1. ホーム > 
  2. メールマガジン バックナンバー > 
  3. [がん政策レター 2014/01/07(第111号)]新年度の政府予算と診療報酬改定の動向を見る

[がん政策レター 2014/01/07(第111号)]新年度の政府予算と診療報酬改定の動向を見る

配信日付:2014年01月07日


━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2014/01/07(第111号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[1] センター長コラム

● 新年度の政府予算と診療報酬改定の動向を見る

 新しい年を迎えました。今年の医療やがん対策はどうなるでしょうか。がん
対策においては、国の第2期がん対策推進基本計画の5年間の3年目と、折り返
し点を迎えます。中間評価の年でもあります。今回は、政府予算と診療報酬改
定を見ておきましょう。こうしたお金の面の動向は、医療やがん対策にも大き
な影響を与える要素です。

 2013年12月24日、政府は閣議で2014年度予算案を決めました。2014年1月召
集の通常国会で審議され2013年度内の成立を目指します。財務省の「平成26年
度社会保障関係予算のポイント」という資料で概要を見ると、次のようになり
ます。国の予算のうち医療や社会保障が占める大きさと位置付けがうかがえま
す。
・国の予算(一般会計):約95兆9000億円(前年度比3.5%増)
・うち、政策費(国債の利払いを除く):約72兆6000億円(同3.2%増)
・うち、国の政策費(地方交付税交付金を除く):約56兆5000億円(同4.6%増)
・うち、社会保障関係費(年金・医療・介護・生活保護・社会福祉等):約30
兆5000億円(同4.8%増)

 この資料の9ページには、2014年度予算の目玉として「日本版NIH」のことが
書かれています。NIHとは米国国立衛生研究所のことで、米国の医学研究の基
盤全体を一元的にコーディネートする「司令塔」の役割を果たしているとされ
ます。そのような司令塔を日本でも作ろうとするものです。省の縦割りを排し、
新しい独立行政法人「日本医療研究開発機構」の設置(2015年4月)に向けて、
予算を一元化かつ増額するとのことで、1215億円(同20.1%)が予算化されて
います。各省の内訳は、文部科学省570億円、厚生労働省476億円、経済産業省
169億円です。

 内閣府の日本版NIH関連資料を見ると、3省が連携して「ジャパン・キャンサ
ーリサーチ・プロジェクト」を進めるとあります。達成目標も、抗がん剤の有
望シーズを10種取得(2015年)、10種類以上の治験の導出(2020年)などと、
具体的に設定されました。日本版NIHの動向に関しては、「健康・医療戦略推
進本部」の情報をウォッチしましょう。とりまとめられた「医療分野の研究開
発に関する総合戦略(基本的考え方)」も必読です。

 次に、厚生労働省の「平成26年度予算案の主要事項」という資料で、厚労省
予算の概要を把握してみましょう。厚労省予算は先に見た国の政策費のうち約
30兆2000億円(同4.4%増)を占めます。うち医療は11兆2000億円(同6.1%増)
で最大の項目となっています。

 2014年4月1日に5%から8%に上がる消費税増税による増収分の5兆円のうち
約5000億円を社会保障の充実に使うことになっています。資料7ページにはこ
の5000億円のうち約2000億円が投入される医療・介護分野の、内訳が次のよう
に書かれています(抜粋)。
・「新たな財政支援制度(基金)の創設」(544億円)
・高額療養費制度の見直し(42億円)
・難病・小児慢性特定疾患への対応(298億円)
・地域包括ケアシステムの構築(43億円)

 資料9ページには、新たな財政支援制度(以下、基金)についての解説があ
ります。社会保障制度改革国民会議報告書(2013年8月6日)に示された医療体
制の改革の姿を実現するため、医療従事者の確保・養成、在宅医療の推進、医
療提供体制の改革に向けた基盤整備などの使途に、各都道府県に基金が作られ
ます。先に見た消費税増収分544億円に360億円を上乗せして合計904億円が手
当てされます。2009年度補正予算から地域医療再生基金が作られていましたが、
それを発展させる意味合いもあります。

