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[がん政策レター 2014/04/15(第118号)]「がん政策サミット2014」に向けて、これまでの8回を振り返る

配信日付:2014年04月15日


━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2014/04/15(第118号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

●「がん政策サミット2014」に向けて、これまでの8回を振り返る


 「がん政策サミット2014」まで、約1カ月となりました。今回は、これまで
の8回のがん政策サミットを振り返りつつ、これまでのがん患者アドボケート
のみなさんの活動の高まりを振り返っておきましょう。参加したことがある人
もない人も、日々の活動の参考になることがあるかもしれませんので、お付き
合いください。実は、活動資源確保の困難など諸般の事情から、残念ではあり
ますが今年6月末をもって市民医療協議会の活動を停止することとなりました。
この「がん政策サミット2014」が最後の大きな活動となります。

●「がん政策サミット2009春」(2009年5月16日、17日)
 地域のがん対策の好事例を共有した上で、課題解決法のワークショップによ
ってアドボカシー活動の基本を相互学習。国のがん対策推進協議会が2月に「平
成22 年度 がん対策予算に向けた提案書~元気の出るがん対策~」が取りまと
めたことを受けて、この場でも「がん対策提案書を作ってみよう」とのセッシ
ョンで、実際に提案書づくりをシミュレーションしました。18日(月)には、
国会議員開会を訪問する会が開催され、地元選出議員に面談しました。

●「がん政策サミット2009秋」(2009年10月3日、4日)
 がん対策推進条例を制定した県の先進例から、条例の作り方を学びました。
県会議員から策定を働きかけるためのコツやアドバイスも得ました。また都道
府県の予算編成の仕組みと全国のがん予算の現状を把握したうえで、県庁担当
者から予算確保のためのポイントが共有されました。そして、どのようにすれ
ば必要な予算が確保できるか、患者アドボケート、議員、行政担当者らで意見
交換をしました。地域のがん予算についてはこの年から県庁にお願いして情報
をいただき、43都道府県から集まりました。現在では全47都道府県から情報提
供をいただいています。

●「がん政策サミット2010春」(2010年4月10日、11日)
 7月の参議院選挙を控え、政党のマニフェストづくりを模擬演習しました。
2日間にわたって分野別にのべ7時間のグループワークを行いました。患者視点
から課題を抽出し、施策集のかたちにまとめる力を養いました。がん対策推進
協議会が6カ所のタウンミーティングや大規模アンケートを経て3月末に取りま
とめた「平成23年度がん対策に向けた提案書~みんなで作るがん政策~」を紹
介するコーナーもありました。翌12日には国会議員勉強会が開催され、患者ア
ドボケートが参加しました。

●「がん政策サミット2010秋」(11月6日~8日)
 「地域の条例と予算を動かす」をテーマとし、多数の県議会議員も参加しま
した。1日目は条例づくりを徹底研究。条例制定に取り組んだ7県の事例発表を
聞いた後、条例未制定県の参加者から条例づくりに関わった方々への質問コー
ナーを設け、実践的なノウハウが伝授されました(当時の制定県は10でしたが
現在は30に増えています)。2日目は県がん対策予算に焦点を当て、事例研究
とノウハウ共有セッションが行われました。3日目は国会議員会館にて議員勉
強会を開催、議員13人と秘書19人が参加くださいました。

●「がん政策サミット2011」(7月16日~18日)
 冒頭に、復興シンポジウム「大震災から学ぶこと」を設けました。患者当事
者や医療提供者の体験談は、会場中の人の心を動かしました。2012年度からの
国の第2期基本計画の開始、2013年度の県の第2期推進計画開始を控えた時期で、
この回では「がん対策を動かす仕組みを学ぶ」ことが重視されました。政策決
定プロセスに関する有識者の講義を受けた後、「アドボカシーワークブック 
ツールキット編~がん対策 課題解決への7つ道具」を参考に、計画づくりの
ステップに沿ったグループワークを行いました。

●「がん政策サミット2012春」(5月11日~13日)
 冒頭、サミット会場で「国会がん患者と家族の会」の総会が、「がん登録の
法整備」をテーマに開催されました。後にも触れますが、がん登録の法律が13
年12月に成立となります。サミットは、「都道府県第2期がん計画を、六位一
体でより良いものに」がテーマ。策定されたばかりの国の第2期がん計画(閣
議決定は6月)を学んだ上で、県の第2期計画の策定に向けて、「地域の現状を
知る」「声の集め方」「計画の組み立て方」「策定活動の日程案の作り方」を、
グループワークで共に学びました。

