配信日付:2010年07月27日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010/7/27(第22号) ■□ がん政策レター □■ 日本医療政策機構 市民医療協議会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策の 好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ システム変更により、配信元アドレスが変更になりました。 ◆ ■今週のレター■ [1]センター長コラム [2]がん対策レポート [3]インフォメーション [4]がん対策トピックス [5]がん対策ニュース ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]センター長コラム ●ドラッグ・ラグの解消には、患者の声が不可欠 「ドラッグ・ラグ」という言葉はご存じだと思います。海外で使われている薬が国 内で使用できるようになるまでの時間差のことです。患者さんからは、「海外で使わ れる薬がどうして日本で使えないの」と悲痛な声があがっています。この解消に向け て、いくつかの動きが進行中です。 まず、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の活動があります。 海外で承認されているのに日本では承認されていない薬(未承認薬)や、日本で特定 の疾病のためには承認されているものの、有効性があると考えられる他の疾病に対し ては承認されていない薬(適応外薬)について、患者の治療のために使えるようにし ようというものです。4月27日に開催されたこの会議では、患者団体、個人や学会か ら要望があった374種類の薬に関して検討し、109種類について「必要性が高い」と しました(多くが、がんの治療に使われる薬です)。それを受けて厚生労働省は製薬 メーカーに対して、開発要請あるいは開発企業の募集を行いました。 同時に、注目しておきたいのは今年の4月から実施されている「新薬創出・適応外 薬解消等促進加算」という制度です。これまでの制度では薬の価格は2年ごとに段階 的に下がるようになっていました。しかし、この制度によって薬の価格が一定の条件 の下で一定の期間は維持されるようになります。金額にして年間700億円程度の加算 額になると見積もられています。 「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」と「新薬創出・適応外薬解 消等促進加算」は、ある意味でセットになっています。これまでも適応外薬や未承認 薬に関して承認の要望を受け付けたり検討を行ったりする仕組みはありましたが、承 認の申請にコストがかかりメリットが少ないため、メーカーが積極的にならない場合 がありました。今回、メーカーに700億円のインセンティブ(誘因)を与える一方、 それを未承認薬や適応外薬の承認申請や治験(承認を得るために、患者に投与して有 効性や安全性を調べる臨床試験)を含む研究開発に使うようにとの“条件”が付けら れたのです。これにより、こうした薬におけるドラッグ・ラグは大幅に改善するので はないかと期待されています。 一方で、「55年通知」に関しても大きな話題になっています。7月13日には、患者 団体70団体が、「適応外医薬品の保険支払いの早期検討に関する要望書」を厚生労働 大臣などに提出しましたが、その中で「55年通知」の活用が求められています。そし て、翌日14日の中央社会保険医療協議会(中医協)でも、「55年通知」が大きく取り 上げられ、積極運用について検討することとなりました。 いったい「55年通知」とは何でしょうか。昭和55年(1980年)に厚生省(当時) の課長が出した通知のことです。そこでは、いくつかの条件を付けたうえで、「承認 された薬において、承認された適応とは異なる使用でも、医師の判断で薬理作用に基 づいて処方された場合には、保険支払いを認める」とされています。つまり、適応外 薬について、使用する方策がすでにあったのです。ただし、積極活用がされず不透明 な部分もありました。そこで、この活用方法を明確にして積極利用し、ドラッグ・ラ グの早期解決に役立てようという考えです。 ドラッグ・ラグの解消については、これまでも患者リーダーが大きな役割を果たし てきました。さかのぼれば、1999年ごろからの新山義昭さん(故人)の訴えや2003年 からの佐藤均さん(故人)の活動などの歴史を忘れることはできません。それが受け 継がれ力強く広がることが期待されます。ドラッグ・ラグの解消には、さまざまな施 策がセットとしてうまく回転することが大切で、現在の施策が実際に効果を出すのか 、まだ楽観はできません。上記の3つの動きを始めとしたさまざまな動きに注目し、 “声を出し続ける”ことが欠かせないでしょう。 (センター長 埴岡 健一) ■参考サイト >>第3回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」議事次第(資料) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/s0427-12.html >>「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企 業の募集又は開発要請を行った医薬品のリスト」 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/s0521-5.html >>平成22 年度薬価改定における新薬創出・適応外薬解消等促進加算の適用結果 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/06/dl/s0623-2c.pdf >>「適応外医薬品の保険支払いの早期検討に関する要望書」 http://e-ryouiku.net/youbou/20100701.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]がん対策レポート ●みんなで考えたがん対策のマニフェスト案、がん政策サミット2010春開催報告 2010年4月10日から12日の3日間、「がん政策サミット2010春~患者と議員が作 るマニフェスト~」(主催:日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報セン ター)が開催され、国と都道府県のがん対策推進協議会等の患者関係委員、公募に よって選考を経た全国の患者アドボケート計48人が、31 都府県から一堂に会しまし た。 前半2日間にわたっては、患者主体のがん対策を実現すべく議論を重ね、患者・現 場・地域視点で、がん対策のマニフェスト「患者が提案するマニフェスト案」を作成 しました。12日には、国会議員勉強会を開催し、このマニフェスト案を国会議員へ提 出するとともに、各政党マニフェスト等への反映を要請しました。 >>がん政策サミット2010春 プログラム http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/gan_summit_2010_spring/ >>がん政策サミット2010春 4月10日 http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/gan_summit_2010_spring/reports/0410.html >>がん政策サミット2010春 4月11日 http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/gan_summit_2010_spring/reports/0411.html >>がん政策サミット2010春 4月12日 http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/gan_summit_2010_spring/reports/0412.html ■参考サイト >>がん政策サミット http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [3]インフォメーション ●メルマガのバックナンバーを掲載しました がん政策情報センターでは、ウェブサイトのリニューアルオープンに伴い、がん政 策レター(メールマガジン)のバックナンバーが読めるようにいたしました。