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[がん政策レター 2011/02/22(第37号)]小児がん対策、緩和ケア、がん研究、相談支援のあり方を考えよう

配信日付:2011年02月22日

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011/02/22(第37号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策の
好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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英文組織名変更に伴い、メールアドレスも変更になりました、前号より、
「 gan_newsletter@hgpi.org 」のアドレスで送信させていただいています。


[1]センター長コラム
[2]がん対策レポート
[3]インフォメーション
[4]がん対策トピックス
[5]がん対策ニュース

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[1]センター長コラム

●小児がん対策、緩和ケア、がん研究、相談支援のあり方を考えよう

 今回は、この2週間に見聞きした6つの会議やイベントのことを、記しておきます。

 2月9日には、がん対策推進協議会・小児がん専門委員会が開催され、傍聴してきま
した。テーマは前回に引き続き「小児がんの診療体制について」。参考人の多田羅竜
平氏が、英国の充実した小児がんの治療、緩和ケア、患者・家族支援体制を紹介し、
ひとつの目指すべき姿を示しました。委員会の議論は、主に治療施設の集約の仕方に
ついて進みました。ごく少数の拠点となる専門病院と、一定の数の地域の連携病院、
そしてどこに住んでいても行くことが難しくない地元の病院、といった風に階層化す
るイメージが共有されていました。

 それぞれがどのような機能と役割を持つのか、どれぐらいの施設数が必要なのか、
現況から新しい体制にどう移行していくのか--など、次回の同委員会で委員長から
素案が示される見込みです。また、次回は「患者・家族支援と長期フォローアップ」
が審議テーマとなります。

 12日には、「がんの子供を守る会」が「小児がん対策に関する意見交換会」を開催
しました。理事の近藤博子さんが司会をしたセッションで、私は「患者家族の声をど
う政策提言に活かすか」とのタイトルで講演をしました。同会は相談支援や療養援
助、研究助成などの事業を活発に行ってきましたが、「これからは政策提言をより活
発にしたい」とのことでした。小児がん専門委員会が設置され、第2期がん対策推進
基本計画(2012~16年度)に小児がん対策が盛り込まれようとしている現在、とても
タイムリーな動きと感じました。

 19日は「小児がんゴールドリボンキャンペーン・JAPAN・2011」を見学してきまし
た。小児がん経験者が集まり、後遺症、進学、就職、結婚、生活などにまつわるサバ
イバーシップと呼ばれる課題を解消するために作った集まりである、「小児がんネッ
トワークMNプロジェクト」などが主催したものです。小児がんの患者さん、ご家族、
サバイバーが集まり、小児がんに関する学習と交流をしていました。

 ここで紹介されていた「小児がん経験者:その治癒とケア(エリーチェ宣言)」に
一種の衝撃を受けました。2006年10月にイタリアのシシリア島エリーチェで開催され
た国際会議で出されたものです。(1)疾患と合併症に行った治療の要約を書面で患者
と親に提供し、生涯にわたってケアができる医療提供者を紹介すること(2)医師だけ
でなく、看護師、心理学者、ソーシャルワーカーなど、多職種の専門家から成るフォ
ローアップ外来システムが構築されていなければならない(3)小児がん経験者も教
育、職業、保険、医療ケアを一般と同様に受けることができる社会とならなければな
らない--といった3カ条を含む、10カ条からできています。欧州の国々は共にこの
ゴールを目指しているとのこと。会場にいたみんなが、日本でも同様の宣言がほしい
と思ったことでしょう。

 20日には、「千葉県在宅がん緩和ケアフォーラム がんでも、住み慣れた地域で安
心して過ごせるように」の見学にいってきました。NPOである「千葉・在宅ケア市民
ネットワーク ピュア(代表:藤田敦子氏)」と千葉県、千葉県がんセンターが、市
民団体・行政・医療提供者という立場を超えて共同開催したもので、約500人入る大
きなホールが一杯になっていました。講演、パネルディスカッションとも聞きごたえ
のある内容で、参加者がずっと集中力を切らさずに聞きいっている姿が印象的でし
た。「地元発の在宅ケア力を高める」ことに成功する地域が全国に広まっていく姿を
夢想しました。がん対策推進協議会の緩和ケア専門委員会は、25日に開催されます
が、このようなことも視野に入れる必要があるでしょう。

