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[がん政策レター 2011/10/18(第54号)]診療報酬と医療計画について学習しよう,

配信日付:2011年10月18日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011/10/18(第54号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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東日本大震災により被災された皆さまには心よりお見舞いを申し上げます。
皆さまの安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] 注目のコンテンツ
[6] がん対策~気になるデータ
[7] 患者さんが作る提言活動の手引き
[8] がん対策ニュース

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[1] センター長コラム

●診療報酬と医療計画について学習しよう

 今回は、医療全般について2つのトピックとりあげます。もちろん、がん医療にも関連す
る話です。

 10月10日、「診療報酬改定」と「地域医療計画」を巡る公開シンポジウムが、東京大学本
郷キャンパス内で開催されました。東大の公共政策大学院にある医療政策教育・研究ユニッ
ト(HPU)が主催したもので、私はこのHPUの客員教授をしているため、企画立案に関わり、
当日はパネルディスカッションの司会をいたしました。

 保険診療での医療行為の支払い額を決める診療報酬は、来年4月からの改定に向け、作業
が進んでいます。また、同じタイミングで介護報酬も改定されます。2年に一度の介護報酬
改定と3年に一度の介護報酬改定が同時に起こるのは6年に一度となり、「同時改定」として
節目の年とされます。特に、在宅医療・ケアや地域医療は両方が強く関連するため、問題点
があるとしたらそのタイミングで対策を打つことが重要となります。それは、がんに関連し
た在宅医療でも同じことです。がん対策推進協議会では、がん領域の診療報酬改定要望項目
を中医協に提出することになっていますが、中医協のおかれている環境や審議の流れを理解
しておくことも大切です。

 診療報酬改定の基本的な方針は、社会保障審議会の医療部会と医療保険部会など厚生労働
省の審議会などで決まります。そして、具体的な配分は中央社会保険医療協議会(中医協)
で議論されます。シンポジウムでは、中医協の前会長で、現在、社会保障審議会医療保険部
会の部会長である遠藤久夫氏(学習院大学教授)は、「中医協の現状と課題」として、中医
協の仕組みを解説したうえで、今回の改定の注目点を挙げました。厚労省保険局企画官の
迫井正深氏は「診療報酬改定の主な論点」として、高齢化と高齢者単身世帯の増加、高齢化
に伴う死亡者数の増加など、医療と介護が置かれている背景を説明したあと、在宅医療、訪
問看護などいくつかの焦点となっているポイントを解説し、長期的な視点から医療・介護サ
ービス提供体制を整備するために、確実にステップを踏んでいくことの重要性を強調しまし
た。患者代表の立場で中医協メンバーとなっている花井十伍氏(ネットワーク医療と人権 
理事)は、「国民視線の診療報酬改定とは」と題して、患者としてのものの見方の重要性を
中医協委員の経験を踏まえて語り、「中医協コンセンサス会議」により広い議論を行うこと
を提案しました。

 都道府県が策定する医療計画は、再来年の春に改定されます。そのための方針が、いま厚
生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会(以下、医療計画検討会)」で進められて
います。現在の医療計画は、4疾病と5事業について章を設けて記載されています。がんは
4疾病の筆頭に書かれており、医療計画と都道府県がん対策推進計画の記載内容が整合性を
もって進められることが必要です。

 医療計画検討会座長の武藤正樹氏(国際医療福祉大学大学院教授)は、「新しい地域医療
体制構築のための政策課題」との演題で、これまで6回の検討会の審議内容を概観したうえ
で、地域連携パスの整備などによる連携強化の重要性を訴えました。また、今回の医療計画
改訂に合わせて医療法を改正し、在宅医療の位置づけを明記することを提案しました。「超
高齢化社会の地域医療ビジョン」をテーマとした高橋泰氏(国際医療福祉大学大学院教授)
は、全国約350カ所ある2次医療圏ごとに人口などの基本情報、ベッド数や医療者数などの医
療機能関連情報、介護施設の数などの介護機能関連情報をひとつにまとめて作成したデータ
ベースを紹介。これを活用することにより、地域間の医療・介護体制の比較もでき、こうし
た点を踏まえて政策を立案すべきと唱えました。東京都文京区と宮城県石巻市で在宅医療を実
践する祐ホームクリニックの武藤真祐さんは、都市部の高齢者のための在宅医療が不足する
というマクロデータに基づいて東京で在宅医療を開始したこと、東日本大震災の後の地域医
療を再構築するため石巻でも診療所を開設したことなど、自分の実践を報告しました。