●「がん政策サミット2012秋」(10月6日~8日)
 奈良県の多くの方々のご協力を得て、奈良県にて開催しました。テーマは県
計画の策定作業が山場のタイミングだったため、「患者と地域に成果をもたら
す県計画に仕上げよう」としました。成果すなわちアウトカムが出る計画にす
るにはどのような工夫ができるか共に考えました。また、がん対策の成果を計
測する患者視点の評価指標をどのように設定すればいいか、グループワークを
しました。県計画の策定方針や悩みに関するアンケートには、45都道府県から
ご回答をいただき、現状把握の貴重な資料となりました。

●「がん政策サミット2013」(2013年5月17日~19日)
 策定されたばかりの全国の県計画の知恵を集めるため、「県計画の好事例を
共有し実践していこう」がテーマとなりました。参加者は事前に全国の計画を
11の分野別に読み込んで、好事例候補を抽出しました。患者からの好事例候補
発表、有識者からの好事例発表、参加者間での情報交換・意見交換の流れで11
のセッションを行いました。サミット会場で、「国会がん患者と家族の会」が
総会「がん登録の法制化、実現へ」を開催し、意見を聴取。それもあって案が
修正された上で「がん登録等の推進に関する法律」が12月に成立しました。

 がん政策サミットにみんなが集まることで、さまざまな「現象」が起こりま
した。ここでは5つのポイントをあげておきます。

◎ポイント1 アドボカシー(政策提言活動)の定着
 議員会館に訪問して地元国会議員と面談したり、超党派議連の総会がサミッ
ト会場で開催されたり、数多くの地元県会議員が参加して共に議論したりする
なかで、議員ががん対策の大きな当事者であり協働相手であることが認識され
ました。それを象徴的に示す「がんは政治である」という言葉も広がりました。
また、行政の方に行政への政策提言の仕方を教わりつつ提言を行う姿も多くな
りました。

◎ポイント2 ネットワークの形成
 多くの方が、自分のがんとの出会いから、疑問を感じたことを解決したいと、
自分なりにアドボカシー活動に入っていきます。身近にいる仲間しか活動につ
いて話す相手がいないことも一般的でしょう。参加者の声によると、がん政策
サミットで自分と同じような人が各地にたくさんいるということが分かって、
大いに連帯意識が高まり、継続的に活動をする元気を得たとのこと。こうした
共感に基づいた人的ネットワークがさまざまな情報交換の基礎にもなっていっ
たと考えられます。

◎ポイント3 “知識武装”
 がん政策サミットの参加者は、自分たちの持っている知識や情報を惜しげも
なく共有していきます。もちろん、患者同士のみならず、行政、政治家、医療
提供者、有識者などいずれの立場の方々も、そのような姿勢であることを感じ
ます。もともと患者関係者が強くもっている情熱に、情報通であることが加わ
って、アドボカシーの力が強まり、他の立場からの信頼も高まっていったので
はないかと思います。合言葉風にいえば、「右手に情熱、左手に情報」という
ことになるでしょう。

◎ポイント4 好事例の共有
 人的ネットワークによってたくさんの取り組みや好事例の情報が集まりまし
た。サミット開催に合わせて事例集を作成したり、サミットの会場で事例発表
のセッション行ったりしました。事例を紙で読むだけとは異なり、実際にそれ
を作った人や動かしたチームからの経験談を聞き、質疑応答によって実践のた
めにどうすればいいかのポイントも聞けたことが、大きな栄養になりました。
がん政策サミットが終わったあとも、遠隔地の間で連絡が取りあわれ、ときに
は訪問しての互いの教え合いが行われてきました。

◎ポイント5 六位一体の協働
 当初は患者関係者中心の数十人の集まりであったサミットですが、昨今では
さまざまな立場の人が200人弱集まります。患者の役割は大きいとしても、患
者だけで政策を動かすことは困難で、議員、行政担当者、医療提供者、地元メ
ディアなどの協働作業が重要です。同じ地区から患者、議員、行政担当者が共
にがん政策サミットに参加して学び、地元に帰って共に課題に取り組むという
姿も増えてきました。だれが言い出したのか分からない「六位一体」という言
葉ですが、サミット参加者の間ではすっかり定着しています。