今後と もお役に立つ情報をお届けすると同時に、当センターの活動の内容もお伝えしていく 予定です。ぜひ、がん対策に取り組むお知り合いの方々にも、購読を勧めていただけ ましたら幸いです。 >>がん政策レター バックナンバーサイト http://ganseisaku.net/impact/mailmagazine/gan_/ ●「地域発:がん対策市民協働プログラム」高知プロジェクトよりお知らせ 「高知発がん患者支援プロジェクト」では、「心の支援員」の育成を行っておりま す。「心の支援員」に関しては、地元でも評判が高く、このたびTV取材を受け、下 記番組で全国放送することが決まりました。 番組名:「発見!人間力」 其の99 高知発 生命見守って~ガンに負けない心を持つため~ (関東圏の放送時間:2010/8/7(土)06:00~06:30 (テレビ朝日)) 各地で、放送日時が異なりますので、下記URLよりご確認のうえ、是非ご覧ください。 http://www.minkyo.or.jp/01/2010/07/009999_2.html >>「高知発、がん患者支援プロジェクト」のページ http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/2010/kochi/kochi.html ●「地域発:がん対策市民協働プログラム」愛知プロジェクトよりお知らせ 「愛知発ピアサポートプロジェクト」では、「well being フォーラム in 愛知」を 開催します。「~愛と夢と希望~今、求められているがん患者支援とは?」と題し て、がん患者が地域で安心して暮らせるために、どんなことが必要か、みなさんと 共に考えます。 対 象:一般 日 時:8月1日(日)13時~19時 会 場:刈谷市総合文化センター 刈谷市民ホール 参加費:無料 >>詳細については下記ページをご参照ください。 http://www.npowakabakai.com/files/20100801forum-advertising.pdf >>「愛知発、ピアサポートプロジェクト(がん患者支援プログラムの普及と展開)」 のページ http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/2010/aichi/p1/p1.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [4]がん対策トピックス ●「都道府県別のがん対策推進計画とアクションプラン」を掲載しました 都道府県別の「がん対策推進計画」と「がん対策推進計画を推進するための都道府 県の主な取組(アクションプラン)」を掲載しました。一部の県では独自性や創意工 夫が見られます。この計画からがん政策・がん対策における多数の好事例(ベストプ ラクティス)が生まれました。ご自分の住んでいる地域のがん計画やアクションプラ ンを知っていただき、アドボカシー活動に役立ててください。 >>都道府県別のがん対策推進計画とアクションプラン http://ganseisaku.net/practices/archives/plan/local/gan_keikaku.html ●がん対策関連情報 >>みやぎのがん情報ポータルサイト(宮城県、7月23日更新) http://www.pref.miyagi.jp/situkan/gan-portal/top.html >>「がんへの挑戦・10か年戦略」中間評価素案に関する意見募集の結果について(神奈川県、7月14日掲載) http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kenkou/gan/pubcom/ganchukan_soan_kekka.html >>しまねのがん対策(島根県、7月21日更新) http://www.shimane-gan.jp/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [5]がん対策ニュース >>増加傾向のがん患者 重要性高まる在宅医療〔毎日新聞、7月25日〕 http://mainichi.jp/area/iwate/news/20100725ddlk03040003000c.html >>がん患者の子ども 支援考える〔NHK、7月25日〕 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100725/t10015946471000.html >>がん治療後も仕事を 働き盛りの患者増加、厚労省支援へ〔朝日新聞、7月24日〕 http://www.asahi.com/national/update/0724/TKY201007240293.html >>米国 NY「たばこ戦争」 販売店に禁煙ポスター義務化〔毎日新聞、7月19日〕 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100719-00000001-maip-int >>高額療養費制度:厚労省が見直し検討 上限引き下げ焦点〔毎日新聞、7月15日〕 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100715ddm002040079000c.html >>三重大病院にしん灸外来 がん苦痛緩和など期待〔読売新聞、7月14日〕 http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=28009 >>「治療薬の保険適用認めて」がん患者団体、厚労相に要望〔朝日新聞、7月13日〕 http://www.asahi.com/health/news/TKY201007130429.html >>「昭和55年通知」で保険適用を がん患者ら厚労相に要望〔共同通信、7月13日〕 http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010071301000589.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール マガジンを配信しております。 配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。 今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策レター 2010年7月27日号(第22号) 発行所 :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター 発行人 :埴岡 健一 編集長 :湯澤 敦子 グレイス 住所 :〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町2-5-3 Tel :03-5614-7796 Fax :03-5614-7795 E-mail :gan_newsletter@healthpolicy-institute.org Web :http://ganseisaku.net/ http://www.shimin-iryou.org/ Copyright(c) 2010 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●がん政策レターを購読ご希望の方は下記URLにアクセスしてください。 https://shimin-iryou.org/plugins/cch/mailmagazine/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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