 前半の診療報酬、後半の医療計画いずれのコーナーでも演者3人に2人のパネルが加わり、
5人でパネルディスカッションが行われました。前半・後半を通して繰り返し語られたこと
は、データや事実に基づいた議論をすること、患者・市民を含めた多くの立場の人が政策決
定プロセスに参加すること、効果ある施策を作ったうえでやりっ放しにせずしっかり遂行し
ていくこと--などでした。この公開シンポジウムのプログラムはHPUのウェブサイトでご
覧いただけますし、演者のスライドや資料は近日中にここに掲載されます。

 平成24年度の厚生労働省予算概算要求が明らかになりました。高齢者社会に対応した地域
医療や在宅医療が強化される内容になっています。がん対策においても、緩和ケア、在宅医
療が重視されているのが分かります。また、小児がん対策、医薬品の速やかな開発や患者へ
の提供、などについても対策が盛り込まれています。国のがん対策予算をウォッチすること
は必須事項でしょうし、国の予算を都道府県が活用するかどうか、都道府県行政等への働きか
けも重要でしょう。10月20日には第26回のがん対策推進協議会が開催され、「在宅医療・チ
ーム医療」も審議事項となります。先に見た診療報酬・介護報酬の同時改定と地域医療計画
改訂の流れも頭に入れて傍聴すると、さらに理解が進むかも知れません。

 10月12日から14日には、フィリピンのマニラ市で開催された国際患者団体連合(Internat
ional Alliance of Patients' Organizations=IAPO)の西太平洋・東南アジア地区会議に出
席しました。IAPOは国際的かつ疾病横断的な組織です。50カ国から50の疾病分野にわたる200
の団体が加盟しており、世界で3億6500万人の患者を背景にしているとのこと。IAPOは、世界
全体で患者の声が高まりそれに基づく医療対策が取られることを求めています。そして、医
療分野の政策提言に患者参加が進み、患者中心の医療が実現することを願って活動をしてい
ます。現在、地域ごとの組織強化も行っており、今回の地区会議はその一環で企画され、地
域内の患者団体・患者支援団体やIAPOの役員やスタッフなど、40人余りが参加しました。

 プログラムには多数のレクチャーがありましたが、講師からの一方向の講演だけでなく、
参加者からの経験や好事例の共有が重視されます。また、「何が患者中心の医療のための障
壁か」「患者中心の医療が実現すれば何の役に立つか」「連帯した活動をどのように展開す
ればいいのか」などをテーマとして、グループディスカッションが多数取り入れられていま
した。用意されたテーマだけでなく、みんなで自由にテーマを決めて議論するコーナーも設
けられていました。最後は、議論に終わらせず行動に結びつけようと、「これから何をどう
していくか」というグループワークが、5つの課題に別れて行われました。

 私は、「アドボカシー(患者の声を高める活動)」チームに入りました。タイ、オースト
ラリア、ポーランド(IAPO役員)からの参加者と共に議論し、「いま最も必要なのは、アド
ボカシーを強化するための研修コース」ということになりました。各国でアドボカシー研修
のニーズがあり、そのための研修が生まれかけていますが、まだまだ発展途上ということが
分かりました。そこで、各地で行われているプログラムを共有して、共通的な研修コースの
枠組みを作成できないか、という問題意識です。具体的に、そのカリキュラムの骨子素案を
作成することになり、私が当面の幹事をすることになりました。

 国によって経済状況や医療体制は違えども、患者中心の医療を高めることが共通課題であ
ることが、よく理解できました。また、そのためのアドボカシー研修の必要性が共有されて
いることは、われわれがみなさんと行っている活動とも共通点が多く、世界への連帯感を大
いに感じました。
(センター長 埴岡 健一)

