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[がん政策レター 2013/10/22(第106号)]2012年の都道府県別がん死亡率データを読み解く

配信日付:2013年10月22日


━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013/10/22(第106号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

● 2012年の都道府県別がん死亡率データを読み解く

 9月25日に、2012年の都道府県別がん死亡率(75歳未満、年齢調整済)のデ
ータが国立がん研究センター・がん情報サービスのウェブサイトに掲載されま
した。がん対策において、死亡率データは継続的にウォッチすべきデータの基
本中の基本。さっそくその概要を見てみましょう。ぜひ、みなさんの地域の動
向を確認してみてください。

 12年の死亡率(全がん、男女)は81.3で、11年の83.1から1.8ポイント(2.1%)
減少しました。現在、07年から16年の10年間で20%の死亡削減が目標とされて
いますが、過去10年間の減少率は16.1%、がん対策推進基本計画が始まって以
降の6年間の数値は9.6%で、目標のペースを下回っており、目標達成はかなり
困難と予想されます。男女別に見ると、10年間減少率は男性19.6%、女性10.9%、
6年間減少率は男性11.6%、女性6.6%と、女性のペースが遅くなっています。

 「都道府県がん対策カルテ2013」を8月30日に掲載いたしましたが、この際
のがん死亡率データは11年のものでしたので、今後は12年データを併せてご参
照ください。同冊子の2~3ページにある死亡率の概説を、12年データによって
改訂したものを以下に掲載しておきます。

・・・・・・・・・・・
○がん死亡率[2012年]
 最も死亡率が高いところと最も低いところでは男性1.5倍、女性1.5倍の差が
あります。特に死亡率の高い都道府県は注意が必要です。

・「がん死亡率」男性のワースト(死亡率が高い)5県
 青森県、秋田県、和歌山県、北海道、佐賀県
・「がん死亡率」女性のワースト(死亡率が高い)5県
 青森県、北海道、茨城県、秋田県、大阪府

○がん死亡改善率[2006年~12年]
 最も改善率が高いところと最も低いところでは男性16.7ポイント、女性32.8
ポイントの差があります。女性のワースト5県においては、改善せずに死亡率
が増えています。死亡改善率の低い都道府県は注意が必要です。がん死亡率が
高く、がん死亡改善率が低い地域については、特に注意が必要と言えるでしょ
う。

・「がん死亡改善率」男性のワースト(改善率が低い)5県
 宮崎県、大分県、岩手県、愛媛県、福島県
・「がん死亡改善率」女性のワースト(改善率が低い)5県
 島根県、鳥取県、鹿児島県、沖縄県、岡山県

○がん部位別死亡率[2012年]
 部位別の死亡率を見ます。胃がんでは最も高いところと最も低いところで男
性2.5倍、女性2.9倍、大腸がんでは男性2.1倍、女性2.6倍、肺がんでは男性1.5
倍、女性2.2倍、肝臓がんでは男性2.6倍、女性3.0倍、乳がんは女性1.9倍の差
があります。死亡率の高い部位の対策に注力するという視点がありえます。そ
れぞれの部位についても、死亡率の高い都道府県は注意が必要です。

・「がん部位別死亡率(胃)」男性のワースト(死亡率が高い)5県
 秋田県、新潟県、山形県、富山県、青森県
・「がん部位別死亡率(胃)」女性のワースト(死亡率が高い)5県
 岐阜県、島根県、佐賀県、愛媛県、和歌山県
・「がん部位別死亡率(大腸)」男性のワースト(死亡率が高い)5県
 沖縄県、青森県、佐賀県、群馬県、栃木県
・「がん部位別死亡率(大腸)」女性のワースト(死亡率が高い)5県
 鳥取県、青森県、長崎県、京都府、岩手県
・「がん部位別死亡率(肺)」男性のワースト(死亡率が高い)5県
 北海道、青森県、長崎県、兵庫県、大阪府
・「がん部位別死亡率(肺)」女性のワースト(死亡率が高い)5県
 北海道、京都府、和歌山県、高知県、愛知県
・「がん部位別死亡率(肝臓)」男性のワースト(死亡率が高い)5県
 愛媛県、佐賀県、宮崎県、徳島県、福岡県
・「がん部位別死亡率(肝臓)」女性のワースト(死亡率が高い)5県
 和歌山県、福井県、大分県、宮崎県、福岡県
・「がん部位別死亡率(乳房)」女性のワースト(死亡率が高い)5県
 佐賀県、石川県、神奈川県、秋田県、群馬県

 なお、上記データは年によって大きく変化することがありますので、併せて
何年間かの動きを見ることも必要です。
・・・・・・・・・・・

 もう少し、データをみておきましょう。ここでは2つの観点を捕捉しておき
ます。まず、がんの部位別の死亡改善率(2006~12年)において、減少ペース
が遅いがんに関して、死亡率の改善がはかばかしくない県を見てみましょう。