 さて、がん対策予算です。がん対策・健康増進課がある健康局の予算内容は、
「平成26年度予算(案)の概要 厚生労働省健康局」で見ることができます。
がん対策予算は230億円と、前年度の235億円から減少に転じました。この資料
の4~7ページに概説があるので、読んでみましょう。「がん診療連携拠点病院
の機能強化」は33億円から40億円に増額です。「がん診療提供体制のあり方に
関する検討会」の議論を受けて「地域がん診療病院(仮称)」が設置されるた
めです。「がん登録の推進」は12億円から20億円に増額となります。「がん登
録等の推進に関する法律(がん登録推進法)」が成立したことに伴い、国立が
ん研究センターに全国がん登録データベース構築を委託する費用(6.1億円)
などが増えています。

 予算を見る際には、各省から財務省に出された概算要求(毎年8月)の段階
と予算案(毎年12月)の時点での相違を確認しておくことも大事なポイントで
す。がん対策予算は2013年8月の概算要求時には255億円でしたが、減額されて
230億円となり、前年度の235億円より少なくなりました。概算時点から増えた
のは、がん研究やがん登録に関する部分です。緩和ケア分野での「緩和ケア推
進事業」は項目としては入ったものの、概算段階よりは圧縮されています。

 がん対策に関する予算は、がん対策・健康増進課がある健康局だけから出て
いるわけではありません。医政局は、先に見た基金、医療体制の整備、医療提
供者の育成、研究開発拠点整備など管轄しています。医薬食品局は、医学研究
開発の促進の所管です。老健局は、介護や地域包括ケアを担当しています。が
ん対策に関連しそうな部分は見ておきましょう。

 2014年度は診療報酬の改定期に当たります。診療報酬改定のプロセスを少し
おさらいしておくと、社会保障審議会の医療保険部会と医療部会が基本方針を
決め、内閣が次年度予算編成過程において診療報酬改定率(全体の増減)を閣
議において決め、中央社会保険医療協議会(中医協)がそれらの枠組みの中で
具体的な内容を議論し、2月に厚生労働大臣の諮問に答申し、4月から実施され
ます。

 社会保障審議会医療保険部会・医療部会の基本方針は2013年12月6日に出さ
れています。状況認識、重視する視点、具体的な重点課題などが書かれており、
これも政策の流れを見るのに重要な資料です。診療報酬改定率は12月20日の閣
議で決定されました。改定率はプラス0.1%で消費税要因を除くと実質マイナ
ス1.26%となり、6年ぶりのマイナス改定となりました。

 中医協はこうした枠組みの議論と並行して重要テーマや個別事項の審議を進
めています。がん対策は個別事項の中に入っており、その一番目として11月15
日に審議されました。提出された詳細な資料を見ることができます。こうした
資料に付けられた「課題と論点」の部分を読むと、採用される施策をだいたい
見てとることができます。この日以外のテーマでも、がん医療に関連するテー
マがありますので、余裕があれば各回の資料にざっと目を通しておきたいもの
です。諮問・答申に向けて、どのように議論が煮詰められていくか注目されま
す。

 2014年度の予算や診療報酬などのお金関係の動向をざっと見てきました。こ
のところ、国のがん対策推進協議会では、予算や診療報酬に関する議論がかつ
てより少なくなっているようです。では、患者アドボケートにとっては、地域
や国のレベルでどんなことができるでしょうか。例えば次のようなことがあり
そうです。
・国のがん対策予算に対応して、都道府県で必要な対応がなされるか確認する
・新基金が地域の医療提供体制の再構築に活用される際、そのビジョンや具体
策を提案する
・診療報酬改定がなされた項目が、地域で適切に浸透するようにウォッチする
・地域の医療の最適化が、各種の法改正、補助金、基金、診療報酬などを活用
しながら、総合的に整備されるように提案する
・国のがん対策推進協議会で予算や診療報酬の議論がどのように継続的に審議・
把握されているかウォッチする

