配信日付:2010年03月09日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ―――――――――――――――――― 2010/3/9(第12号) ■□ がん政策レター □■ 日本医療政策機構 市民医療協議会 ―――――――――――――――――― がん政策情報センター がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策の好 事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■今週のレター■ [1]センター長コラム [2]がん対策レポート [3]インフォメーション [4]がん対策トピックス [5]がん対策ニュース ―――――――――――――――――――― [1]センター長コラム ●「経済的負担の解消・軽減」の声多い 「カネの切れ目が、いのちの切れ目」――このごろ、このような悲しい言葉をよく 聞きます。がんになったら治療のための経済的な負担が大きく、それに長期間は耐え られずに、標準的な治療を受けることを断念したり、より費用の安い治療を選んだり する方も増えているというのです。このほど、当機構がとりまとめた患者アンケート によって、そうした状況が浮き彫りになりました。患者さんの年間の費用負担は平均 130万円。1600人の回答者の7割が、「経済的負担が大きい」と回答しました。費用が 130万円より高い人の間では、9割近くがそう感じています。なかでも、経済的な理由 で治療を断念したり、もっとも受けたい治療をあきらめたりした人が、全回答者の 7%もいたのはショッキングでした。 1月に岩波書店から『がん患者、お金との闘い』という本が出ました。北海道の患 者さんで国のがん対策推進協議会の委員でもあった金子明美さんに密着取材しなが ら、この問題を深く掘り下げています。金子さんは、2008年11月28日の第8回がん対 策推進協議会で、ご自分の経験から、「私、5年間ずっと抗がん剤治療をしてきまし て、がん患者の立場からして何が大変なのということで、正直一番大変なのは経済的 な部分です」と、この問題を切々と訴えられました。がん対策推進協議会が09年3月 に厚生労働大臣に提出した70本の推奨施策の中には、がん患者のお金の悩みを解消す るためのものが4本入っていました。金子さんがいたからこそ入ったという側面があ り、「金子施策」とでも呼べるものだと思います。まだ、この4本に進捗は見られま せん。金子さんは1月に逝去されました。遺されたものが、バトンを受けて「金子施 策」を訴えていくことでしょう。 がん対策推進協議会提案書取りまとめワーキンググループが10年の1月から2月に開 催した全国6カ所のタウンミーティングの会場においても、経済的負担の解消・軽減 の要請は、医療従事者・患者のいずれからもたくさん声があがっていました。がんと いう病気になったときに、病気の心配どころか、お金のことで心を痛めなければなら ない、そんな状況を何とか変えていきたいものです。(センター長 埴岡 健一) ■参考サイト >>1600 人の「がん患者意識調査」結果 プレスリリース http://shimin-iryou.org/pressroom/pressreleases/20100226_press >>「平成22年度がん対策予算に向けた提案書~元気の出るがん対策」(提案書要旨) http://gan-working.net/pdf/proposal_sum.pdf >>がん対策に関するタウンミーティング 意見シート集計結果 http://gan-working.net/pdf/ref07_townmeeting_opinion_sheet_result.pdf ―――――――――――――――――――― [2]がん対策レポート ●提案書取りまとめワーキンググループ、公開会議の模様 2008年、厚生労働省がん対策推進協議会は「提案書取りまとめワーキンググループ (以下、WG)」を設置し、国のがん対策の予算提案書を作成。提案書は同協議会で審 議承認のうえ、2009年3月に舛添要一厚生労働大臣(当時)に提出され、大きな反響 を巻き起こしました。10年はさらに、予算・診療報酬・制度の3本柱による総合的な 提案書が、3月11日にWGより同協議会に提出される予定です。今どのような経緯をた どって、提案書が成案に近づいているのか、10年2月~3月に開催された第6回・第7回 のWG公開会議の模様とともにお伝えします。 >>第6回・第7回のWG公開会議の模様 http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/working_6_7.html ―――――――――――――――――――― [3]インフォメーション ●「がん患者意識調査」メディア・ワークショップ開催のおしらせ がん患者・経験者やその家族の実体験からがん政策に関連する問題点や課題を可視 化するとともに、がん患者・家族のがん政策についてのニーズを把握する目的のも と、意識調査を実施いたしました。その結果を踏まえ、下記のとおり、報道関係者限 定の勉強会(メディア・ワークショップ)を開催いたします。今回のメディア・ワー クショップでは、調査結果のポイントのご紹介をはじめ、求められるがん対策につい ての視座を提供します。是非、ご参加ください。 日時:3月10日(水) 13時00分~14時30分 会場:都市センターホテル7階708号室 http://www.toshicenter.co.jp/access/index.html 対象:報道関係者の方に限定させていただきます 会費:無料 ※事前に電子メールもしくはFAXでお申し込みください(フォーマットは下記URLより ダウンロードしてください) >>がん患者意識調査メディアワークショップ開催のおしらせ http://shimin-iryou.org/pressroom/pressreleases/20100305_press ●がん患者意識調査プレスリリースVol.1のおしらせ 当機構が実施した「がん患者意識調査」の結果の一部をプレスリリースしました。 調査にご協力くださった皆さまに、心より感謝申し上げます。 「がん患者意識調査プレスリリースVol.1」より抜粋 がん患者・家族1600人の声より、がん患者・家族の経済的な負担感が大きいことが 分かりました。また、こころの「痛み」やからだの「痛み」が解消されていないこと も分かりました。 ・がんの治療にかかった費用―回答者の70%以上が「負担大きい」 ・がんの治療全般を通しての悩み―「落ち込みや不安、恐怖などの精神的なこと」が 首位、「痛み・副作用、後遺症などの身体的苦痛」が第2位 ・がんの診断や治療に4人に1人が「不満足」。不満足の理由は「精神面に対するサ ポートが不十分」「情報が少ない」など >>がん患者意識調査プレスリリースVol.1 http://shimin-iryou.org/pressroom/pressreleases/20100226_press ●「地域発:がん対策市民協働プログラム」高知プロジェクトよりお知らせ 高知がん患者会一喜会7周年記念講演として「想いを共有する地域からの声 宮城・ 大阪・高知」を開催します。