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[がん政策レター 2013/11/05(第107号)]「がんに関する法律を作ること」の大切さを考える

配信日付:2013年11月05日


━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013/11/05(第107号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

● 「がんに関する法律を作ること」の大切さを考える

 10月29日、超党派国会議員連盟である「国会がん患者と家族の会」(代表世
話人:尾辻秀久元厚生労働大臣、参議院議員)の総会を傍聴しました。同会は、
現在の臨時国会中に議員提案で「がん登録推進法案」を提出することを了承し
ました。

 冒頭のあいさつで尾辻氏は、がん登録に関する法制化が「宿題だった」と述
べました。2006年のがん対策基本法制定の際に、がん登録に関する条項を入れ
ることが難航し、断念し積み残しになっていたからです。続いて、議連の「が
ん登録法制化作業チーム」の塩崎恭久氏(衆議院議員)が、法案作成の経緯を
詳しく解説。「2012年春、議連総会(議員会館にて開催)に出席した患者関係
者全員から賛成の声をいただき、その声を受けてワーキングチームをつくるこ
ととなった」と説明しました。議員立法としては珍しく、2度のパブリックコ
メントにより意見聴取をしたのも特色です。

 その後の議連メンバー議員からの質疑応答に続いて、出席した患者関係者か
らの意見表明がありました。「がん登録はがん対策の“一丁目一番地”であり、
ぜひ進めていただきたい」「全国へ広げていただきたい。生存率データが出る
までPDCA(計画・実施・評価・改善)サイクルで、しっかり進捗を見守る仕組
みを作ってほしい」など、歓迎論・待望論が続きました。最後に、新たに事務
局長に就任して司会進行を行った古川元久氏(衆議院議員)が、議連メンバー
に「各党内の調整をよろしくお願いしたい」と述べて閉会となりました。超党
派議連で進めてきているため、各党とも賛成し、同法が年内にも審議・成立の
見通しとのことです。

 これにより、新たな「全国がん登録」の仕組みが、2016年(平成28年)1月
から開始される予定です。患者の発生状況(罹患情報)は、各医療機関からが
ん登録データが都道府県に送られ、医療機関を越えて移動した患者さんのデー
タなどが突合・整理され、さらに、それが都道府県から国立がん研究センター
に送られ、都道府県を越えて移動した患者さんのデータなどが突合・整理され
ます。こうして、正確な罹患情報が得られるようになります。一方、市町村か
らの死亡情報は国立がん研究センターに集められて、罹患情報と死亡情報の突
合や罹患情報のない死亡情報の追加などが行われます。これまで都道府県が市
町村からの死亡情報を十分に得られていなかったのがデータ整備の障壁となっ
ていましたが、それが解消する見込みです。全国がん登録が開始して2年後ぐ
らいには罹患情報の結果が、数年後には生存率情報の結果が見えてくるはずで
す。

 成立まで予断は許されませんし、気を緩めてはいけないですが、ここでいっ
たん、がん登録推進法の経緯のポイントを以下のように振り返っておくのは、
今後の推進のためにも意義あることでしょう。

○患者の声を受けて議員立法で制定された「がん対策基本法」の積み残し事項
(宿題)が忘れられずに、議員立法によって法制化されたこと。ある意味で、
がん対策基本法の改正を、別法の制定によって行ったことになるともいえるこ
と。

○超党派の国会議員連盟が存在したこと。同議連の中核であった山本孝史議員
が亡くなってから一時は休眠状態にあった同議連が活動を再開し、法律事項で
あるがん登録法の制定を活動テーマに選んだこと。

○2012年6月、政府の「医療イノベーション5カ年戦略」に「がん登録の法制化
(2013年度までの達成を目指す)」と記載され、行政サイドもより前向きにな
ったこと。