 各種の報告書や予算書、資料などを患者アドボケート仲間、医療提供者、
行政担当者などといっしょに読む機会を設け、次のがん計画や医療計画に向け
てイメージづくりをしてみるものよいでしょう。2017年度の国の次期基本計画
や、2018年度の都道府県の次期計画はまだ先のように見えますが、その前提と
なる病床機能報告制度は2014年度から実施され、地域医療ビジョンのガイドラ
インは2014年に、そして各都道府県の地域医療ビジョンは2015年に作成されま
す。そういう意味では、今年は地域と日本の医療体制の未来図を描く大きな節
目の時期となりそうです。(センター長 埴岡健一)

参考サイト

>>財務省「平成26年度社会保障関係予算のポイント」
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2014/seifuan26/05-09.pdf
>>内閣府 健康・医療戦略推進本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/
>>内閣府 平成26年度医療分野の研究開発関連予算のポイント(7ページ目に
ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/siryou/pdf/h26_yosanpoint.pdf
>>「医療分野の研究開発に関する総合戦略(基本的考え方)」(案)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/tyousakai/dai5/siryou2.pdf
>>厚生労働省「平成26年度予算案の主要事項」
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/14syokanyosan/dl/shuyou.pdf
>>厚生労働省 地域医療再生基金
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saiseikikin/index.html
>>平成26年度各部局の予算案の概要 健康局
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/14syokanyosan/dl/gaiyo-02.pdf
>>平成26年度各部局の概算要求の概要 健康局
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/14syokan/dl/04-03.pdf
>>平成26年度各部局の予算案の概要 医政局
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/14syokanyosan/dl/gaiyo-01.pdf
>>平成26年度各部局の予算案の概要 医薬食品局
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/14syokanyosan/dl/gaiyo-03.pdf
>>平成26年度各部局の予算案の概要 老健局
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/14syokanyosan/dl/gaiyo-11.pdf
>>診療報酬改定について(平成26年度診療報酬改定率)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000032957.html
>>中央社会保険医療協議会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008ffd.html
>>平成26年度診療報酬改定の基本方針
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000031544.pdf
>>中央社会保険医療協議会 2013年11月15日資料 個別事項その1:がん対策等について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000029732.pdf


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[2] がん対策レポート

● 都道府県別格差情報を更新しました。

 死亡率関係は2012年データに、そして医療資源データは2012年、もしくは
2013年と、いずれも最新データに更新しました(一部除く)。
 ぜひご確認ください。

>>都道府県別格差情報
http://ganseisaku.net/gap_info.html


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔12月27日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html

>>「がん対策応援団」を募集します!〔1月6日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/oshirase.html

>>がんに関するイベントのお知らせ〔1月1日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/event/ganevent.html

>>しまねのがん対策〔12月27日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>在宅・緩和ケアの推進のページ〔12月27日更新、高知県〕
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/130401/ganjouhou-kanwa.html


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[5] がん対策ニュース

>>県が受動喫煙対策に本腰 懇話会発足へ/広島県[1月6日、読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20140105-OYT8T00882.htm

>>がん患者に就労支援・・・治療歴ある社労士に相談も[1月1日、読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131231-OYT1T00249.htm

>>諏訪市の大腸がん検診が好調 クーポン事業に効果[12月26日、長野日報]
http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=30243

>>接種呼び掛けの結論持ち越し 子宮頸がんワクチン[12月25日、共同通信]
http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013122501002380.html

>>がん対策条例が成立 県議会閉会/滋賀県[12月21日、中日新聞]
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20131221/CK2013122102000006.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip.html


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
がん政策レター 2014/01/07(第111号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

住所	   :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
Web	   :http://ganseisaku.net/
	    http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2014 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●がん政策レターのバックナンバーは下記URLよりご覧ください。
http://ganseisaku.net/backnumber.html

●がん政策レターを購読ご希望の方は下記URLにアクセスしてください。
https://shimin-iryou.org/mailmagazine.php
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

			

※バックナンバーは発行当時のものを掲載しております。リンク先などが変更になった場合は、該当記事などが表示されないことがありますのであらかじめお断りいたします。

バックナンバー

このページの先頭へ戻る