってくるでしょう。国民会議、社会保障審議会、中医協いずれの議論でも、
がん対策に直接・間接に関連するテーマも多数含まれています。

 周りはすっかり参議院選挙モードになってきましたね。各党が順次発表して
いる政権公約(マニフェスト)がどのような医療改革ビジョンを示しているか
も、チェックをお忘れなく。その際、上記の“お勉強”が少し役立つかも知れ
ません。各政党の医療に関する基本的な考えをしっかりと吟味したいものです。

 がん政策情報センターのオフィスでは現在、47都道府県のご協力をいただき、
「都道府県別がん対策カルテ2013」と「平成25年度都道府県がん対策予算」の
取りまとめ作業を行っているところです。完成しましたら、ウェブサイトにて
公開するとともに、このメールマガジンでもお知らせいたします。(センター
長 埴岡健一)

参考サイト

>>社会保障制度改革国民会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/
>>同 審議中継
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/live.html
>>これまでの社会保障制度改革国民会議における議論の整理(医療・介護分野)(4月22日)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai10/siryou1.pdf
>>社会保障審議医療保険部会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f07.html#shingi15
>>社会保障審議医療保険部会における主な議論(5月29日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000003324n-att/2r98520000033289.pdf
>>社会保障審議会介護保険部会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f07.html#shingi43
>>介護保険部会における主な議論
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai14/sankou4.pdf
>>社会保障審議会医療部会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f07.html#shingi28 
>>社会保障審議会医療部会における主な議論
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai16/sankou5.pdf
>>中央社会保険医療協議会総会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008ffd.html#shingi2
>>中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008ffd.html#shingi7
>>費用対効果評価の結果活用について(6月26日資料より)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000332xo-att/2r9852000003331h.pdf
>>経済財政運営と改革の基本方針(6月14日、閣議決定)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2013/2013_basicpolicies.pdf
>>日本の財政関係資料(財務省)
http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_2409.pdf


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔6月25日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html


>>広島がんネット〔7月1日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/

>>佐賀のがん情報〔7月1日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top.html

>>しまねのがん対策〔6月28日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>がん対策〔6月27日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/seikatsu-fukushi/hoken-iryou/kenkouzukuri/gan/

>>ぎふがんねっと〔6月26日更新、岐阜県〕
http://gifugan.net/

>>北海道のがん対策情報〔6月21日更新、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm

>>健康推進課がん対策室〔6月21日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/genre/0000000000000/1238473618657/index.html

>>青森県のがん情報サービス〔6月20日更新、青森県〕
http://gan-info.pref.aomori.jp/public/


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[5] がん対策ニュース

>>乳がん検診「要精密検査」も心理的負担に[6月28日、読売新聞]
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=80443

>>胃ろうや人工呼吸器、7割が望まず...厚労省調査[6月28日、読売新聞]
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=80413

>>患者・家族総合支援センター:全国初、がんセンターに拠点--松山/愛媛[6月26日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/area/ehime/news/20130626ddlk38040464000c.html

>>全国がん登録法案、臨時国会で成立を[6月26日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130626-00000001-cbn-soci

>>四国がんセンター 患者や家族の交流拠点[6月25日、読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ehime/news/20130625-OYT8T00053.htm

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip.html


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2013/07/02(第98号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

住所	   :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
Web	   :http://ganseisaku.net/
	    http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2013 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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