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[がん政策レター 2011/11/01(第55号)]加速する、がん対策の改善作業

配信日付:2011年11月01日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011/11/01(第55号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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東日本大震災により被災された皆さまには心よりお見舞いを申し上げます。
皆さまの安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] 注目のコンテンツ
[6] がん対策~気になるデータ
[7] 患者さんが作る提言活動の手引き
[8] がん対策ニュース
[9] オフィス移転のお知らせ


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[1] センター長コラム

●加速する、がん対策の改善作業

 この2週間の間に見聞したトピックからご紹介しましょう。

 10月20日には第26回のがん対策推進協議会が開催されました。詳細はレポートに譲ります。
化学療法・ドラッグラグに関する委員からの意見が、とりまとめられました。在宅医療・
チーム医療に関する討議が行われ、これについては次回にとりまとめが行われます。患者
委員からは迅速かつ適正な介護サービスが受けられるよう、「がん患者に対する介護保険の
適正化に向けての意見書」が出されています。これに関連して、10月18日には、厚生労働省
から地方自治体などに「末期がん等の方への迅速な要介護認定等の実施について」が発出
されています。外山千也健康局長は、がん対策推進室を「がん・健康対策課(仮)」へと
組織を“格上げ”することを発表しました。

 10月21日には、公益財団法人医療科学研究所が開催した「医療・介護の連携と機能分担」
を覗いてきました。この中で厚生労働省の政策統括官付社会保障担当参事官室長の武田俊彦氏
は、「社会保障・税一体改革、同時改定と今後の医療介護連携」と題して講演。6月30日に
政府が決定した「社会保障・税一体改革」の計画に基づいて医療と介護を改革していく必要性
があり、その際、患者の視点から医療と介護を切れ目ないものにしていかなければ大変な
困難がやってくる、としました。社会保障審議会医療保険部会の部会長で、中央社会保険
医療協議会(中医協)前会長の遠藤久夫氏は、来年4月からの実施に向けて内容が検討されている
診療報酬と介護報酬の同時改定について、在宅医療を担う医療機関の役割分担や連携を報酬に
反映することなど、具体的な検討事項を列挙しました。

 同じ日、もうひとつのシンポジウムを“ハシゴ”しました。東京大学公共政策大学院の
寄付講座が主催した「医療介護と連携した住まいの整備と資金調達」です。これから20年
ぐらいの間に都市圏で高齢者が爆発的に増えて、亡くなっていく人も大幅に増えることが
予想されます。そうした人々が時間を過ごせる住宅の必要量と現在量には大幅なギャップ
があり、それをどう埋めるのかが議論となっていました。それぞれの地域でギャップの
大きさはおおよそ算出することができます。それを具体的に、だれが、いつまでに、どの
ように埋めていくか考えることが、実際の問題解決には大切だと知らされました。

 22日には、「みんなの医療基本法」というシンポジウムを聴きにいきました。医療に関連
する法律は多数がありますが、まだ基本法がありません。いわば制度がつぎはぎだらけに
なっており、理念も明確にされていません。そこで、患者の受ける医療の質や、医療提供者
や行政や患者など、それぞれの立場の責務も決めるなど、まず医療の骨格を示そうという
ものです。これができれば、患者の悩みも、医療現場の悩みも、多くが解決に向かうと想定
されています。例えば、がん難民、地域格差、がん患者の経済負担などの問題の解決に対しても、
プラスになると考えられます。どの疾病分野でも難題の解消に役立つと予想されるのは、
同様です。この場では、医療基本法の要綱案も示されました。これをたたき台に議論が進み、
早期成立に向かうとよいと思いました。

 23日には、がん総合相談研修プログラム策定シンポジウム「がんのピアサポートってなに?」
に行きました。ピアサポートとは、がんの経験者などによる、がんの経験者などへのサポート
のこと。がん患者さん・ご家族やピアサポートにかかわっている方々からの、ピアサポーター
が受ける共通的な研修を作ってほしいという要望を受けるかたちで、厚生労働省がそのための
事業を予算化し、日本対がん協会に委託しました。いま、その内容が、実際に相談やピア
サポートを行っている患者関係者が中心となるチームによって、策定されています。当日は
たくさんの意見が出て活発な議論がなされていました。けっして簡単ではない作業だとは
思いますが、このプログラムができれば全国で活用することができるようになると考えられ、
その完成が待ち望まれています。

 10月26日の中医協では、初期からの緩和ケアについて診療報酬の手当てをする方向が決まり
ました。10月27日の社会保障審議会医療部会では、今回の診療報酬改定において在宅医療が
重視されることが確認されています。診療報酬の方向性を決める社会保障審議会の医療部会と
医療保険部会、そして診療報酬の実際の内容を決める中医協において、懸案やこれまで議論
してきたことが盛り込まれていくか、診療報酬改定作業が山場に差し掛かった今こそウォッチが
必要です。

