配信日付:2010年08月10日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010/8/10(第23号) ■□ がん政策レター □■ 日本医療政策機構 市民医療協議会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策の 好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ システム変更により、前回号から配信元アドレスが変更になりました。 ◆ ■今週のレター■ [1]センター長コラム [2]がん対策レポート [3]インフォメーション [4]がん対策トピックス [5]がん対策ニュース ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]センター長コラム ●子宮頸がん予防ワクチンに、政府の補助が開始へ 子宮頸がん予防ワクチンの接種費の公費負担が、政府の来年度すなわち2011(平成 23)年度の予算に盛り込まれそうです。8月4日、長妻昭厚生労働大臣が、翌日には菅 直人首相が、予算に計上する考えを明らかにしました。今後は、8月末までに厚労省 が財務省に要求を出し、年末には正式な予算案となり、年度内には政府予算案として 国会で承認され、来年度の11年4月から全国的な実施に移るといった流れになります。 政府による取り組みの必要性を訴えてこられた患者アドボケートをはじめとしたみな さんの努力があってこその成果だと思います。 子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関与 しています。一部のHPV感染を予防できるワクチンが、09年に承認されました。ただ し任意接種であり、今のところ費用は原則自己負担となっており、厚労省調べでは全 国126市区町村(6月末現在)が公費助成を行っているものの、全国的な展開が課題と なっていたものです。 子宮頸がん予防ワクチンに関しては印象深い記憶があります。08年6月には、国会 議員会館で開催された議員勉強会に出席し、患者アドボケートの方々といっしょに子 宮頸がん対策の必要性を説明し、その直後の7月には、スイスのジュネーブで開催さ れた国際対がん連合(UICC)の世界大会に、患者アドボケート3人といっしょに参加 しました。この大会中、子宮頸がん予防に関するセッションで、素晴らしいプレゼン テーションに出会いました。ウイルスが関与していることを発見し、ウイルスを特定 し、ワクチンを開発していく数十年の歴史を、見事に要約していました。とても感銘 を受けたので、患者アドボケートのみなさんと一緒に、記念写真を撮らせてもらいま した。 その人こそ、その約1週間後に08年ノーベル生理学医学賞の受賞が決まったドイツの ハラルド・ツール・ハウゼン博士でした。08年秋に開催された「がん政策サミット」 で、ハウゼン博士の発表の様子と世界の子宮頸がん予防ワクチン接種の動向は、全国 から集った患者アドボケートに共有されました。 がん対策推進協議会では、09年3月に「平成22年度がん対策予算に向けた提案書~ 元気の出るがん対策」、10年3月に「平成23年度がん対策に向けた提案書~みんなで 作るがん政策~」を厚生労働大臣に提出していますが、いずれも推奨施策としてワク チン接種を含む「子宮頸がん撲滅事業」が盛り込まれています。政府の「がん対策推 進基本計画」に記載されていなかった施策が、実施に移されることは大きな一歩であ ると言えるでしょう。 もっとも、実効性の確保、安全性の確保など、まだ課題は山積しています。予算に 関しては、費用が100%補助となるのか、国と地方の分担割合がどうなるのかなどが 焦点です。それによって大きく接種率と効果が異なってくることもありえます。財源 については、成長戦略の「元気な日本復活特別枠」が使われる見込みとのことです が、既存のがん対策予算を削るのではなく、別の枠組みから確保することが肝要でし ょう。 また、予防接種だけでなく子宮頸がんの検診も並行して強化することが大切です。 もちろん、副作用もあるため、適切な説明を行うと同時に安全性の確認を継続する ことも欠かせないでしょう。さらには、中学生への接種となるため、教育現場や地 域といっしょに上手な周知や普及啓発の仕方を見つけて共有していくことも課題と なっています。そして、さらに有効性が高いワクチンの開発も進めなければなりま せん。まだまだみんなで見守り、声をあげ続ける必要性がありそうですね。 (セ ンター長 埴岡 健一) ■参考サイト >>「平成22年度がん対策予算に向けた提案書~元気の出るがん対策~」(3.7MB) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0226-15x.pdf >>「平成23年度がん対策に向けた提案書~みんなで作るがん政策~」(12.4MB) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/dl/s0409-3a.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]がん対策レポート ●基本計画の中間報告書案を審議、今後の方向性を強く打ち出せない報告へ批判続出 第13回がん対策推進協議会が、2010年5月28日、東京都港区で開かれ、がん対策 推進基本計画の中間報告書について審議を行いました。厚生労働省が提示した中間報 告書案に対しては、患者関係委員を中心に修正を求める声が続出。国と都道府県のが ん対策の今後の方向性を左右する大事な報告でもあり、予定の時間を延長して白熱し た議論が交わされました。 >>第13回がん対策推進協議会 レポート http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/13.html ■参考サイト >>第12回がん対策推進協議会 レポート http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/12.html >>第11回がん対策推進協議会 レポート http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/11.html >>提案書取りまとめワーキンググループ(第6回・第7回)レポート http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/working_6_7.html >>タウンミーティング レポート http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/town.1.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [3]インフォメーション ●メールマガジンの購読登録のお願い がん政策情報センターでは、ウェブサイトのリニューアルオープンに伴い、がん政 策レター(メールマガジン)システムを変更いたしました。大変恐縮ですが、これま でのご購読者の方々も下記の購読登録ページより、再度登録をお願いします。なお、 再度ご登録をいただかない場合は、2010年11月より配信されなくなりますので、お早 めにお願いいたします。 今後もみなさまの活動にお役に立つ情報をお届けすると同時に、当センターの活動 の内容もお伝えしていく予定です。ぜひ、がん対策に取り組むお知り合いの方々に も、購読を勧めていただけましたら幸いです。 >>がん政策レター 購読登録ページ https://shimin-iryou.org/plugins/cch/mailmagazine/index.html >>がん政策レター バックナンバー http://ganseisaku.net/impact/mailmagazine/gan_/ ●ウェブサイトの活用方法のご案内 ウェブサイトのリニューアルに伴い、文字検索の機能が新たに加わりました。常に 表示されている右上の空欄に検索したい文字を入力し「検索」ボタンをクリックする とサイト内の文字を検索できます。検索したい文字と関連するイベントなどを知るの にとても便利です。ぜひ、ご活用ください。 ここで、具体的な例を用いて使い方の紹介をさせて頂きます。 □「条例」に関して知りたい場合 1.がん政策情報センターのどこのページからでも検索できますが、下記のページに アクセスしてください http://ganseisaku.net/ 2.