配信日付:2010年12月14日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010/12/14(第32号) ■□ がん政策レター □■ 日本医療政策機構 市民医療協議会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策の 好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┏━「がん患者意識調査2010年」アンケート調査の締切迫る!━━━━━━━┓ まだ、ご回答されていない方は、下記のアンケートのページまで http://ganseisaku.net/impact/reports/gan_ishiki_2010.html ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ■今週のレター■ [1]センター長コラム [2]がん対策レポート [3]インフォメーション [4]がん対策トピックス [5]がん対策ニュース ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1]センター長コラム ●がん対策推進協議会の「集中審議」に注目を 2010年12月10日に第16回がん対策推進協議会(以下、協議会)が開催されました。 今年9月に厚生労働大臣に就任した細川律夫氏が、初めて出席し、冒頭のあいさつで 「この協議会は、国会で議員発議にて全会一致で成立したがん対策基本法に基づいて 設定されている。協議会の運営については、多くの委員から厳しい意見もいただいた ので、厚生労働省としてしっかり受け止め、対応していきたい」と述べました。前回 11月19日の協議会で辞意を表明していた協議会会長の垣添忠生氏は、「(来年3月ま での)任期をまっとうしたい」と、引き続き会長を務めることとなりました。そし て、1)専門委員会の設置や集中審議でしっかり議論をする2)協議会の運営を見直し ていく3)患者関係委員と協議会事務局との意志疎通のために意見交換会を定期的に 行う--としました。 専門委員会を設けて審議するテーマとしては、前回決定した「がん研究」と「小児 がん」の他に、「緩和ケア(在宅医療含む)」を加えて3つとすることが決まりまし た。また、集中審議するテーマは、「相談支援」「がん計画・がん対策指標」など10 項目程度になりそうです。同会では、今後の議論の進め方を審議したあと、今回の集 中審議テーマであった「がん診療連携拠点病院」について議論がありました。地域の 実情にあった柔軟な指定のあり方、地域の医療機関の実質的な連携の促進、拠点病院 の相談支援が実際の効果を生む仕組み--などについて意見交換がされました。拠点 病院に関する審議は、11年1月中旬ごろと予想される次回の協議会でも継続されま す。読者のみなさんも、ぜひ引き続き協議会ウォッチを続けてください。 12月6日には、国立がん研究センターの「がん対策情報センター 外部委員意見交 換会」が開催され、委員を務める私も出席いたしました。この会議は、がん情報の提 供などを行っている「がん対策情報センター(以下、情報センター)」の運営などに ついて、意見を交換するものです。話題になったのは、1)情報センターの目標設定 の見直し2)「がん相談対話外来(セカンド・オピニオン外来)」の結果3)患者にメ リットがあるがん登録のあり方について4)「患者必携」の普及促進--などでし た。また、10月8日に「都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会(原則、都道府県 に一つずつある都道府県全体の拠点病院が集まる会議)」に、「臨床試験部会」が設 置されたことが紹介されました。この意見交換会の資料や議事録も公開されます(12 月6日会議の資料はまだ公開されていません)。役立つ情報もあると思いますので、 ご覧ください。 11月26日には、東京で開催された第4回アジア乳がん患者大会に出席いたしまし た。韓国、シンガポール、台湾、日本からの、それぞれ素晴らしい活動報告のあと、 私は「患者アドボカシー その役割と期待」とのミニ講演をさせていただきました。 そして、7人のパネリストで「今、私たちにできること」をテーマに、ディスカッ ションをしました。患者と現場の視点から鋭い指摘が多いことに、感銘を受けまし た。翌日の27日には、医療の質・安全学会のシンポジウム「21世紀の新しい医療シス テムへ」に参加しました。21世紀には「患者中心で、より安全で質の高い医療のビ ジョンが目指される」との議論でしたが、私は「21世紀の医療システムには、患者・ 市民・地域社会が医療政策を決める21世紀型の合意形成システムが不可欠であるので は」と指摘しました。とてもスケールの大きなテーマで、参加させていただいて大変 勉強になりました。 12月1日には、全国健康保険協会(協会けんぽ)の運営委員会がありました。協会 けんぽは、全国約3500万人が加入する巨大な医療保険です。主に、中小企業にお勤め の方々とご家族が加入しています。私は、協会けんぽの経営方針を議論する運営委員 会の委員をしているのですが、改革が遅々としており、はがゆい思いをするときが多 くなっています。協会けんぽの加入者への意識調査では、8割以上の人が「医療を守 り質を上げるためには、自分の医療費払いの負担が増えてもいい」と答えています。 一方で、協会けんぽ経営側は、「不況と財政難の折から、医療費や保険料を増やして はならない」と考えています。この折り合い点が見つからないのです。私は、患者、 保険加入者など一般の方々が協会けんぽの運営に関心をもって、加入者の意見によっ て経営が行われることが大切と考えています。ぜひ、協会けんぽの運営委員会や、国 民皆保険制度全体を議論している社会保障審議会医療保険部会も、ウォッチ項目に入 れてください。 ここ1年ほど、特にがん患者の経済的負担の軽減に関しては、大きな話題となって きました。その対策のひとつとして高額療養費制度の上限の引き下げが議論されてい ましたが、12月2日には、実施が見送りと決まりました。それを実施するために掛か る2600億円の財源が見つからないというのが理由でした。 11月26日のアジア乳がん患者大会のディスカッションの際も、抗がん剤治療などで 患者さんの経済的負担が大きくなり、苦しんでいる方が増えていることが喫緊の課題 として語られていました。日本のがん治療の自己負担額を無料にするには約5000億円 あればいいという試算もあるそうです。私は、ポケットにあった500円玉を示しなが ら、会場のみなさんに尋ねました。「がん医療を無料にするために、毎月ワンコイン (500円)を余計に出してもいいという方は手を挙げてください」。ほぼ全員が挙手 をしてました。月500円ずつ12カ月で1年6000円。1億人が同意すれば6000億円とな り、5000億円を上回ります。 国民には医療にもっとお金を配分したいという人が多く、政治家や行政の多くの人 は国民にこれ以上の負担はけっして求められないと思っています。