参考サイト
>>東京大学公共政策大学院医療政策教育・研究ユニット(HPAC)
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/HPU/
>>公開シンポジウム「医療政策の喫緊2テーマを考える」(テーマ1:診療報酬 テーマ2:地域医療計画)プログラム
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/HPU/news/2011/documents/111010_HPU_Symposium_Program.pdf
>>第46回社会保障審議会医療保険部会配付資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001r2af.html
>>中央社会保険医療協議会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008ffd.html
>>中央社会保険医療協議会総会(第198回)資料 入院、外来、在宅医療について(総論)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qd1o-att/2r9852000001qd6n.pdf
>>医療計画の見直し等に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008zaj.html#shingi34
>>第1回医療計画の見直し等に関する検討会資料 医療計画の概要について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zc42-att/2r9852000000zc72.pdf
>>第1回医療計画の見直し等に関する検討会資料 4疾病5事業について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zc42-att/2r9852000000zc7o.pdf
>>第5回医療計画の見直し等に関する検討会資料 在宅医療の現状と課題について(厚生労働省資料)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001jlr7-att/2r9852000001jluv.pdf
>>第4回医療計画の見直し等に関する検討会資料 「二次医療圏データベースを用いてわかること」
(国際医療福祉大学大学院 高橋教授)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001dlb2-att/2r9852000001dlfe.pdf
>>第26回がん対策推進協議会開催案内
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001rd08.html
>>平成24年度厚生労働省予算概算要求の主要事項
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/12syokan/shuyou.html
>>平成24年度厚生労働省予算概算要求の主要事項 安心で質の高い医療・介護サービスの安定的な提供
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/12syokan/dl/9.pdf
>>平成24年度厚生労働省予算概算要求の主要事項 健康で安全な生活の確保
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/12syokan/dl/10.pdf
>>International Alliance of Patients' Organizations(IAPO)国際患者団体連合(英語)
http://www.patientsorganizations.org/
>>IAPO Western Pacific - South-East Asia Regional Programme Local Patient Group Meeting
国際患者団体連合 西太平洋・東南アジア地区プログラム 地域患者団体会議(英語)
http://www.patientsorganizations.org/showarticle.pl?id=1369
>>IAPO toolkit on Working with partners and stakeholders
国際患者団体連合 「連携先と他の立場の相手との協働に関するツールキット」(英語)
http://www.patientsorganizations.org/showarticle.pl?id=1312&n=
>>患者アドボカシーワークブック ダウンロード
http://ganseisaku.net/impact/training/workbook/download.html


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[2] がん対策レポート

●拠点病院の整備を中心とした施策が在宅緩和ケアの整備を遅らせた?!

 第25回がん対策推進協議会が、9月26日、厚生労働省内で開かれました。

 化学療法とドラッグ・ラグについての集中審議を実施。在宅医療に関するヒアリングでは、
「がん診療連携拠点病院を整備するがん対策推進計画が、在宅緩和ケアの整備の遅れにつな
がった」と在宅緩和ケアの推進のために計画の大幅な見直しを求める意見も出ています。

>>第25回がん対策推進協議会レポート
http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/25.html

>>第25回がん対策推進協議会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001plkj.html

>>過去のがん対策推進協議会レポート一覧
http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/


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[3] インフォメーション

●「香川県がん対策推進条例」を掲載しました

 10月11日に「香川県がん対策推進条例」が施行されました。

>>都道府県のがん対策に関する条例
http://ganseisaku.net/practices/archives/law/gan_local.html


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[4] がん対策トピックス

>>第26回がん対策推進協議会〔10月13日更新〕
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001rd08.html

>>各種がんシリーズの冊子〔10月12日更新〕
http://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/cancer.html

>>「平成23年度がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン」について〔10月3日更新〕
http://www.gankenshin50.go.jp/campaign/


>>「がん検診推進タウンミーティング」を開催しました(その2)〔10月14日、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1318384728363/index.html

>>知ってる?乳がんのこと。〔10月14日、京都府〕
http://www.pref.kyoto.jp/kenshin/1316602964655.html

>>沖縄県がん対策推進条例(仮称)骨子案について県民の皆様の御意見を募集します〔10月14日、沖縄県〕
http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/contview.jsp?cateid=92&id=25493&page=1

