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[がん政策レター 2010/10/19(第28号)]日本癌学会学術総会で七位一体の議論を初めて実現

配信日付:2010年10月19日

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010/10/19(第28号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策の
好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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■今週のレター■

[1]センター長コラム
[2]がん対策レポート
[3]インフォメーション
[4]がん対策トピックス
[5]がん対策ニュース

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[1]センター長コラム

●抗がん剤の標準治療が決まるヨーロッパの学会を見学しました

 イタリアのミラノで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の第35回年次学術集会に
参加した帰りの飛行機でこのレターを書いています。ESMOはがん治療の専門家が世界
から集まる学会で、この分野では米国臨床腫瘍学会(ASCO)に次いで重要とされてい
るものです。今年は世界100カ国以上から約1万5000人が参加しました。私は日本から
3人の患者リーダーといっしょにESMOを見学し、たくさんの臨床試験結果の発表を聞
き、ESMOが患者関係者のために実施した「患者セミナー」に参加して欧州の患者団体
と交流し、ミラノのがんセンターも訪問してきました。

 患者にとって関心が高い新しい抗がん剤の標準治療が、多くの場合、ASCOやESMOな
どでの臨床試験の結果発表の結果、決まっていきます。標準治療が変わるような発表
があった場合は、学会に参加した医師たちが、自分の病院に戻って、さっそくその新
しい薬や薬の組み合わせの使用の検討に入る国もあります。

 こうした学会での主な発表を日本語でレポートしているサイト(例:がんナビの
ニュースコーナ)もありますから、日本に居ながらにしてその内容を速やかに把握す
ることもできます。英語が苦手でなければ、ESMOのサイトで、学会の様子を確認する
のもいいでしょう。学会で目の当たりにする臨床試験結果の発表の背景に、臨床試験
のやり方に関してどのようなルールが設定されているのかについては、「がん医療を
専門とする医師の学習プログラムeラーニング」などで、臨床試験と統計学などにつ
いて、関連の深い講義を数コマ受けておけば、理解が進みます。医療関係者と臨床試
験の話をするときにも自信をもって臨めるようになるでしょう。

 現在、多くの分子標的薬(がんが増える際の細胞の信号伝達経路を阻害することで
がんを抑える薬)が開発中で、臨床試験が行われています。その状況は、例えば「開
発中の抗がん剤」などのサイトで知ることができます。新しい抗がん剤や新しい薬の
組み合わせが標準治療になっていくのは、患者にとって恩恵があることです。ところ
が、海外で承認されたり、使用可能になったものが、日本で使えない状態になれば、
それはドラッグ・ラグ問題となってしまいます。標準治療に用いられるような新しい
薬が誕生するなかでは、さらにドラッグ・ラグ問題解消の努力が大切にもなってくる
わけです。ESMOに参加して、私たちはどのようながんの種類についてどのような臨床
試験が行われているのか、概要を知ることができました。

 欧州の患者団体との交流も行いました。女性の肺がんの患者団体であるWALCE(欧
州女性対肺がん連合)、腎臓がんや肉腫など稀少がんの対策強化を訴えるIKCC(国際
腎がん連合)、乳がん団体の欧州全体組織であるEUROPA DONNA(欧州乳がん連合)の
幹部と面談して詳しく話を聞くことができました。また、学会が1日半にわたって
行った「患者セミナー」に参加した際に、ECPC(欧州がん患者連合)などの活発な活
動を知ることができました。印象に残ったのは、組織マネジメントのたくみさです。
患者経験者が運営の中心にいて強い使命感を維持していること、優秀な人材による強
力な事務局をもって有効な活動を効果的に繰り広げていること、欧州連合や国の議会
や政府に強く政策提言を行っていること、国際的な連携に力を入れていること、など
に感銘を受けました。また、イタリアでは近年、がん経験者の雇用を守る法律が制定
されたと聞き、大いに興味を持ちました。ぜひ、原文を取り寄せてどんな内容か確認
したいと思っています。

 イタリアでトップクラスのがんセンターといわれる「欧州がん研究センター」を訪
問しました。たいへん合理的な運営がされていました。同センターで治療を受けるす
べての患者が組織検体バンクにがん細胞を提供すること、乳がん患者で再建手術が対
象となりえる患者が再建手術をほぼ例外なく受けること、日帰り手術と外来化学療法
に力を入れていること、がん医療は基本的に患者負担がなく無料であること、などが
印象に残りました。今回のESMOツアーについては、3人の患者アドボケートの感想も
含めたレポートを掲載予定で、このメルマガでもお知らせします。ご期待ください。
(センター長 埴岡 健一)