 10月27日から29日、名古屋市で日本癌治療学会第49回学術集会が開催されました。第47回
から始まり3年目となった患者アドボケートラウンジ(PAL)は一段と進化していました。
企画・運営に患者団体がより深く関与し、ランチョンセミナーの他に、専門家から臨床試験
の結果などについて直接説明を受けて質疑応答できる「Meet the Professor」が分野別に
7回設けられ、専門家向けの教育セッションに患者も出席することが推奨され、患者団体に
よるポスター発表も充実していました。

 シンポジウム類では、「がん医療コーディネーターの養成」「患者教育プログラムを皆で
決めよう」などの注目セッションがありました。前者は、同学会で開始することになっている、
がん患者の悩みを解消するための「がん医療コーディネーター」についての紹介と、内容に
関する議論が行われました。後者では、来年以降のPALプログラム強化と、学会が作成する
患者向けeラーニングシステムのために、意見聴取が進められました。学会幹部は、「47回、
48回、49回とホップ、ステップ、ジャンプで進めてきた」と表現しました。今後もさらに
患者と学会の協働作業が深まっていくことが期待されます。

 11月2日には、第27回がん対策推進協議会が開催されます。「在宅・チーム医療について」
の取りまとめが報告され、がん登録について審議され、検診、予防、就労・経済的負担、
サバイバーシップに関するヒアリングが行われる予定です。第2期がん対策推進基本計画に
患者の声が十分に盛り込まれるか、まさに正念場を迎えようとしています。
(センター長 埴岡 健一)

参考サイト
>>第26回がん対策推進協議会レポート
http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/26.html
>>第26回がん対策推進協議会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001scv3.html
>>在宅医療、チーム医療に関する委員からの意見のまとめ
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001scv3-att/2r9852000001sd01.pdf
>>がん患者に対する介護保険の適正化に向けての意見書
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001scv3-att/2r9852000001sd17.pdf
>>末期がん等の方への迅速な要介護認定等の実施について(平成23年10月18日)
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/dl/terminal-cancer_5.pdf
>>医療・介護の連携と機能分担~診療報酬、介護報酬の同時改定は何を目指すべきか~
http://www.iken.org/activity/symposium/past/2011/
>>社会保障・税一体改革成案(平成23年6月30日)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/kentohonbu/pdf/230630kettei.pdf
>>医療介護と連携した住まいの整備と資金調達~高齢者向けサービスの生産性向上と優良な社会資本ストック~
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/ERES/forum/2011-10-21/documents/ERES20111021.pdf
>>みんなの医療基本法 「患者の権利法をつくる会」創立20周年記念シンポジウム
http://kenriho.org/news/topics/2011/10/20.html
>>シンポジウム開催「がんのピアサポートってなに?」
http://www.jcancer.jp/news/2011/20110921.html
>>がん総合相談に携わる者に対する研修プログラム策定事業
http://www.jcancer.jp/soudankensyu/
>>第1回がん総合相談研修プログラム策定委員会議事録
http://www.jcancer.jp/news/2011/sakutei_gijiroku_no1.pdf
>>第202回中央社会保険医療協議会総会資料 がん対策、生活習慣病対策、感染症対策について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001sp25-att/2r9852000001spdf.pdf
>>第22回社会保障審議会医療部会 平成24年度診療報酬改定の基本的認識、視点、方向等(案)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001t7j0-att/2r9852000001t7p5.pdf
>>第49回日本癌治療学会学術集会
http://www.congre.co.jp/jsco2011/
>>第49回日本癌治療学会学術集会 プログラム
http://www.congre.co.jp/jsco2011/program/
>>第49回日本癌治療学会学術集会 がん患者・支援者プログラム
http://www.congre.co.jp/jsco2011/cancer_program/
>>第27回がん対策推進協議会開催案内
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001szz0.html


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[2] がん対策レポート

●次期計画初年度12年度予算は、今年度の1.2倍の415億円を概算要求

 第26回がん対策推進協議会が、10月20日、都内で開かれ、次期がん対策推進基本計画
(以下、がん計画)の策定へ向け、在宅医療とチーム医療についての集中審議を行い
ました。「がん登録」についてのヒアリングも行われ、日本のがん登録の課題が浮き
彫りになると共に、「がん登録を進める患者側のメリットは何か」を明確に示してい
くことの重要性を訴える意見が相次ぎました。

>>第26回がん対策推進協議会レポート
http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/26.html

>>第26回がん対策推進協議会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001scv3.html

>>過去のがん対策推進協議会レポート一覧
http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/


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[3] インフォメーション

●「地域発がん対策市民協働プログラム」のまとめを行いました

 がん政策情報センターでは、市民の手による地域発のがん対策プロジェクトを
支援する取り組みとして、2009年7月から「地域発:がん対策市民協働プログラム」
を行ってきました。主に、(1)がん医療の均てん化(2)がんの早期発見(3)がんの予防、
--の3つの観点で、合計17プロジェクトが実践されています。

 これまでのプロジェクト活動の中から、それぞれの経験と知見を共有するために、
2011年プロジェクトリーダーと当プログラムの審査委員で集まって総括会を開催し、
「市民プロジェクトを推進する3カ条」にまとめました。これからプロジェクト
活動を始める人や現在行っている人は、参考にしていただければ幸いです。