患者関係者がリーダーとなって実施している、地域での がん対策の取り組みとして、宮城・大阪・高知プロジェクトを紹介します。 日時:3月22日(月)13時00分~17時00分 会場:高知市文化プラザ かるぽーと http://www.bunkaplaza.or.jp/access/index.html 対象:がん患者・家族・医療関係者、福祉関係者、行政、一般の方 会費:無料 >>「高知プロジェクト」のページ http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/2010/kochi/kochi.html >>「一喜会」のページ http://www.ikkikai.i-tosa.com/ ●「地域発:がん対策市民協働プログラム」宮城プロジェクトよりお知らせ 「宮城版 退院時サポートキット完成披露会」を開催します。がんになったときの療 養を支えるツールとして、地域に根ざした支援の情報を記載した冊子「宮城版 退院 時サポートキット」を紹介します。 日時:3月23日(火)13時00分~16時00分 会場:仙台市シルバーセンター交流ホール http://www.sendai-hw.or.jp/silver.html 対象:宮城県内のがん患者・家族・医療関係者、福祉関係者、行政、一般県民 会費:無料 >>「宮城プロジェクト」のページ http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/2010/miyagi/miyagi.html ―――――――――――――――――――― [4]がん対策トピックス ●中国地方 5県の「都道府県別がん検診受診率」を掲載しました がん対策推進基本計画(2007年6月 閣議決定)では、がん検診の受診率が欧米諸 国に比べ低いことも踏まえ、5年以内に、がん検診受診率を50%以上(乳がん検診、 大腸がん検診など)とすることを目標としています。一方で、このがん検診受診率は 都道府県によっても大きな格差が出ているのが現状です。ご自分の住んでいる地域の がん検診受診率の現状を知っていただき、アドボカシー活動に役立ててください。 >>都道府県別がん検診受診率 http://ganseisaku.net/gap/data/gan/prefectures/kenshin/stomach/ ●厚生労働省がん対策推進協議会 >>第12回がん対策推進協議会の開催について http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=148825 ●がん対策関連情報 >>しまねのがん対策(島根県、3月4日更新) http://www.shimane-gan.jp/index.html >>女性の健康手帳について(山梨県、3月3日更新) http://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/kenkozukuri/H21joseinokenkou.html ―――――――――――――――――――― [5]がん対策ニュース >>がんの悩みいやす場に 大垣市民病院「なごみ庵」(中日新聞、3月3日) http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20100303/CK2010030302000017.html >>がん検診の負担軽減 東広島(中国新聞、3月3日) http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201003030005.html >>疼痛ケア「受けたことない」が約6割(医療介護CBニュース、3月2日) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100302-00000003-cbn-soci >>がん闘病体験など語る(読売新聞、3月1日) http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20100228-OYT8T01083.htm >>知っておきたいがんのリハビリテーション(医学書院、3月1日) http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02869_02 >>子宮頸がん万全の予防を 河村理事長が呼びかけ(中日新聞、2月28日) http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20100228/CK2010022802000129.html >>緩和ケア:NPOが専門医認定へ 10年で1000人目標(毎日新聞、2月27日) http://mainichi.jp/select/today/news/20100227k0000e040088000c.html >>アメリカのがん登録4:情報蓄積への許容度(産経新聞、2月26日) http://sankei.jp.msn.com/life/body/100226/bdy1002260645000-n1.htm >>がん対策を条例化 負担軽減、緩和ケア充実など目指す (産経新聞、2月26日) http://sankei.jp.msn.com/region/shikoku/ehime/100226/ehm1002260238001-n1.htm >>「役立てて」 募金で集めた1000万円寄付(毎日新聞、2月23日) http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20100223ddlk04040061000c.html >>がん対策 県が条例提案(朝日新聞、2月23日) http://mytown.asahi.com/tokushima/news.php?k_id=37000001002230003 >>未承認薬適応外薬検討会議で保険支払い検討を(医療介護CBニュース、2月23日) http://www.excite.co.jp/News/society/20100223/Cabrain_26484.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール マガジンを配信しております。 配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。 今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策レター 2010年3月9日号(第12号) 発行所 :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター 発行人 :埴岡 健一 編集長 :湯澤 敦子 グレイス 住所 :〒103-0014 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