 18日は、「がん患者必携」に関する研究班の班会議をのぞいてきました。患者必携
など情報の有効性や届け方を研究しているのです。10数県から参加者があります。患
者の悩みの解消こそみんなの英知を結集して解決すべき課題でしょう。患者必携の配
布、地域版の作成などで地域の温度差が広がる可能性があります。ご自分の地域で患
者必携への取り組みが進んでいるかどうか、点検してみてください。

 14日には、がん対策推進協議会のがん研究専門委員会を、傍聴しました。基礎研究
→前臨床研究→早期臨床試験→適応拡大試験→標準治療の浸透、といった研究段階流
れ図の中で、横串を通した切れ目のない開発体制を戦略的に整備しようということが
共通認識となっていると感じました。それを実際にどう実現するかが問われるところ
です。また、治療技術の研究だけでなく、政策や予防に関する研究も対象であること
が確認されていました。そこまで一貫した体制を取らなければ、本当に戦略的といえ
ないのでしょう。

 次のがん対策推進協議会は3月上旬に開催されますが、議題は、「相談支援と情報
提供」です。患者関係者にとって最も関心が高い分野だと考えられます。その次の協
議会は3月下旬と見込まれ、がん研究、小児がん、緩和ケアの3つの専門委員会からの
中間まとめも、審議されると予想されます。こうした動きを、引き続き注目していき
たいものです。(センター長 埴岡健一)

■参考サイト
>>第2回小児がん専門委員会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000129tg.html

>>第2回がん研究専門委員会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000012le8.html

>>がんの子供を守る会
http://www.ccaj-found.or.jp/


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[2]がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3]インフォメーション

●メールアドレス変更再度連絡

  英文組織名変更に伴い、メールアドレスも変更になりました。前号より、
「 gan_newsletter@hgpi.org 」のアドレスで送信させていただきます。


●日本医療政策機構、世界の医療政策シンクタンクランキングで10位に

 当機構は2011年1月にペンシルバニア大学が発表した「世界のシンクタンクランキ
ング - The Global Go-To Think Tanks」医療政策部門において昨年に続き2年連続10
位にランクインしました。1位ブルッキングス研究所、2位ランド研究所、3位ジョン
ズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院など米国勢が上位を占める中で、
アジアでは唯一、当機構がトップ10に入りました。

>>詳細はこちら
http://www.hgpi.org/report_events.html?article=144


●「がんナビ」の読者アンケートにご協力ください
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/info/201102/518490.html


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[4]がん対策トピックス

●「がん部位別死亡改善率 基本計画後改善率(2006-2008年)」を掲載しました

 2006年から2008年の都道府県別のがん部位別死亡改善率(11種類)を掲載しまし
た。制定後改善率ではがん対策推進基本計画のベースラインとなる06年の死亡率と比
較することができます。既に掲載している2006-2009年のデータもあわせてご覧くだ
さい。自分が住んでいる地域の部位別死亡率の改善状況を知って、アドボカシー活動
に役立ててください。

>>がん部位別死亡改善率 基本計画後改善率(2006-2008年)胃がん
(この他にも結腸がんなど10種類がございますので、あわせてご参照ください)
http://ganseisaku.net/gap/data/gan/prefectures/buibetsukaizenritsu/stomach-improvement-kihon/2006-2008/all.html

>>がん死亡改善率 基本計画後改善率(2006-2008年)
http://ganseisaku.net/gap/data/gan/prefectures/kaizenritsu/establishment/2006-2008/all.html


●たばこ対策の計画とアクションプラン

 都道府県の平成22年度のたばこ関連予算を掲載しました。各都道府県により、たば
こに関する対策は様々です。ここから、たばこ対策における多数の好事例(ベストプ
ラクティス)が生まれることが期待されます。自分の住んでいる県の計画と他県の計
画を読み比べてみましょう。ここにも都道府県格差が存在することに気づかされま
す。

>>平成21~22年度 都道府県たばこ関連予算(PDF)
http://ganseisaku.net/impact/Tobacco/gan_Tobacco_practices/gan_tobacco_plan.html/Tobacco_budgetH21-22.pdf