・大腸がん(男性)
 19県で死亡率が増加しています。佐賀県(12年死亡率47県中ワースト3位、
改善率47県中ワースト1位)、沖縄県(同1位、同9位)、群馬県(同4位、同11
位)などで、状況の確認が必要です。
・大腸がん(女性)
 17県で死亡率が増加しています。鳥取県(同1位、同1位)、京都府(同4位、
同7位)、長崎県(同3位、同10位)などで、確認が必要です。
・肺がん(男性)
 13県で死亡率が増加しています。大分県(同7位、同1位)、兵庫県(同4位、
同4位)、長崎県(同3位、同10位)などで、確認が必要です。
・肺がん(女性)
 18県で死亡率が増加しています。高知県(同4位、同1位)、和歌山県(同3位、
同2位)京都府(同2位、同5位)などで、確認が必要です。
・乳がん
 16県で死亡率が増加しています。佐賀県(同1位、同1位)、石川県(同2位、
同3位)、群馬県(同5位、同10位)などで、確認が必要です。

 次に、働き盛り世代のがんの現状を垣間見るために、40歳代と50歳代の都道
府県男女別死亡率(調整前)を計算してみました。なお、人口が1000人単位で
計算されていますので、人口が少ない県ほど誤差が相対的に大きくなることに
は、留意してください。

○男性の40歳代
 人口891万3000人に対し死亡数は3391人で、10万人当たり38.0人です。全国
平均に比べて率が高いところ(上位10県)は、次のとおりです。
・島根県 1.5倍
・鳥取県 1.4倍
・大分県 1.4倍
・北海道 1.4倍
・愛媛県 1.4倍
・香川県 1.4倍
・和歌山県 1.3倍
・鹿児島県 1.3倍
・広島県 1.3倍
・秋田県 1.3倍

○女性の40歳代
 人口876万1000人に対し死亡数は4175人で、10万人当たり47.7人(男性より高
い)です。全国平均に比べて率が高いところ(上位5県)は、次のとおりです。
・青森県 1.3倍
・新潟県 1.2倍
・高知県 1.2倍
・石川県 1.2倍
・佐賀県 1.2倍

○男性の50歳代
 人口778万8000人に対し死亡数は1万3257人で、10万人当たり170.2人です。
全国平均に比べて率が高いところ(上位7県)は、次のとおりです。
・青森県 1.2倍
・長崎県 1.2倍
・徳島県 1.2倍
・宮崎県 1.2倍
・和歌山県 1.2倍
・秋田県 1.2倍
・佐賀県 1.2倍

○女性の50歳代
 人口784万3000人に対し死亡数は1万0084人で、10万人当たり128.6人です。
全国平均に比べて率が高いところ(上位3県)は、次のとおりです。
・青森県 1.4倍
・鳥取県 1.2倍
・愛媛県 1.2倍

 第2期都道府県がん対策推進計画(13~17年)は、2011年のがん死亡統計の
データに基づいて記載されています。地域のがんの現況分析が十分になされた
上で適切な対策が打たれているかを確認すると同時に、新しいデータでアップ
デートしておきたいものです。がんの死亡率が高い地域が全国平均並みになる
と、多くの命が救われることになります。地域の現況に合った対策を、さらに
考え続けていきたいものです。(センター長 埴岡健一)

参考サイト

>>人口動態統計による都道府県別がん死亡データ、
部位別75歳未満年齢調整死亡率(1995年~2012年)
http://ganjoho.jp/professional/statistics/statistics.html#a10

>>都道府県がん対策カルテ2013
http://ganseisaku.net/karte_2013.html

>>人口動態統計による都道府県別がん死亡データ、
全がん死亡数・粗死亡率・年齢調整死亡率(1995年~2012年)
http://ganjoho.jp/professional/statistics/statistics.html#a10



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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス


>>がん情報サービス〔10月21日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html


>>北海道のがん対策情報〔10月18日更新、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm

>>ぎふがんねっと〔10月17日更新、岐阜県〕
http://gifugan.net/

>>がん生活習慣病対策課〔10月16日更新、青森県〕
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/ganseikatsu/index.html

>>広島がんネット〔10月15日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/

>>佐賀のがん情報〔10月10日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top.html


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[5] がん対策ニュース

>>がん情報提供義務化、自公民の議連が法案提出へ[10月17日、日本経済新聞]
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS17040_X11C13A0PP8000/

>>がん登録法案、パブコメ踏まえ最後の修正へ[10月17日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131017-00000009-cbn-soci

>>がん:病院に患者情報提供義務化 超党派の法案[10月16日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/select/news/20131016k0000m010150000c.html

>>がんサバイバー急増時代 パンク寸前の専門病院 必要な取り組みとは
[10月15日、共同通信]
http://www.47news.jp/feature/medical/2013/10/post-970.html

>>がん患者と相談者のための就労セミナー:職場での理解など訴える
医療関係者や患者ら130人参加/福岡[10月6日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20131006ddlk40040212000c.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip.html


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マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2013/10/22(第106号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

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Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
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	    http://www.shimin-iryou.org/

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