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[がん政策レター 2013/07/16(第99号)]「アドボカシー活動の8ステップ」とは

配信日付:2013年07月16日


━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013/07/16(第99号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

● 「アドボカシー活動の8ステップ」とは

 いま海外のアドボカシーガイドやツールキットを少し散策しています。ウェ
ブ検索で探したところ、たくさんのアドボカシーガイドがあり、類似点も多い
ようです。マニュアル風に作ってありますし、図表が多いので、英語初級者で
もある程度の内容を読み取ることができます。これまで見た中で出色だと思っ
たのは、「行動するアドボカシー~HIV/AIDS対策に取り組む非政府団体・地
域組織を支援するためのツールキット~」という冊子です。世界各地の活動経
験から得られた教訓を凝縮して作られたとのこと。今日は、この冊子で取り上
げられている「アドボカシー活動の8ステップ」をご紹介します。どんな社会
問題の解決にも、有効なのではないかと感じられます。

◎アドボカシー活動の8ステップ
 ステップ1 問題提起したい社会課題を選択する
 ステップ2 社会課題や問題を分析・調査する
 ステップ3 アドボカシー活動の具体的な目標を決める
 ステップ4 ターゲット(働きかける先)を特定する
 ステップ5 資源を特定する
 ステップ6 連携相手を特定する
 ステップ7 実施計画を作成する
 ステップ8 実施し、モニターと評価を行う

 このように分かりやすくシンプルにまとめられています。以下に、それぞれ
がどういう意味か、ごく簡単な解説を試みます。

 ステップ1(社会課題の選択):個人的経験から問題意識を感じていても、
社会を巻き込んで大きな活動にするためには、何が問題なのか明確にする必要
があります。また、「大きすぎず、小さすぎない」課題を取り上げることも大
切でしょう。この冊子には、たくさんある社会課題から取り組むべき活動を選
ぶため、「この問題はアドボカシーで解決できるか」「この問題にさらされて
いる人たちのためになるか」「関係者を巻き込むことができるか」のチェック
リストが付いています。

 ステップ2(分析・調査):どの程度の社会負担(害)をもたらしているの
か、どのようなことが原因なのか、どのようなニーズがあるのか、どのような
対策が打たれているのか(どんな対策が欠落しているのか)、効果はあがって
いるのかなど情報を集め、調査や分析をし、社会への問題点の訴求や、取り組
む活動の決定に活用します。冊子には、問題の原因分析をするための図、必要
情報とその情報源をリスト化する表、がツールとして提供されています。

 ステップ3(目標設定):長期的な目的と同時に、明確な短期的目標を決め
ることが大切とされています。目標を設定する際には、一般的な5つのチェッ
ク項目を使うことが推奨されています。その5つとは(1)具体的であること(2)
測定できること(3)目的に合致していること(4)現実的であること(5)期
日が明確であること--です。

 ステップ4(ターゲットの特定):実現したい対策や施策を意思決定できる
人を特定し、働きかける相手を明確にするというわけです。立場や組織ではな
く固有名詞でリストアップした上で、影響力が大きい順に優先付けしていきま
す。表に固有名詞を記入し、「連絡経路」「この課題への見解」「影響を与え
る方法」「意思決定の仕方」「誰から影響を受けやすいか」の5つの観点から
チェックできるようになっています。また、この問題に影響を与えるプレーヤ
ーの関係を分析するマップのひながたも付いています。影響力によって図形の
大きさを変え、関係の強弱で位置の距離を変え、賛同の度合いでつなぐ線の太
さを変え、ターゲットの優先度を考えていきます。

 ステップ5(資源の特定):人材、人のつながり、情報、スキル、資金、機
器・資材など、必要な資源をどれぐらい誰が持っているか、リストアップしま
す。自分たちが持っていなくても、ステップ6の連携相手が持っている資源も
計算に入れることができます。

 ステップ6(連携相手の特定):活動で協働できる相手を明確にします。ス
テップ4で使ったプレーヤーマップの上に、別の図形で連携相手を加え、それ
ぞれについて、「相手が得る利益」「提供してくれること」「限界点」を記入
するグループワークを行い、考えを深めていくことが想定されています。

 ステップ7(実施計画作成):「絵に描いた餅」にならずにきっちりと実施
されるよう、ステップ4で挙げたターゲット別に、「活動」「資源」「責任者」
「期日」「想定成果」を記入し、実施計画を作成していきます。