●パブリックコメント

>>「秋田県がん対策推進計画アクションプラン(案)」に関する意見募集(パブリッ
クコメント)の実施について
http://www.pref.akita.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1296624286952&SiteID=0

>>「大阪府がん対策推進条例(仮称)」に対する府民意見等の募集について(大阪府議
会、2月1日掲載)
http://www.pref.osaka.jp/gikai_giji/kaikaku/public-comment.html


●がん対策関連情報

>>第6回がん診療連携拠点病院の指定に関する検討会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000012pr8.html

>>第7回がん診療連携拠点病院の指定に関する検討会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000012ijy.html

>>第1回がん研究専門委員会議事録
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000012drt.html

>>第2回小児がん専門委員会資料
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=160627

>>平成22年度第11回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会 議事次第
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000128co.html

>>「病院を探す 緩和ケア病棟のある病院の情報」を更新しました。 
http://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/fTopPage?Openform


>>みやぎのがん情報ポータルサイト(宮城県、2月16日更新)
http://www.pref.miyagi.jp/situkan/gan-portal/top.html

>>しまねのがん対策(島根県、2月16日更新)
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>平成22年度「石川県地域がん診療連携協力病院」及び「石川県地域がん診療連携推
進病院」の募集について
http://www.pref.ishikawa.lg.jp/kenkou/junzurubyouin.html

>>がんに関する医療(愛媛県、2月8日更新)
http://www.pref.ehime.jp/h20180/gan_iryou/index.html


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[5]がん対策ニュース

>>医療国際競争力強化へ共同歩調 国立センターと10大学〔共同通信、2月16日〕
http://www.47news.jp/CN/201102/CN2011021601000098.html

>>神戸市が小児がん診療所に敷地貸与へ〔神戸新聞、2月16日〕
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003806824.shtml

>>がんセンターに新治療棟 宮城県立病院機構中期計画案〔河北新報、2月15日〕
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/02/20110215t11020.htm

>>がん対策条例の素案、府民の意見募集 府議会〔朝日新聞、2月15日〕
http://mytown.asahi.com/areanews/osaka/OSK201102140105.html

>>未成年者の喫煙防げ 田村市対策協〔福島放送、2月15日〕
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=201102159

>>医薬品開発のシームレスな流れなどを検討へ〔医療介護CBニュース、2月14日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110214-00000007-cbn-soci

>><中皮腫>登録制度創設し患者情報を一元化 環境省方針〔毎日新聞、2月14日〕
http://mainichi.jp/select/today/news/20110215k0000m040040000c.html

>>高額療養費制度を活用 時差通勤に活路 悪性リンパ腫〔日本経済新聞、2月13日〕
http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A90889DE0E1E2EBE6E0EAE2E2EBE2E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E0EAE2EBE0E2E3E2EAE5E1EA

>>がん負担、派遣社員ら直撃 「医療格差」懸念 患者アンケ〔毎日新聞、2月12日〕
http://mainichi.jp/area/ehime/news/20110212ddlk38040282000c.html

>>がん拠点病院、11施設を新たに指定へ〔医療介護CBニュース、2月10日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110210-00000012-cbn-soci

>>DPC新係数、「救急医療係数」を再編へ〔医療介護CBニュース、2月9日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110209-00000014-cbn-soci

>>小児がん診療拠点の整備が必要〔医療介護CBニュース、2月9日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110209-00000010-cbn-soci

>>がんセンター事業費調達支援へ 鳥栖商議所が特別委設置〔西日本新聞、2月9日〕
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/225668

>>がん政策 団結し提言 患者会ネット発足〔産経新聞、2月8日〕
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110208/bdy11020807590003-n1.htm

>>がんの心配、「死」よりも「治療費」〔医療介護CBニュース、2月7日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110207-00000007-cbn-soci

>>「患者必携」で医師と患者を橋渡し〔医療介護CBニュース、2月3日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110203-00000008-cbn-soci

>>保険適用された適応外薬のリストを公表-厚労省〔医療介護CBニュース、2月3日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110203-00000002-cbn-soci


※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2011年02月22日号(第37号)

発行所	:日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人	:埴岡 健一
編集長	:湯澤 敦子 グレイス

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Copyright(c) 2011 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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