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[がん政策レター 2013/10/08(第105号)]医療政策を議論する「場づくり」が進みます

配信日付:2013年10月08日


━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013/10/08(第105号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

● 医療政策を議論する「場づくり」が進みます

 今回は最近、私が出席した2つのイベントをご紹介します。いずれも、医療
の対策や施策(活動)を考える「場づくり」がテーマとなっています。

 9月29日(日)、札幌市で北海道主催の「がん患者や家族の協働・連携を考
えるシンポジウム」が開催され、お招きいただいて出席いたしました。狙い
は、タイトル通りに「がん患者や家族の協働・連携を考える」こと。3部構成
で、パート1は私が「患者関係者が、がん対策に貢献するために」と題して、
お話をしました。

 パート2は、ディスカッション。北海道がん対策推進委員会委員である、山
田富美子さん(市民と共に創るホスピスケアの会)と金子健二さん(リレー・
フォー・ライフ室蘭実行委員会)のお二人に、道庁・保健福祉部健康安全局
地域保健課の岡本收司さんが加わって、「北海道のがん対策の重要テーマは
何か」「患者関係者が協働で貢献できることは何か」などを話し合いました。
私は司会をしながら、少し議論にも参加しました。

 パート3は、6~7人ずつ6つの班に分かれての、グループワーク「どんな協
働活動をするか、考えてみよう」です。内容は、北海道のがん対策の重要課
題から1つを選択し、そのテーマについて協働のあり方を考えるというもので
す。まず、グループで進行役と発表者を決めます。次に、4つあったテーマ候
補から実施した際の効果という観点から2つを選びます。そして、協働活動向
きという観点から1つを選びます。さらに、それを実施する際に協働作業をス
ムーズに進めるためのポイントを議論し、まとめます。

 模造紙の上に、付せんで意見を貼りつけながら、熱心に議論がされていま
した。そして、全チーム見事に意見のとりまとめを完了。各チーム2分ぐらい
ずつ、発表をしました。参加者は、患者関係者と医療提供者の割合がだいた
い2:1ぐらいだったと思いますが、立場を超えてフラットな関係で、意見が活
発に交わされていたのが印象的でした。発表の後は大きな拍手がわきました。
発表した方は患者関係者3人、医療関係者3人と、ちょうど同数でした。

 がんは手ごわい相手です。地域の患者関係者も一緒になり、医療提供者、
政策立案者などさまざまな立場も一体となって進める必要があります。北海
道が行政の立場からこうした「場づくり」をしようと、予算を付け、事業と
して実施しているのは、興味深いものがあります。年度内にもう一度、何ら
かの会を開催するとのことでした。

 9月22日(日)には、東京大学公共政策大学院の医療政策教育・研究ユニッ
トが主催する公開シンポジウムがありました。テーマは、「2025年に向けた
医療計画と診療報酬の姿~いま何に着手すべきか~」です。私はこのユニッ
トの客員教授をしており、企画と運営に関わりました。

 冒頭講演と4つのパートから構成されていました。冒頭講演は、前社会保障
制度改革国民会議事務局長の中村秀一さんによる、「社会保障改革国民会議
が示した医療の将来像」。パート1では、医療計画について、「新計画はどこ
まで進歩したか」として、3人の演者にお話をいただきました。パート2は、
診療報酬について、「2025年に向けた改定のステップを考える」として、4つ
の演題が並びました。パート3は、「医療計画のテーマ別分析~47都道府県の
好事例を探して~」と銘打ち、パイロット調査の実践報告がありました。パ
ート4は、以上を踏まえて、4人のパネリストと会場参加者を含めたディスカ
ッション、「2025年までの改革ロードマップ~いま何に着手すべきか~」が
行われました。

 詳細な内容については、プログラムをご覧いただければと思いますが、全
体を通して、「今後の医療改革の全体マップと日程観」「主要なテーマにお
ける重要ポイント(誰が何をいつまでにしなければならないかなど)」が、
来場者にイメージできる会になればという趣旨でした。当日の、発表資料と
レポートは後日、同ユニットのウェブサイトに掲載されます。

 ここでは、パート3のことを少し詳しくご紹介しましょう。医療計画が扱っ
ているテーマのうち、「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」「精
神疾患」「在宅ケア」「PDCA(計画、実施、評価、改善)サイクルと指標」
「医療連携体制」の8つについて、各テーマを2人ずつが47都道府県の医療計
画の当該部分を読破し、全体の印象と好事例と思えたことを発表しました。
「がん政策サミット2013」では、都道府県がん対策推進計画に関して同様の
ことを行いましたが、ある意味で、その医療計画版ともいえます。今回のパ
イロット調査に参加した合計16人は、「患者関係者」「政策立案者」「医療
提供者」「メディア」の立場の人がほぼ同数ずつ含まれています。異なる視
点からの気づきを交換することがさらに互いの気づきを生んでいきます。私
は「医療連携体制」チームに参加し、実際に47都道府県分をチェックしてみ
ました。