 参加されたみなさんがこの場を高め、活用し、こうした5つの効果を働かせ
たことで、さまざまな波及が各地に広がったのではないでしょうか。がん対策
推進条例の各地での制定、県の第2期計画にアドボケートの提案が多数入った
ことなど、みなさん多くの成果を得られたことと思います。

 「がん政策サミット2014(最終回)」は5月16日から18日までです。今回は、
「がん対策を高め続けられるような、アドボカシーのスキルを学ぶこと」「各
地のがん対策の好事例を共有し、自分たちの地域に適した対策を実現すること」
の2つに力点を置く予定です。これまでの参加者、ご協力者、ご支援者に感謝
しつつ、今回も有意義な会にできればと思います。今回のレポートは6月に掲
載予定です。(センター長 埴岡 健一)

参考サイト
>>がん政策サミット 各回のプログラムやレポートを掲載
http://ganseisaku.net/gan_summit.html
>>「平成22年度 がん対策予算に向けた提案書~元気の出るがん対策~」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0226-15x.pdf
>>都道府県がん予算リスト
http://ganseisaku.net/budget_state.html
>>「平成23年度がん対策に向けた提案書~みんなで作るがん政策~」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/s0409-3.html
>>都道府県のがん対策に関する条例集
http://ganseisaku.net/law_state.html
>>がん政策サミット2012春 ワークショップ用冊子
http://153.122.7.157/handout/summit2012_workshop_-00011130_758014.pdf
>>「都道府県がん計画策定状況および技術支援ニーズに関するアンケート 回答集」
http://153.122.7.157/handout/enquete_print_-00011130_370435.pdf
>>国会がん患者と家族の会 がん登録等の推進に関する法律に関するページ
http://cancer-reg.sakura.ne.jp/index.html


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

● がん対策推進条例が新たに3県1市で公布されました

 岡山県と佐賀県と福島県が、がん対策推進条例を公布しました。
また、市区町村レベルでは2年ぶりに、兵庫県神戸市も施行しました。
条例の内容はこちらをご覧ください。

>>都道府県のがん対策に関する条例
http://ganseisaku.net/law_state.html


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[4] がん対策トピックス

>>第3回がん患者・経験者のあり方に関する就労支援検討会の開催について〔4月11日更新〕
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000043490.html

>>がん情報サービス〔4月1日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html


>>健康推進課がん対策室〔4月16日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/genre/0000000000000/1238473618657/index.html

>>働く女性のための休日レディースがん検診を実施します!〔4月14日更新、福井県〕
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/tannan-hwc/kenzou/gankensin.html

>>ぎふがんねっと〔4月14日更新、岐阜県〕
http://gifugan.net/

>>健康にいがた21(第2次)・第2次新潟県食育推進計画・新潟県歯科保健医療計画(第4次)
・新潟県がん対策推進計画(第2次)を策定しました〔4月11日更新、新潟県〕
http://www.pref.niigata.lg.jp/kenko/1356782298654.html

>>広島がんネット〔4月10日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/

>>しまねのがん対策〔4月8日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>佐賀のがん情報〔4月8日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top.html

>>みやざきのがん情報〔4月4日更新、宮崎県〕
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/fukushi/kenko/cancer/index.html

>>がん検診実態把握調査について〔4月3日更新、愛媛県〕
http://www.pref.ehime.jp/h25500/gannjittaihaaku.html

>>がん情報みやぎ〔4月2日更新、宮城県〕
http://cancer-miyagi.jp/

>>千葉県がん登録事業について〔4月2日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/gan/touroku.html

>>北海道のがん対策情報〔4月1日更新、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm

>>福岡県地域がん登録に関する情報〔4月1日更新、福岡県〕
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/chiikigan1.html


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[5] がん対策ニュース

>>岐阜)がんのサポート冊子を作成 県が無料配布[4月11日、朝日新聞]
http://www.asahi.com/articles/ASG474R4VG47OHGB00C.html

>>肝がん撲滅 住民が活動...佐賀[4月7日、読売新聞]
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=96048

>>がん患者向けHP開設...千葉[4月7日、読売新聞]
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=96024

>>小児がん経験者の就労体験を発表[4月6日、新潟日報]
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20140406104850.html

>>がん治療をウエブ動画で解説 筑波大など8大学、患者向け[4月4日、共同通信]
http://www.47news.jp/CN/201404/CN2014040401001789.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip.html


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2014/04/15(第118号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

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Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
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	    http://www.shimin-iryou.org/

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