 また、それぞれのプロジェクトの活動内容も公開していますので、ぜひ、
ご自分の地域に合う事例を探してみてください。

>>「地域発:がん対策市民協働プログラム」
http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/about.html


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[4] がん対策トピックス

>>第27回がん対策推進協議会〔11月2日開催〕
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008fcb.html

>>がん情報サービス〔10月24日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html


>>がんに関するセミナー〔10月26日、茨城県〕
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/hoken/yobo/cancergroup/support/seminar.htm

>>平成23年度第2回福岡県がん対策推進協議会の開催について〔10月26日、福岡県〕
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/b01/h23-2gantaisakusuishinkyougikai.html

>>山梨のがん情報〔10月26日、山梨県〕
http://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/seizinhoken/ganjyouhou.html

>>しまねのがん対策〔10月26日、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>10月は「やまぐちピンクリボン月間」です。〔10月26日、山口県〕
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a15200/kenkou/20110930001.html

>>広島がんネット〔10月24日、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/gan-net/index.html

>>「がんを知る展」が開催されます〔10月24日、徳島県〕
http://www.pref.tokushima.jp/docs/2011092100071/

>>がん検診を積極的に受けましょう〔10月24日、神奈川県〕
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f5884/

>>がん対策について〔10月17日、埼玉県〕
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/gantaisaku/kyougikai.html


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[5] 注目のコンテンツ

●たばこ対策をチェックしよう

 がん政策情報センターでは、たばこ対策に関する情報を集約し、公開しています。

 たばこの格差集では、国別の喫煙率、都道府県別の喫煙率、国別のたばこの価格を
地図上で色分けしています。先進諸国と比較し、日本の喫煙率の高さ、たばこ価格の
低さは、気になるところです。

 たばこ対策事例集では、都道府県のがん対策推進計画やアクションプランから、
たばこ対策に関する部分を抜粋して掲載しています。合わせて、たばこ対策に関連
するニュースも集めて公開しておりますので、最近のたばこ対策の動きを調べる
ときのご参考にしてください。

>>たばこ対策に関連する情報
http://ganseisaku.net/impact/Tobacco/


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[6] がん対策~気になるデータ

隔週で連載しています。
次号をお楽しみに。


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[7] 患者さんが作る提言活動の手引き

●がん条例制定をけん引した患者アドボケート

 各地で可決・成立が相次いでいるがん条例。その制定までのプロセスには、
患者アドボケートの活躍が欠かせないものとなっています。患者アドボケートの
皆さんが自ら企画して勉強会を開催したり、議会で意見を述べたり、条文案の確認
を依頼されたりするなど、その事例は多岐にわたります。

>>都道府県のがん対策に関する条例
http://ganseisaku.net/practices/archives/law/gan_local.html

 患者アドボカシーワークブックでは、条例制定を目指す患者アドボケートの
皆さんが実際にどのように行動したかをまとめて記載しています。地域によって
環境が異なっていても、全国共通で役立つアドボカシーのノウハウが詰まっています。

>>患者アドボカシーワークブック ダウンロード
http://ganseisaku.net/impact/training/workbook/download.html

 現在、条例の可決にむけ条文案を検討している自治体や、これから条例について
検討をする自治体の皆さんにも、ぜひダウンロードして読んでいただければ幸いです。

(プログラム・オフィサー 沢口 絵美子)


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[8] がん対策ニュース

>>因島の葉タバコ農家ゼロへ[10月30日、中国新聞]
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201110300199.html

>>松本城をライトアップ、乳がん検診呼び掛け[10月30日、信濃毎日新聞]
http://www.shinmai.co.jp/news/20111030/KT111029SJI090009000.html

>>子宮頸がん:官民一体で検診勧奨 松戸市で新システム検討 /千葉[10月29日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20111029ddlk12040136000c.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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[9] オフィス移転のお知らせ

 この度、日本医療政策機構 市民医療協議会 オフィスを移転することになりました。
新オフィスの本格稼働は、11月4日(金)からです。

 これに伴い、現在の電話・FAXは11月2日(水)10:00頃までの使用になります。
その後、同日17:00頃新オフィスで開通するまで、一時的に電話・FAXが不通になります。

 ご不便をおかけしますが、ご理解いただければ幸いです。

【新オフィス】
〒102-0083
東京都千代田区麹町2-10-10-101
電話:03-3222-6532 FAX:03-3222-6535

【問い合わせ先】
本件に関するお問い合わせは、市民医療協議会 岩井 までお願いいたします。
メールアドレス:info-shimin@hgpi.org


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2011/11/01(第55号)

発行所	:日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人	:埴岡 健一
編集長	:沢口 絵美子

住所	:〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町2-5-3
Tel	:03-5614-7796
Fax	:03-5614-7795
E-mail	:gan_newsletter@hgpi.org
Web	:http://ganseisaku.net/
	 http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2011 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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●がん政策レターのバックナンバーは下記URLよりご覧ください。
http://ganseisaku.net/impact/mailmagazine/gan_/

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