文字検索(ホームの右上にあります)に「条例」と入力し、「検索」ボタンをク リックします。 3.「条例」の検索結果(全39件)の要約が表示されます。 4.上からの2番目の「都道府県のがん対策に関する条例」では、条例が一覧表で表 示されます。 http://ganseisaku.net/practices/archives/law/gan_local.html 5.シンポジウムなどの参加レポートも検索されます。 市民と議員の条例づくり交流会議参加レポート http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_others/gan_20100208.html 「全国がんサロン交流会in島根」参加レポート http://ganseisaku.net/practices/reports/kanja/gan_20091013.html 沖縄現地レポート http://ganseisaku.net/practices/reports/kanja/gan_20091102.1.html 6.アドボケートの声なども検索されます。 患者が言わなきゃがん医療は変わらない 〔全3回〕 安岡 佑莉子さん http://ganseisaku.net/impact/advocates/44.1.html 小さな田舎町から大きな挑戦 〔全4回〕 納賀 良一さん http://ganseisaku.net/impact/advocates/20.1.html 誰かがやらなきゃ変わらない 〔全3回〕 郷内 淳子さん http://ganseisaku.net/impact/advocates/19.1.html 患者力の活用を訴えて 〔全3回〕 松本 陽子さん http://ganseisaku.net/impact/advocates/22.1.html 声を届ける 〔全3回〕 若尾 直子さん http://ganseisaku.net/impact/advocates/21.1.html このように、関連する記事や情報を集め、アドボカシー活動に役立ててください。 ●「地域発:がん対策市民協働プログラム」愛知プロジェクトよりお知らせ 「愛知発ピアサポートプロジェクト」では、「心の支援のトレーニング」と「がん 診断時からの情報支援」を実践しております。 この2つの支援は車の両輪であり、全国の患者さんに、同時に伝えることができるよ うに、プロジェクトのウェブサイトを開設しました。今後、プロジェクトで行われる 講演やトレーニング、イベントの開催情報、活動報告を、ウェブサイトの中で積極的 に公開します。ぜひ、ご覧ください。 >>「愛知発:ピアサポートプロジェクト」のページ http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/2010/aichi/aichi.html >>「愛知発:ピアサポートプロジェクト」のページ http://aichipeer.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [4]がん対策トピックス ●都道府県のがん対策に関する条例 鳥取県がん対策推進条例、岐阜県がん対策推進条例、東京都日の出町の「がん医療 費の助成に関する条例」により、10県2市1町の条例が制定されました。 >>都道府県のがん対策に関する条例 http://ganseisaku.net/practices/archives/law/gan_local.html ●がん対策関連情報 >>第4回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=154263 >>平成22年度第5回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会 議事次第 http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=154281 >>がんに関するイベント情報を更新しました。(北海道、8月3日更新) http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kak/gantaisakujyouhou >>しまねのがん対策(島根県、8月3日更新) http://www.shimane-gan.jp/index.html >>徳島がん対策センターについて(徳島県、8月1日更新) http://www.pref.tokushima.jp/docs/2010072800024/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [5]がん対策ニュース >>7件の治験省略認める未承認薬検討会20件「必要性高い」〔産経新聞、8月4日〕 http://sankei.jp.msn.com/life/body/100803/bdy1008032354007-n1.htm >>DPC導入後の業務負担調査、追加集計で実施へ〔医療介護CBニュース、8月3日〕 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100803-00000006-cbn-soci >>地域医療など4テーマで意見募集 秋田〔産経新聞、7月29日〕 http://sankei.jp.msn.com/region/tohoku/akita/100729/akt1007290406000-n1.htm >>中医協:「55年通知」で診療側がトーンダウン〔医療介護CBニュース、7月28日〕 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100728-00000007-cbn-soci >>中医協:新係数導入の影響など調査へ-中医協〔医療介護CBニュース、7月28日〕 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100728-00000006-cbn-soci >>がん対策センター 来月2日に開設へ〔朝日新聞、7月28日〕 http://mytown.asahi.com/tokushima/news.php?k_id=37000001007280001 >>県がん診療連携協議会:がん条例制定要請「患者目線」〔琉球新報、7月27日〕 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-165455-storytopic-1.html >>明細書で「がん」判明も 診療報酬改定で〔共同通信、7月27日〕 http://www.47news.jp/feature/medical/2010/07/post-377.html >>終末期がん患者の看護モデルを研究〔朝日新聞、7月27日〕 http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000001007270002 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール マガジンを配信しております。 配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。 今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策レター 2010年8月10日号(第23号) 発行所 :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター 発行人 :埴岡 健一 編集長 :湯澤 敦子 グレイス 住所 :〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町2-5-3 Tel :03-5614-7796 Fax :03-5614-7795 E-mail :gan_newsletter@healthpolicy-institute.org Web :http://ganseisaku.net/ http://www.shimin-iryou.org/ Copyright(c) 2010 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター 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