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[がん政策レター 2014/02/04(第113号)]「世界対がんデー」に、世界と地元のことを考える

配信日付:2014年02月04日


━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2014/02/04(第113号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

● 「世界対がんデー」に、世界と地元のことを考える

 今日、2月4日は「世界対がんデー」。国際対がん連合(UICC)が2006年から
実施している対がんキャンペーンです。がんの予防、早期発見、治療格差の解
消、がんに対する社会の偏見の排除、などの促進を図っています。キャンペー
ンサイトには世界対がんデーと連動して行われるイベントなど374(2月3日現
在)が登録されています(日本からは3つ)。今年のメッセージは「がん神話
の正体を暴く」。下記の4つの神話(根拠のない話)とそれに対する真実を訴
えています。

●神話1:がんについて語る必要はありません
◎真実:特にある種の文化や環境によっては、がんは話題にするのは難しいト
ピックですが、がんにオープンに対処することが、個人レベル、地域レベル、
政策レベルでアウトカム(成果)を向上させることができます。
●神話2:がんには予兆や症状はありません
◎真実:多くのがんには留意すべき予兆や症状があり、早期発見による利益が
あることは議論の余地がありません。
●神話3:がんに対して私にできることはありません
◎真実:個人、地域、政策のいずれのレベルでも正しい戦略によってできるこ
とがたくさんあります。罹患が多い種類のがんでは、3分の1が予防可能です。
●神話4:がんのケアを受ける権利が私にはありません
◎真実:なんびとも、証明された効果のある、同等のがんの治療やサービスを、
その結果としての困難に遭遇することなく、受ける権利があります。

 世界共通キャンペーンですので、特に発展途上国や低所得国に向けて訴求す
るメッセージとなっているのでしょうが、日本でも、まだまだこうした神話が
払しょくしきれてないのではないでしょうか。

 では、世界のがんの罹患や死亡の動向はどうなっているのでしょうか。世界
保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、昨年12月12日にGLOBOCAN2012
を発表しました。これは、世界184カ国から28種類のがんの罹患や死亡の統計
を集めて、世界のがんの罹患や死亡などを推計したものです。それによると、
2012年時点の世界のがん罹患者数は約1410万人、死亡数は約820万人です。2008
年時点の罹患約1270万人、死亡約760万人から大きく増加しています。また、
がんサバイバー(ここでは、診断後5年以内の生存者を指しています)の数は
約3250万人と推計しています。

 罹患が最も多いがんは、肺がん、乳がん、大腸がんで、死亡が最も多いのは、
肺がん、肝がん、胃がんとなっています。乳がんは急増しており、2008年から
罹患が20%、死亡が14%も増加し、年間52万2000人が犠牲になっているとのこ
と。平均所得が高い国では罹患率が高い傾向にあり、低い国では死亡率が高い
傾向があるとしています。

 日本の数値は、罹患が約70万4000人、死亡が約37万9000人、サバイバーが約
200万9000人となっています。気になるのは、データの精度(カバー率)につ
いて米国、英国、カナダ、韓国、オーストラリア、スウェーデンなど37カ国が
最上のAグレードとなっているのに対し、日本が2段階目のBグレードとなって
いる点です。Aは統計が全国の50%以上をカバーしている場合、Bはそれが10~
50%の場合です。日本は精度の高い8県の地域がん登録データから全国を推計
したデータを使っていますが、これは全国人口の15%しかカバーしていません。
現在、がん登録の整備が進められていますので、近い将来はAグレードになる
ことでしょう。

 今年1月28日、WHOと世界緩和ケア連合(WPCA)が、「終末期の緩和ケア世界
地図」を初めてまとめました。WPCAは、ホスピスと緩和ケアを世界に普及させ
るための連合です。これによると、世界で緩和ケアを必要とするのは約2040万
人で、その3分の1の約660万人ががん患者と推計されます。WPCAは、早期から
の緩和ケアを実施すれば、必要人口は2倍の4000万人になり、家族への支援も
含めればその数はさらに2倍以上になるとしています。