■参考サイト

>>欧州臨床腫瘍学会(ESMO2010年学術集会)(英語)
http://www.esmo.org/events/milan-2010-congress.html

>>がんナビ ニュース一覧
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/

>>がんナビ 開発中の抗がん剤
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/cancernavi/development.html

>>がん医療を専門とする医師の学習プログラムeラーニング(臨床研究と生物統計
学)
http://www.cael.jp/lecture_list/#title_common_01

>>ESMO患者セミナー(英語)
http://www.esmo.org/events/patient-seminar-2010.html


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[2]がん対策レポート

●日本癌学会学術総会で七位一体の議論を初めて実現 患者代表にもがん研究に関す
る提言求める

 がんの基礎研究を中心とした分野の学会である「日本癌学会」(理事長:野田哲
生・癌研究会癌研究所所長)は、2010年9月23日、大阪府大阪市で開催した第69回学
術総会の特別企画として「今がん研究に求められること―がん研究に関する提言―」
を開きました。医学研究の発表が中心の学会総会で、患者・家族、医療者、国会議
員、行政、製薬会社、マスコミ関係者が一堂に会し、がん研究について対等な立場で
議論するのは初めてであり画期的。患者・国民との協働を目指した「大阪宣言2010」
を採択し、がん治療の発展に欠かせないがん研究の推進する応援団結成へ大きな一歩
を踏み出しました。

>>第69回日本癌学会参加レポート
http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_nihongan_gakai.html


●たばこ対策の先進事例紹介

 UICC(Union for International Cancer Control:国際対がん連合)は、1933年に
結成された、がん克服のための国際連帯組織で、近年、その主目的を、がん研究の促
進から、がん予防と患者支援に移行しつつあります。がんとたばこの因果関係は各種
研究から明らかであり、今回の世界がん会議においても、たばこ対策が4大テーマの
ひとつとして取り上げられました。前回の世界がん会議においても、たばこ対策は
テーマのひとつであり、がん対策において、ひいては、健康政策全般において、いか
にたばこ対策を促進し、たばこによる健康被害を防いでいくかという課題が、継続的
かつ世界的なテーマであることが伺い知れます。

>>UICC(国際対がん連合)「世界がん会議 たばこ対策セッション」参加レポート
http://ganseisaku.net/practices/reports/world/uicc_tobacco.html

>>UICC(国際対がん連合)「世界がん会議」参加レポート
http://ganseisaku.net/impact/training/advocacy/uicc.html

>>UICC(国際対がん連合)「世界がん会議」ポスター発表レポート
http://ganseisaku.net/practices/reports/world/uicc_poster.html


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[3]インフォメーション

●がん政策レターの再登録のお願い

 がん政策情報センターでは、ウェブサイトのリニューアルオープンに伴い、がん政
策レター(メールマガジン)システムを8月に変更いたしました。大変恐縮ですが、
新システムで登録をされていない方がいらっしゃいましたら、お手数ですが再度登録
をお願いいたします。なお、再度ご登録をいただかない場合は、2010年11月より配信
されなくなりますので、お早めにお願いいたします。
 
 今後も皆さまの活動にお役に立つ情報をお届けすると同時に、当センターの活動内
容もお伝えしていく予定です。ぜひ、がん対策に取り組むお知り合いの方々にも、購
読を勧めていただけましたら幸いです。

>>がん政策レター 購読登録ページ
https://shimin-iryou.org/plugins/cch/mailmagazine/index.html

>>がん政策レター バックナンバー
http://ganseisaku.net/impact/mailmagazine/gan_/


●たばこ対策特設ページ開設

 市民医療協議会では、たばこ対策に関する情報を以下のページに集約しました。是
非、ご活用ください。

>>たばこ対策特設ページ
http://ganseisaku.net/impact/Tobacco/


●「地域発:がん対策市民協働プログラム」愛知プロジェクトよりお知らせ

 「愛知発ピアサポートプロジェクト~がん診断時からのピアサポート モデル事業
~」では、シンポジウム「進めよう がんになっても安心な街づくり」を開催しま
す。患者・市民・行政・医療機関・メディアが一体となって、地域での「がん対策」
のあり方を考えます。ぜひ、ご参加ください。

  対象  :一般(入場無料)
  日時  :10月23日(土)13時30分~16時00分
  会場  :名古屋市立大学病院 中央診療棟3Fホール
  参加費:無料

>>参加の申し込みや、詳細については下記ページをご参照ください。
http://www.tokai-medi.co.jp/news/img-924113106.pdf