○作業チームが参議院法制局などと連携して緻密な作業を行い、2回のパブリ
ックコメントを取るなどの丁寧なプロセスを経たこと。

○議連総会で患者関係者が前向きな発言をすることが、議連による推進に、大
きな弾みをつけたこと。

○日本医学会、日本癌学会など関連4学会もがん登録法を求める要望書を厚生
労働大臣宛てに提出し、同議連での意見陳述も行われたこと。

○策定プロセスの間も、メディアによる継続的な報道があったこと。

○議員と患者、行政、医療提供者、メディアなどが相まった、まさに“六位一
体”的な取り組みとして展開されたこと。

 なお、2012年5月と2013年5月の「がん政策サミット」の場においても、同議
連の総会が開催され、がん登録法に関する意見聴取と進捗報告が行われました。

 今後、がん登録法が制定された後は、正確な罹患や生存率の状況が速やかに
公表され、それががん対策の改善に十分に活用されるよう、進捗管理を行うこ
とが求められるようになります。

 視点を都道府県の法律に転じると、岩手県、滋賀県など数県で、がん対策推
進条例の制定の動きが進んでいます。県会議員の議員連盟が役割を果たしてい
るところもあります。また、すでに制定された条例の改正に取り組んでいる県
もあります。引き続き患者関係者が条例に関する提案、要望、意見陳述なども
行っています。年度内に、複数の県で条例の制定や改正に至ると予想されます。

 がん対策の環境を大きく改善するため、法律事項はやはり大きなインパクト
があります。議会の議員は法律づくりが主な仕事です。その流れを作り、継続
的に見守るという点で、ますます患者関係者が大きな役割を果たしているよう
です。(センター長 埴岡健一)

参考サイト

>>国会がん患者と家族の会 がん登録法案
http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/reference/index.html
>>特別プログラム「国会がん患者と家族の会」総会(「がん政策サミット2012春」会場にて開催)
http://153.122.7.157/gan_summit_detail.html?cid=114
>>特別プログラム「国会がん患者と家族の会」総会(「がん政策サミット2013」会場にて開催)
http://ganseisaku.net/gan_summit_detail.html?cid=251


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔10月25日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html


>>がん生活習慣病対策課〔11月1日更新、青森県〕
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/ganseikatsu/index.html

>>平成25年度第2回福岡県がん対策推進協議会の開催について〔11月1日更新、福岡県〕
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/b01/gankyougikai-kaisai20131121.html

>>第8回群馬県がん対策推進協議会を開催します(保健予防課)〔10月31日更新、群馬県〕
http://www.pref.gunma.jp/houdou/d3000072.html

>>しまねのがん対策〔10月31日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>埼玉県がん包括協定締結企業大会を開催します〔10月30日更新、埼玉県〕
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/gantaisaku/kigyoutaikai.html

>>がんの相談・支援 緩和ケアのご案内〔10月28日更新、岩手県〕
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=137&of=1&ik=1&pnp=51&pnp=94&pnp=137&cd=39068

>>広島がんネット〔10月25日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/

>>北海道のがん対策情報〔10月24日更新、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm

>>がんセンター局〔10月24日更新、静岡県〕
http://www.pref.shizuoka.jp/scchr/gansetoppage.html

>>ぎふがんねっと〔10月24日更新、岐阜県〕
http://gifugan.net/

>>がん対策について〔10月23日更新、山梨県〕
http://www.pref.yamanashi.jp/chiji/kadai/kenko-zsn/gan_taisaku.html

>>佐賀のがん情報〔10月22日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top.html


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[5] がん対策ニュース

>>広島県、末期がん地域支援へ[10月31日、中国新聞]
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201310310160.html

>>全国がん登録、届け出しない病院の罰金なし[10月29日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131029-00000001-cbn-soci

>>がん登録法案を了承、全国の患者情報集約へ 超党派議連、成立目指す[10月29日、SankeiBiz]
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/131029/mca1310291133013-n1.htm

>>働くがん患者 支援、がんセンターに窓口[10月29日、朝日新聞]
http://www.asahi.com/articles/CMTW1310292400005.html

>>重い副作用143件=子宮頸がんワクチン-4~7月報告分・厚労省[10月28日、時事通信]
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201310/2013102800885

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip.html


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2013/11/05(第107号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

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