>>滋賀県たばこ対策推進会議の開催について〔10月13日、滋賀県〕
http://www.pref.shiga.jp/hodo/e-shinbun/ef00/20111013.html

>>がん検診について〔10月13日、兵庫県〕
http://web.pref.hyogo.lg.jp/hw12/hw12_000000101.html

>>しまねのがん対策〔10月13日、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>がん医療〔10月12日、神奈川県〕
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f300664/

>>がんに関する小冊子等について〔10月12日、福井県〕
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kenkou/gantaisaku/shosassi.html

>>市町等が実施するがん検診に関する情報を掲載しています。〔10月12日、福井県〕
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kenkou/gantaisaku/gankensin.html

>>【「がん検診へ行こうよ」キャンペーン】新着イベント情報〔10月12日、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/page/1306200936633/index.html

>>「がん検診推進タウンミーティング」を開催しました(その1)〔10月11日、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1317963091460/index.html

>>10月は「やまぐちピンクリボン月間」です。~乳がん・子宮がん検診を受けましょう~〔10月11日、山口県〕
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a15200/kenkou/20110930001.html

>>山梨のがん情報〔10月7日、山梨県〕
http://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/seizinhoken/ganjyouhou.html

>>愛知県がん診療拠点病院指定要領〔10月7日、愛知県〕
http://www.pref.aichi.jp/0000031838.html

>>子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業について〔10月7日、徳島県〕
http://www.pref.tokushima.jp/docs/2010122700113/

>>北海道がん対策推進条例(仮称)制定に係る地域意見交換会の開催について〔10月6日、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kak/gan-jyorei-chiikiiken.htm

>>たばこ対策〔10月5日、石川県〕
http://www.pref.ishikawa.lg.jp/kenkou/bunen/index.html

>>がんを知る展〔10月3日、滋賀県〕
http://www.pref.shiga.jp/hodo/e-shinbun/ef00/231003.html

>>10月は「がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン月間」です。〔10月1日、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1317621925962/index.html

>>がん検診受診率向上のための取組〔10月1日、栃木県〕
http://www.pref.tochigi.lg.jp/e04/welfare/gantaisaku/gankenshin.html

>>「平成23年度がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン月間」について〔10月1日、埼玉県〕
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/chiiki-hoken-suishin/satte-h23-gan-gekkan.html

>>平成23年度「がん検診受診率50%達成に向けた県民メッセージ」の募集について〔10月1日、山口県〕
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a15200/kenkou/canser_message.html


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[5] 注目のコンテンツ

●海外のアドボカシー事例を知ろう

 がん政策情報センターでは、患者アドボケートの方に、海外のアドボカシー事例を
学んでいただく場として、海外の主要学会の参加支援を行っています。
これまで、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2011年)、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2009、2010年)、
国際対がん連合(UICC)主催の世界がん会議(2010年)などをご案内し、レポートとして
公開しております。

 患者アドボケート視線から、世界のがん関連学会の動きや、海外と日本のがん対策の違いに
ついて知ることができます。

 ぜひ、海外のアドボカシー事例をチェックしていただき、日頃のアドボカシー活動の参考
にしてください。

>>海外のアドボカシー事例研究
http://ganseisaku.net/impact/training/advocacy/


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[6] がん対策~気になるデータ

●がん検診

 このコーナーでは、がん対策に関連する気になる情報やデータをご紹介します。
今回は「がん検診」に注目します。

 当機構で実施したがん患者意識調査では「がん検診」に関連する質問をいくつか設けまし
た。「がんと診断される前に検診を受けていたか」という問いに対して、がん検診を受けて
いなかったと回答した方が46.7%。がん検診を受けなかった理由としては「必要性を感じなか
った」が65.4%ともっとも多くの回答を集めました。

>>患者が求めるがん対策 vol.2 ~がん患者意識調査2010年度版~(2010年度調査)
http://ganseisaku.net/impact/reports/gan_ishiki_2010.html

 がん検診については、がん対策推進基本計画の中の「がんの早期発見」という分野におい
て取り組むべき施策や具体的な目標が立てられており、がん対策における重要なテーマの一
つとなっています。厚生労働省のがん対策の推進に関連する平成24年度概算要求の中でも、
がん検診の重要性や検診方法の理解を促し検診受診率の向上を図ることなどに関する予算が
組まれています。

