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[がん政策レター 2011/05/03(第42号)]ゴールデンウィークに読み返したい10冊

配信日付:2011年05月03日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011/05/03(第42号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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東日本大震災により被災された皆さまには心よりお見舞いを申し上げます。
皆さまの安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース

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[1] センター長コラム

【ゴールデンウィークに読み返したい10冊】

 連休の間に読む時間があればと、本棚にある本を引っ張り出してきました。
斜め読み、拾い読み、積読(つんどく)となっていたものが多く、
内容を十分に理解できているかどうかはともかく、私が何らかの刺激を感じる
10冊です。アドボカシー(政策提言活動)について考えるとき、いずれも
何らかの有益なことを示唆してくれる本だと思います。

1冊目:「日本の統治構造 官僚内閣制から議員内閣制へ」
  (飯尾潤著、中公新書、800円=消費税別)
 日本の政治はいったいどっちに向かっているのでしょうか。官僚主導が特色
とされたり、首相(官邸)の力が強くなったと言われたかと思えば総理の座を
“投げ出す”人が続いたり、政権交代で政治主導になるのかと思えば
腰砕けになっているようだったり・・・。アドボケート(政策提言をする人)
としては、政策決定における主導権の流れがどのようになろうとしているのか
を把握しておきたいもの。そんなことを考える際の、基礎的一冊となる本だと
いえるでしょう。

2冊目:「市民の政治学 討議デモクラシーとは何か」
  (篠原一著、岩波新書、720円)
 書名になっている「討議デモクラシー」はあまり耳慣れない言葉ですが、
「1990年代前後から、参加だけでなく、討議の重要性が再認識され、とくに
政治の世界の討議だけでなく、市民社会の討議に裏付けられない限り、
デモクラシーの安定と発展はないと考えられるようになった。これが
討議デモクラシーである」(156ページ)ということらしい。欧米で市民主導の
政策決定が進んでいる様が書かれていることには大きく勇気づけられます。

3冊目:「コミュニティを問いなおす --つながり・都市・日本社会の未来」
  (広井良典著、ちくま新書、860円)
 日本では人類史上未曽有の超高齢化、都市化、単身世帯化、孤立化が進み、
かつてのコミュニティは消滅しようとしているかのようです。何らかの新しい
かたちのコミュニティが必要なのは、間違いないのでしょう。地域に密着した
医療・介護・ケアなどが一体となったその姿はどのようなものなのか。著者の
マクロからミクロまでの広い知識と柔らかな発想力に、うなずかされることが
多い本です。

4冊目:「ボランティア もうひとつの情報社会」
  (金子郁容著、岩波新書、840円)
 1992年に書かれた本。「ボランティアとは、切実さをもって問題にかかわり、
つながりをつけようと自ら動くことによって新しい価値を発見する人です」
(まえがき)とあります。その後の1995年の阪神大震災や今年の東日本大震災
の際には、そのような側面を持つボランティアが大活躍することになりました。
今でも輝きを失わない本であると感じます。

5冊目:「実践!交渉学 --いかに合意形成を図るか」
  (松浦正浩著、ちくま新書、740円)
 行政や政治家が独断で政策を決める時代ではない。意見や立場が多様化し
ほとんどの人の意見が簡単に一致することは少なくなる社会環境にあります。
そんな時代には合意形成に関する知恵が必要となります。提言を実現する
活動に取り組むアドボケートにとって、合意形成プロセスのツボは知って
おいて損にはならないトピックだと思われます。

6冊目:「ファシリテーション革命、参加型の場づくりの技法」
  (中野民夫著、岩波アクティブ新書、740円)
 アドボカシー活動においては、会議やワークショップで仲間の想いや知恵を
引き出して、活動の推進力に“点火”をする局面が多くあるのではないかと
思います。そうしたファシリテーションの具体的なコツが満載されています。
これまで自分が自然にやっていたことを意識化するためにも、役立つかも
知れません。

7冊目:「リーダーシップの旅 見えないものを見る」
  (野田智義・金子壽宏著、光文社新書、780円)
 知識があっても、戦略が描けても、組織の幹部になっても、リーダーシップが
なければ世の中にインパクトを与えることは難しい。では、リーダーシップとは
何なのだろうか。この本は、世の中にあるリーダーについての誤解と幻想を
打ち砕きます。そして、「見えないものを見て、その実現に向けて人々の
価値観や感情に訴え、人々の共感を得て、自発的な協働を促す」「自ら一歩
踏み出して自分が旅を始めることで、結果としてフォロワー(後をついてくる
人)が現れる」といった、新しいリーダーシップ像を示してくれます。
目からうろこが取れて、自分がひと皮むけたような気にさせてくれるかも。

8冊目:「活動家一丁あがり! 社会にモノ言うはじめの一歩」
  (湯浅誠・一丁あがり実行委員会著、NHK出版新書、780円)
 著者の湯浅誠さんは、日本社会の中に貧困が広がっていることをえぐり出し、
「年越し派遣村」を作るなどの活躍をした方。ボランティア活動から政府の
懐に飛び込み、内閣府の緊急雇用対策本部貧困・困窮者支援チーム事務局長を
務め、このたびの大震災の後は内閣官房震災ボランティア連携室長もされて
います。「活動家」という日本語は、何やら少しネガティブなイメージを
伴いがちなコトバになっていましたが、湯浅さんは、「より生きやすい場を
つくろうとする人は、活動家。生きづらい社会を少しでも変えたいと思うとき、
人は誰もが活動家たらざるをえないのだ」と、明るくポジティブに語ります。
そういう意味では、アドボケートもまさに活動家ですね。