この壮大なギャッ プをどう考えるべきなのでしょうか。ディスカッションが終わってから、「ワンコイ ン出しますキャンペーンというのがあって、数百万人の署名が集まったら、政府の政 策が変わるのでは」--そんなアイデアも出ていました。(センター長 埴岡健一) ■参考サイト >>第16回がん対策推進協議会資料 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000yj2r.html >>第2回 がん対策情報センター外部委員意見交換会の開催について http://www.ncc.go.jp/jp/cis/ikenkokankai/info20101206.html >>がん対策情報センター 外部委員意見交換会 http://www.ncc.go.jp/jp/cis/ikenkokankai/ >>がん対策情報センター http://www.ncc.go.jp/jp/cis/ >>第4回アジア乳がん患者大会 http://www.buugenvilia.com/event/images/asia2010.PDF >>全国健康保険協会(協会けんぽ) http://www.kyoukaikenpo.or.jp/ >>全国健康保険協会(協会けんぽ)運営委員会 http://www.kyoukaikenpo.or.jp/6,1481,68.html >>第43回社会保障審議会医療保険部会配布資料 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000xgrs.html >>高額療養費制度を利用される皆さまへ http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/100714.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2]がん対策レポート ●四国におけるがん情報サービス向上に向けた地域懇話会 現地レポート 四国4県のがん患者団体が県境を超えて交流を深め、全体のがん対策を底上げして いこうと、2010年5月に「四国がん対策連携協議会」が設立され、全国でも珍しい 「ブロック単位」の取り組みが始まりました。第1弾のイベントとして10年11月14 日、香川県高松市で「四国におけるがん情報サービス向上に向けた地域懇話会」4県 (香川県、愛媛県、徳島県、高知県)合同タウンミーティングが開かれ、各県の患者 会代表と県担当者らが参加し、それぞれの県の現状や課題を語り合いました。懇話会 の内容を中心に、四国の新たな動きを紹介します。 >>四国におけるがん情報サービス向上に向けた地域懇話会 現地レポート http://ganseisaku.net//practices/reports/domestic/gan_shikoku.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [3]インフォメーション ●「がん患者意識調査2010年」アンケート調査の締切迫る! 当機構では、がん患者さんやそのご家族を対象としたアンケート調査を実施してい ます。アンケート期間も、残すところあと7日間となりました(12月20日、月曜日ま で)。一人ひとりの声が、がん医療をより良いものにしていくための原動力となりま す。皆さまの貴重なご意見を、是非ともお寄せください。 アンケートは、下記ウェブページからご回答いただけます。まだご回答いただけて いない方は、お時間がございましたらぜひともよろしくお願いします。 >>「がん患者意識調査2010年」アンケートのページ http://ganseisaku.net/impact/reports/gan_ishiki_2010.html ●「地域発:がん対策市民協働プログラム」高知プロジェクトよりお知らせ 高知プロジェクト「高知発、がん患者支援プロジェクト」では、在宅ホスピスボラ ンティアの育成講座を開催します。実際の活動の紹介をふまえて、ホスピスケアに必 要な知識とスキルを学びます。一般の方を対象に行いますので、ご興味のある方は、 下記連絡先までお電話のうえ、ご参加ください。 対 象:一般 日 時:12月25日(土)9:30~19:00 会 場:高知市文化プラザかるぽーと 9階 第3学習室 連絡先:がん相談センターこうち(TEL:088-854-8762) >>詳細については下記ページをご参照ください。 http://www.ikkikai.i-tosa.com/ >>「高知発、がん患者支援プロジェクト」のページ http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/2010/kochi/kochi.html ●患者アドボカシーワークブックを公開しました 患者さんの立場からアドボカシー(提言)活動を行う方に、本書を通じて、医療政 策における課題を認識するだけでなく、実際に行動を起こすための足掛かりが得られ るよう編集しています。本書を手にとった皆さまの声が医療政策を正しい方向に導 き、すべての患者さんが納得してより良い医療を受けられる社会の実現を目指してい ます。 >>詳細については下記ページをご参照ください。 http://shimin-iryou.org/impact/training/workbook/download.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [4]がん対策トピックス ●「がんの医療資源(専門看護師数、認定看護師数)」2010年を掲載しました 2010年の都道府県別の医療資源(がん看護の専門看護師数、皮膚排泄ケアの認定看 護師数、緩和ケアの認定看護師数、がん化学療法看護の認定看護師数、がん性疼痛看 護の認定看護師数、訪問看護の認定看護師数、乳がん看護の認定看護師数)を掲載し ました。前年と比較し、自分が住んでいる地域の医療資源の状況を知って、アドボカ シー活動に役立ててください。 >>がんの医療資源(がん看護の専門看護師数) http://ganseisaku.net/gap/data/gan/prefectures/doctor/nurse_gankango/ ●がん対策関連情報 >>平成22年度地域がん登録委員会を開催しました(秋田県、12月6日掲載) http://www.pref.akita.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1290132876615&SiteID=0000000000000&FP=whatsnew >>在宅緩和ケア関連ページ(連携パスの試行が始まりました)(高知県、12月3日掲載) http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/130401/cancer-kanwacare.html >>がんに関するイベント情報を更新しました。