 次のような感想を抱きました。多くの人が共通して感じたことではないか
と想像します。
○全体としては、医療計画の内容はまだ低調。行政の医療計画策定者が策定
ノウハウを十分に学ぶ機会を得られていない懸念がある。
○その中で、意欲的な創意工夫や好事例かも知れないと思えるものが、散見
される。
○一つの県で多くのテーマに関して多くの創意工夫例を含んでいるものはな
いものの、47都道府県の創意工夫を集めると多くのテーマをカバーできる。
そこから、「良いとこ取り」をした「モデル医療計画」のようなものがイメ
ージできる可能性がある。
○2025年の医療提供体制へと実際に移行を完了するためには、地域ごとに、
多くの立場の人が参加して医療計画のPDCAサイクルに参加する仕組みが重要。

 医療計画の中で、がん対策の部分は他の分野より比較的、重厚に記載され
ています。それは、がん対策基本法、がん対策推進基本計画、都道府県がん
対策推進計画があるからでしょう。患者関係者の参加と協働の点でも、施策
の中身の観点からも、がん対策が地域医療計画全般のリード役・刺激役の役
割と果たす面があるのではないでしょうか。がん対策で活躍された患者関係
者が、地域の医療計画に関しても貢献されることが増えてくるのではないか
と考えられます。

 北海道と東大の二つのイベントを振り返って、やはり、地域住民や患者関
係者と、地域の医療に関わるさまざまな立場の人が集まって、地域の医療の
改善を継続的に話し合う「場」が大切だという思いを強くします。こうした
「場づくり」のための機会提供、予算確保、人材育成などが、ますます重要
になってくるでしょう。こうした展望もあって、市民医療協議会では、現在、
「アドボカシー・カレッジ・ブックレット(仮称)」を作成中です。疾病を
問わず、患者アドボカシー(政策提言)活動に取り組む方々を支援するコン
テンツです。もちろん、患者さんだけでなく、患者関係者と協働を考えてい
る行政、医療関係者、企業などにとっても役立つものにしたいと考えていま
す。(センター長 埴岡 健一)

参考サイト

>>北海道主催、「がん患者や家族の協働・連携を考えるシンポジウム」(プ
レスリリース)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/happyo/h25/09/250904-02gankanjya.pdf
>>東大公共政策大学院医療政策教育・研究ユニット、公開シンポジウム「2025
年に向けた医療計画と診療報酬の姿~いま何に着手すべきか~」(プログラム)
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/HPU/news/2013/documents/20130922_HPUHPAC_symposium_program.pdf
>>東大公共政策大学院医療政策教育・研究ユニット
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/HPU/
>>各都道府県の医療計画へのリンク(地域のがん情報ページの、「保健医療
計画」をクリックすると、各都道府県の医療計画のページに飛びます)
http://ganjoho.jp/professional/cancer_control/prefectures.html


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔10月3日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html

>>がん対策情報〔10月1日更新〕
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/index.html


>>ぎふがんねっと〔10月4日更新、岐阜県〕
http://gifugan.net/

>>しまねのがん対策〔10月4日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>保健福祉局 保健医療部 がん対策課〔10月3日更新、神奈川県〕
http://www.pref.kanagawa.jp/div/1383/

>>がんに関するイベントのお知らせ〔10月3日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/event/ganevent.html

>>佐賀のがん情報〔10月3日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top.html

>>健康推進課がん対策室〔10月2日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/genre/0000000000000/1238473618657/index.html

>>疾病・感染症対策室〔10月2日更新、宮城県〕
http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/situkan/

>>北海道のがん対策情報〔9月30日更新、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm


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[5] がん対策ニュース

>>がん患者と相談者のための就労セミナー:職場での理解など訴える 医療
関係者や患者ら130人参加/福岡[10月6日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20131006ddlk40040212000c.html

>>けんこうナビ:がん対策推進条例を可決 県議会、予防・早期発見に力/
長野[10月3日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/area/nagano/news/20131003ddlk20100077000c.html

>>超党派でがん条例制定へ[10月3日、タウンニュース]
http://www.townnews.co.jp/0109/2013/10/03/206233.html

>>全国がん登録、診療所は積極的に届け出を[10月1日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131001-00000008-cbn-soci

>>子宮頸がんワクチン接種激減 北海道内、厚労省の勧奨中止以降[10月1日、
北海道新聞]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/495151.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip.html


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2013/10/08(第105号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

住所	   :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
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