9冊目:「科学は誰のものか 社会の側から問い直す」
  (平川秀幸著、NHK出版生活人新書、740円)
 大震災後の原子力発電所事故により、巨大科学にどう手綱をつけるかという
課題がまさにクローズアップされています。著者は、先端的で専門性が高い
問題こそ、政策決定は政府や専門家だけが決めるのでなく、市民や多様な
立場の人が参加して協働で決定していく、「科学技術ガバナンス」が
重要であり、それが世界の潮流であると教えてくれます。原発、
バイオテクノロジー、がん研究・・・どのような分野でも、まさに
市民参加の科学技術ガバナンスが求められているのだと気づかせてくれます。

10冊目:「公平・無料・国営を貫く英国の医療改革」
  (武内和久・竹之下泰志著、集英社新書、680円)
 10年ほど前は患者が手術までに何カ月も待たされるような光景が見られた
英国ですが、その後、大改革を進めています。もともと、「公平・無料・国営」
を原則とする基本的な病院ネットワークを持っています。また、患者の納得と
参加、地域のかかりつけ医の充実、医療の質の可視化(データなどで見える
ようにすること)などが進んでいます。日本の医療改革には閉塞感も漂って
いますが、海外のいいところを取り入れれば、日本の医療はもっとよくできる
はずだと感じさせてくれる一冊です。

 --以上10冊を超駆け足でご紹介してきました。興味のある本は
ありましたか。お気づきのとおり新書本に限ってみたので、全部を揃えても
8000円ほど(古書で求めればおそらく半額以下)。私も時間を見つけて
パラパラとページをめくり、読み直してみようかと思います。

                      (センター長 埴岡 健一)


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

●がん政策サミット2011 参加者募集のお知らせ
(締切間近:5月5日)

 当機構では、来る2011年7月16日(土)、17日(日)、18日(月)に東京都内
にて、「がん政策サミット2011」を開催します。これに伴い、
当イベントにご参加いただける患者リーダーの方々を募集しております。

 今回の「がん政策サミット2011」は、地域のがん対策を担う、患者関係者、
議員、行政、医療提供者の方にご参集いただき、“四位(よんみ)一体”型の
ディスカッションを行います。地域・現場の声から課題を明らかにする方法や、
互いに協力し実行性のある政策を作り上げるポイントなど、
都道府県でがん対策を動かし続けるために必要な具体的ノウハウを、
互いに学び合います。

 また、「特別セッション~東日本大震災から学ぶこと~」では、震災によって
明らかになった問題点を共有し、これから必要ながん対策について、
参加者の皆さまと話し合います。

>>がん政策サミット2011参加者募集
http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/gan_summit_2011/


●患者が求めるがん対策 vol.2 ~がん患者意識調査2010年度版~
(報告書を掲載しました)

 がん患者・経験者やその家族の声から、がん政策に関連する問題点や課題を
可視化するとともに、がん患者・家族のがん政策についてのニーズを把握する
目的のもと、2010年にがん患者識調査を実施いたしました。

 ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。

 調査結果をまとめ、報告書をがん政策情報センター・ウェブページに
掲載しています。皆さまの活動にどうぞお役立てください。

>>患者が求めるがん対策 vol.2 ~がん患者意識調査2010年度版~ 
報告書掲載ページ
http://ganseisaku.net/impact/reports/gan_ishiki_2010.html


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[4] がん対策トピックス

>>震災によるがん診療連携拠点病院の被災状況及びがん患者受け入れ体制一覧 
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/news/2011/kyoten_taisei.html

>>がん診療連携拠点病院(栃木県、4月14日更新)
http://www.pref.tochigi.lg.jp/e04/welfare/gantaisaku/gankyotenbyouin.html


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[5] がん対策ニュース

>>被災地の医療支援一元化へ22日協議会発足〔医療介護CBニュース、4月21日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110421-00000009-cbn-soci

>>NC独法化後初の評価で項目や視点など了承〔医療介護CBニュース、4月20日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110420-00000013-cbn-soci

>>被災後もがん治療を 岩手医大と8県立病院相談窓口〔岩手日報、4月20日〕
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110420_9

>>喫煙者、12年間で9ポイント減 京都市調査〔京都新聞、4月19日〕
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20110419000019

>>重症心身障害児の専用病棟建設へ〔岐阜新聞、4月19日〕
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20110419/201104191030_13631.shtml

>>厚労省 難病やがんなど8薬剤の公知申請妥当〔ミクスオンライン、4月19日〕
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/40661/Default.aspx

>>がんの悩み受け付けます/相談窓口開設へ〔四国新聞、4月17日〕
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/locality/article.aspx?id=20110416000292

>>「歩きたばこ禁止区」成果上々 条例制定見送りへ〔佐賀新聞、4月15日〕
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1872199.article.html

>>日慢協、医療区分の大幅改革などを要望〔医療介護CBニュース、4月13日〕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110413-00000011-cbn-soci


※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2011/05/03(第42号)

発行所	:日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人	:埴岡 健一
編集長	:沢口 絵美子

住所	:〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町2-5-3
Tel	:03-5614-7796
Fax	:03-5614-7795
E-mail	:gan_newsletter@hgpi.org
Web	:http://ganseisaku.net/
	 http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2011 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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