 WPCAによると、現在、緩和ケアを必要としている人のわずか10分の1程度し
か実際に緩和ケアを受けられておらず、特に低所得・中所得国では遅れている
体制の整備が急務とのこと。日本は世界で緩和ケア体制が比較的整備されてい
る20カ国の一つに入っています。一方で、疼痛管理薬の使用量は米国、カナダ、
オーストラリア、欧州の多くの国などよりも少ない状態なのが分かります。

 今回は世界のがん対策の現況を垣間見ました。世界で見た上記の数字は、地
元ではどうなっているでしょうか。あなたが気になる数値について、世界で優
れているのはどこの国でしょうか。世界の好事例から自分の地域が学ぶことも
あるでしょうし、地域から世界へと好事例を発信できることもあるでしょう。
がん政策情報センターにある、「世界のがん対策」コーナーの資料や、がん政
策サミットで発表された海外視察レポートも読み返してみてください。

 読者のみなさんは日々、地元で患者サポートやがん対策のアドボカシー(政
策提言)活動に取り組まれていることと思いますが、2月4日の世界対がんデー
は、世界中で頑張っているアドボケートやボランティアとの連帯を感じ、新た
な意欲をかきたてられる日なのかもしれません。(センター長 埴岡健一)

参考サイト

>>世界対がんデー(英語)
http://www.worldcancerday.org/
>>UICC(国際対がん連合)(英語)
http://www.uicc.org/
>>世界対がんデー ファクトシート(日本語訳あり)
http://www.worldcancerday.org/fact-sheets
>>GLOBOCAN2012(英語)
http://globocan.iarc.fr/Default.aspx
>>GLOBOCAN2012 情報源と集計方法(英語)
http://globocan.iarc.fr/Pages/DataSource_and_methods.aspx
>>終末期緩和ケア世界地図(WHO/世界緩和ケア連合)(英語)
http://www.thewpca.org/resources/global-atlas-of-palliative-care/
>>世界のがん対策(がん政策情報センター)
http://ganseisaku.net/gan_world_cancer_control.html
>>世界保健機関(WHO)によるがん対策シリーズ「計画策定」
http://ganseisaku.net/who_planning.html
>>世界保健機関(WHO)によるがん対策シリーズ「政策とアドボカシー」
http://ganseisaku.net/who.html
>>がん政策サミット 開催レポート
http://ganseisaku.net/gan_summit.html
>>UICCアドボカシー・ツール・キット(英語)
http://www.uicc.org/advocacy/advocacy-resources


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔2月1日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html

>>がん診療連携拠点病院〔1月30日更新、厚労省〕
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_byoin.html


>>がん生活習慣病対策課〔2月3日更新、青森県〕
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/ganseikatsu/index.html

>>ぎふがんねっと〔2月3日更新、岐阜県〕
http://gifugan.net/

>>がん情報〔2月3日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan.html

>>広島がんネット〔1月31日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/

>>みやざきのがん情報〔1月31日更新、宮崎県〕
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/fukushi/kenko/cancer/index.html

>>乳がん及び子宮がん検診(平成23年度分)精度管理調査に御協力ください〔1月30日更新、熊本県〕
http://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/31/nyugansikyugan.html

>>しまねのがん対策〔1月28日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>がんに関するイベントのお知らせ〔1月21日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/event/ganevent.html


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[5] がん対策ニュース

>>難病の子ども 地域で支援...厚労省方針[1月28日、読売新聞]
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=91833

>>がん患者3200万人超す 格差深刻、12年世界推計[1月28日、共同通信]
http://www.47news.jp/feature/medical/2014/01/post-1025.html

>>日本版NIH:目標...15年度までにがん死亡率20%減少[1月22日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/select/news/20140123k0000m040031000c.html

>>がん検診の受診態勢整備を支援/県が対策推進計画[1月21日、四国新聞]
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/administration/20140121000108

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip.html


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2014/02/04(第113号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

住所	   :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
Web	   :http://ganseisaku.net/
	    http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2014 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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