 内閣府が2009年に実施した世論調査の中でも、がん検診が取り上げられています。例えば、
「がん検診はがんの早期発見、早期治療につながる重要な検査だと思うか」という問いに対
して、「重要と思う」とする人の割合は97.4%となっており、その重要性は広く認識されて
いると言えるでしょう。その他にも、がん検診の受診状況に関する質問なども設けられてい
ます。

>>がん対策に関する世論調査(平成21年9月調査)
http://www8.cao.go.jp/survey/h21/h21-gantaisaku/2-1.html

 がん検診の重要性の認識だけではなく、検診受診率を上げるための施策や効果のある検診
が行われるような施策も重要となります。例えば、厚生労働省のウェブページでは、都道府
県別や市区町村別のがん検診の費用に関する調査結果が公開されており、平成20年度の実績
額を確認することができます。今後は、これらの数値を生かしながら、がん検診の評価やそ
れに基づくさらなる施策が求められるのではないでしょうか。

>>市区町村におけるがん検診の費用に関する調査
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_kenshin.html

(プログラム・オフィサー 山口 綾香)


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[7] 患者さんが作る提言活動の手引き

●がん条例の役割

 前回も少しご紹介しましたが、がん政策情報センターでは、全国のがん対策推進条例の成
立の動きに注目してきました。制定県は15にのぼりますが、つい先日、香川県で提案・可決
されたとの一報が入りました。
>>都道府県のがん対策に関する条例
http://ganseisaku.net/practices/archives/law/gan_local.html

 がん対策における条例の役割とは、どんなものでしょうか。アドボカシーワークブック~
患者さんが作る政策提言の手引き~では、テーマ1‐9で、「がん条例の役割と策定プロセス」
をご紹介しています。条例成立により、がん予算の増額やがん対策担当者の増員など、確か
な効果があがっているケースが多いようです。
>>患者アドボカシーワークブック ダウンロード
http://ganseisaku.net/impact/training/workbook/download.html

 実際の条例を読んでみると、がん対策への取り組みのビジョンのほか、都道府県のがん対
策推進計画のあり方や、細かな施策まで踏み込んで記載されています。2011年には、国から
地方への権限移譲を進める観点から、いわゆる地方分権法(地域の自主性及び自立性を高め
るための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律)が施行されています。これ
を受けて、がん対策基本法の一部が改正され、これまで「都道府県がん対策推進計画」は都
道府県に変更の義務が課せられていましたが、努力義務となりました。今後、条例の策定や
見直しの際には、こうした点にも留意して、計画の策定を条項に盛り込むなど、継続性のある
がん対策を担保する条例づくりが期待されます。

>>地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律
http://www.cao.go.jp/chiiki-shuken/110428.html

(プログラム・オフィサー 沢口 絵美子)


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[8] がん対策ニュース

>>大腸がん 無料検診開始/神戸市[10月17日、読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hyogo/news/20111017-OYT8T00041.htm

>>石川県内の葉タバコ農家 7割が廃作 増税、禁煙ムードで[10月16日、北国新聞]
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/HT20111016401.htm

>>がん:心配、何でも相談 全国388施設に「支援センター」[10月16日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/select/science/news/20111016ddm013100163000c.html

>>府がん対策推進会議25日に設立総会 記念シンポも/京都[10月15日、読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kyoto/news/20111015-OYT8T00001.htm

>>無料クーポンを配布/根室市、大腸がん検診率向上を[10月14日、釧路新聞]
http://www.news-kushiro.jp/news/20111014/201110146.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2011/10/18(第54号)

発行所	:日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人	:埴岡 健一
編集長	:沢口 絵美子

住所	:〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町2-5-3
Tel	:03-5614-7796
Fax	:03-5614-7795
E-mail	:gan_newsletter@hgpi.org
Web	:http://ganseisaku.net/
	 http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2011 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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●がん政策レターのバックナンバーは下記URLよりご覧ください。
http://ganseisaku.net/impact/mailmagazine/gan_/

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