>>「愛知発ピアサポートプロジェクト~がん診断時からのピアサポート モデル事業
~」のページ
http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/2010/aichi/p2/p2.html

>>「愛知発:ピアサポートプロジェクト」のページ
http://aichipeer.com/


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[4]がん対策トピックス

●「都道府県別がん死亡改善率」を掲載しました

 2006~2007年と2006~2008年の男女、男性、女性の都道府県別のがん対策基本法制
定後からのがん死亡改善率を掲載しました。数年間のデータを比較することで、自分
が住んでいる地域の死亡改善率の状況を知って、アドボカシー活動に役立ててくださ
い。
 
>>死亡改善率(2006~2008年の横に表示されている三角をクリックすると2006~2007
年のデータが表示されます)
http://ganseisaku.net/gap/data/gan/prefectures/kaizenritsu/establishment/


●「がんの医療資源(全国医師数)」を掲載しました

 2009年の都道府県別にみた病院における常勤換算医師数及び人口100万対常勤換算
医師数医師数のデータを掲載しました。数年間のデータを比較することで、自分が住
んでいる地域の医師数を知って、アドボカシー活動に役立ててください。

>>全国医師数(2009年の横に表示されている三角をクリックすると前年のデータが表
示されます)
http://ganseisaku.net/gap/data/gan/prefectures/doctor/doctor/

※格差データのコーナーでは、死亡率(部位別含む)・死亡改善率・検診受診率・医
療資源などの情報を都道府県別に掲載しております。
http://ganseisaku.net/gap/data/gan/


●千葉県匝瑳(そうさ)市の「がん対策推進条例」を掲載しました

 2009年10月1日に千葉県匝瑳市でがん対策条例が施行されました。その条例を掲載
しました。

>>千葉県匝瑳(そうさ)市の「がん対策推進条例」(PDF)
http://ganseisaku.net/practices/archives/law/gan_local.html/sousa%20city_ordinance.pdf

>>都道府県のがん対策に関する条例
http://ganseisaku.net/practices/archives/law/gan_local.html


●都道府県別のがん対策予算を掲載しました

 新たに平成22年度の各都道府県のがん対策の予算を掲載しました。自分の住んでい
る県の予算と他県の予算を読み比べてると、都道府県格差が存在することに気づかさ
れます。自分が住んでいる地域の予算を知って、アドボカシー活動に役立ててくださ
い。

>>都道府県別のがん対策予算
http://ganseisaku.net/practices/archives/budget/gan_local/gan_torikumi.html

>>都道府県別のがん対策推進計画とアクションプラン
http://ganseisaku.net/practices/archives/plan/local/gan_keikaku.html

>>都道府県別のたばこ対策の計画とアクションプラン
http://ganseisaku.net/impact/Tobacco/gan_Tobacco_practices/gan_tobacco_plan.html


●がん対策関連情報

>>第14回がん対策推進協議会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000tmu7.html

>>がんに関するイベント情報を更新しました。(北海道、10月15日更新)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kak/gantaisakujyouhou

>>平成22年度第2回福岡県がん対策推進協議会の開催について(福岡県、10月12日
掲載)
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/b01/h22-2gantaisakusuishinkyougikai.html

>>山梨のがん情報(山梨県、10月7日更新)
http://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/seizinhoken/ganjyouhou.html

>>しまねのがん対策(島根県、10月6日更新)
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>10月はがん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン月間です(徳島県、
10月6日掲載)
http://www.pref.tokushima.jp/docs/2010082400085/


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[5]がん対策ニュース

>>来年3月「がん専門サイト」開設 検診情報や体験談発信〔河北新報、10月15日〕
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/10/20101015t21011.htm

>>院内がん登録の施設別データ公表へ〔医療介護CBニュース、10月8日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101008-00000009-cbn-soci

>>がん対策の次期計画策定へ議論スタート〔医療介護CBニュース、10月8日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101006-00000015-cbn-soci

>>海外普及薬9品 新たに治験の省略認める 厚労省〔産経新聞、10月6日〕
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/101006/wlf1010062111002-n1.htm


※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2010年10月19日号(第28号)

発行所	:日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人	:埴岡 健一
編集長	:湯澤 敦子 グレイス

住所	:〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町2-5-3
Tel	:03-5614-7796
Fax	:03-5614-7795
E-mail	:gan_newsletter@healthpolicy-institute.org
Web	:http://ganseisaku.net/
	 http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2010 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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