(北海道、12月3日更新) http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kak/gantaisakujyouhou >>しまねのがん対策(島根県、12月2日更新) http://www.shimane-gan.jp/index.html >>「鹿児島県がん診療指定病院」を追加指定しました(鹿児島県、12月1日更新) http://www.pref.kagoshima.jp/kenko-fukushi/kenko-iryo/seikatusyukan/cancer/ganshiteihp.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [5]がん対策ニュース >>がん診療拠点病院整備を要望 長野〔産経新聞、12月8日〕 http://sankei.jp.msn.com/region/chubu/nagano/101208/ngn1012080219000-n1.htm >>がん登録で患者情報収集 病名、治療法把握し対策方針〔毎日新聞、12月7日〕 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101207ddm041010155000c.html >>がん看護 臨床実践研修閉講 19人に修了証〔中日新聞、12月7日〕 http://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20101207/CK2010120702000145.html >>がん対策情報センターの目標達成度を報告〔医療介護CBニュース、12月6日〕 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101206-00000006-cbn-soci >>条例:松本など10市制定 罰則への対応分かれ /長野〔毎日新聞、12月6日〕 http://mainichi.jp/area/nagano/news/20101206ddlk20010026000c.html >>がん診療専門の腫瘍センター、12年開設 磐田市立病院〔朝日新聞、12月6日〕 http://mytown.asahi.com/areanews/shizuoka/TKY201012050307.html >>がん対策条例:知事、検討意向 患者要望に応え〔毎日新聞、12月2日〕 http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20101202ddlk01010220000c.html >>高額療養費:低所得者への負担軽減見送り〔毎日新聞、12月2日〕 http://mainichi.jp/select/today/news/20101203k0000m040071000c.html >>原爆症認定:基準の見直しが焦点 検討会、9日初会合〔毎日新聞、12月2日〕 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101203ddm012040003000c.html >>来年度たばこ増税見送り 12年度以降の検討課題〔時事通信、12月2日〕 http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010120200995 >>「地域医療確保推進事業」は再生基金で対応〔医療介護CBニュース、12月1日〕 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101201-00000010-cbn-soci >>運営交付金の削減反対 6国立高度医療研究センター〔朝日新聞、12月1日〕 http://www.asahi.com/politics/update/1130/TKY201011300596.html >>自治体3割が接種助成方針 来年度、頸がんワクチン〔共同通信、11月30日〕 http://www.47news.jp/feature/medical/2010/11/post-460.html >>ワクチン臨床試験報道~卵巣がん体験者の会代表に聞く~〔朝日新聞、11月30日〕 http://www.asahi.com/health/clinical_study/101130_interview.html >>たばこ代支出、値上げで7割減…10月家計調査〔読売新聞、11月30日〕 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20101130-OYT1T00914.htm >>たばこ値上げから2ヶ月、喫煙率に変化は?〔ダイヤモンド、11月30日〕 http://diamond.jp/articles/-/10256 >>10年度補正予算成立、医療・介護1.2兆円〔医療介護CBニュース、11月29日〕 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101129-00000005-cbn-soci ※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。 http://ganseisaku.net/newsclip/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール マガジンを配信しております。 配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。 今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策レター 2010年12月14日号(第32号) 発行所 :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター 発行人 :埴岡 健一 編集長 :湯澤 敦子 グレイス 住所 :〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町2-5-3 Tel :03-5614-7796 Fax :03-5614-7795 E-mail :gan_newsletter@healthpolicy-institute.org Web :http://ganseisaku.net/ http://www.shimin-iryou.org/ Copyright(c) 2010 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●がん政策レターを購読ご希望の方は下記URLにアクセスしてください。 https://shimin-iryou.org/plugins/cch/mailmagazine/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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