 ステップ8(評価):何をもって成果とするか指標をあらかじめ決めておき
ます。ステップ7で使用した表に、「指標」の欄を加えて記入します。指標と
計測方法の両方を記載します。例えば、指標として「ターゲットがこの活動へ
の支持を表明すること」、計測方法として「非営利組織の担当者が観察する」
といった具合です。

 アドボカシー活動を実践されている方々にはあまり目新しいことはなく、い
つも自然に実行されていることだったのではないかとも思います。でも、この
ようにときには意識化してみることは、よい振り返りにはなるのではないでし
ょうか。また、仲間と活動を広げていくには、こうしたツールを参考にしつつ
自分たちで手作りのグループワークをしてみると、盛り上がるかも知れません。

 こうしたツールは営利企業がビジネスプラン(事業・収支計画)を策定する
際のものと共通点も大きいようです。しかし、アドボカシー活動がビジネスと
異なるのは、リーダーシップが重要であり、共感を生むことが不可欠で、社会
を巻き込むことが必要といった側面があることでしょう。アドボカシー活動は
利潤で組み立てるビジネスよりも、ある意味で高度で複雑で難しいとも言える
でしょう。

 そういう意味では、アドボカシースキルをこうしたツールキットで高めると
ともに、アドボカシーのスピリッツを常に仲間と鼓舞しあうことも大切でしょ
う。そのための素材としては、例えば米国の患者アドボケートであるポーラ・
キムさんが「がん政策サミット2012秋」「がん政策サミット2013」で話してく
ださった、「患者アドボカシー10の教訓」「良いアドボケートのための5つの
秘訣」があります。併せて活用することも有益ではないかと思います。
(センター長 埴岡健一)

参考サイト

>>Advocacy in action -- A toolkit to support NGOs and CBOs responding to HIV/AIDS
http://www.aidsalliance.org/publicationsdetails.aspx?id=142
>>ポーラ・キムさんの「がん政策サミット2012秋」での講演
「都道府県がん対策計画策定~そのプロセスへの参加、その先へ」
(患者アドボカシー10の教訓は、下記スライド15、16ページ)
http://ganseisaku.net/files/121008_12.pdf
>>ポーラ・キムさんの「がん政策サミット2013」での講演
「良いアドボケートのための5つの秘訣」
(5つの秘訣は、下記スライドの9~15ページ)
http://ganseisaku.net/files/2013summit/19_01.pdf
>>アドボカシーワークブック ツールキット編
http://ganseisaku.net/advocacy_model.html


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔7月4日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html

>>「労働基準法施行規則第35条専門検討会」報告書を公表〔7月3日更新〕
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000035viv.html


>>ぎふがんねっと〔7月12日更新、岐阜県〕
http://gifugan.net/

>>がんに関するイベントのお知らせ〔7月11日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/event/ganevent.html

>>健康推進課がん対策室〔7月10日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/genre/0000000000000/1238473618657/index.html

>>健康対策課〔7月10日更新、高知県〕
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/130401/

>>しまねのがん対策〔7月8日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>青森県のがん情報サービス〔7月5日更新、青森県〕
http://gan-info.pref.aomori.jp/public/

>>鹿児島県のがん患者会一覧〔7月3日更新、鹿児島県〕
http://www.pref.kagoshima.jp/ae06/gankanzyakai.html

>> ~肝がんゼロを目指して~「市民公開講座」を開催します〔7月2日更新、熊本県〕
http://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/32/koukaikouza.html

>>がんセンター局〔7月1日更新、静岡県〕
http://www.pref.shizuoka.jp/scchr/gansetoppage.html

>>広島がんネット〔7月1日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/

>>佐賀のがん情報〔7月1日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top.html


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[5] がん対策ニュース

>>死亡率高い「難治性がん」研究に注力 厚労省が報告書[7月8日、産経新聞]
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130708/bdy13070820200001-n1.htm

>>「患者・社会と協働するがん研究」うたう-有識者会議報告書、省庁連携の重要性強調[7月8日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130708-00000004-cbn-soci

>>山形大:がん在宅療法学ぶ きょうから、看護師向け研修/山形県[7月7日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/area/yamagata/news/20130707ddlk06040014000c.html

>>「がん患者サロン」開催へ...水戸医療センター[7月5日、読売新聞]
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=80777

>>がん診療:新たな「地域病院」指定 来年度中に導入へ[7月2日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/select/news/20130703k0000m040074000c.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip.html


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2013/07/16(第99号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

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Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
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	    http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2013 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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