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[がん政策レター 2011/12/13(第58号)]地域がつながればパワーになる

配信日付:2011年12月13日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011/12/13(第58号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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東日本大震災により被災された皆さまには心よりお見舞いを申し上げます。
皆さまの安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策~気になるデータ
[6] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

●地域がつながればパワーになる

 年末のあわただしい時間をお過ごしのことと思います。12月3日は「大阪がんええナビ
制作委員会」と大阪府が主催した「なんでもがんでも情報は力!展」に行ってきました。
がん政策情報センターの「地域発:がん対策市民協働プログラム」も参加しています。

 がんの予防から治療まで、患者も医療関係者も行政もさまざまな人が集まる一大展覧会
となっていました。(1)がん予防検定、がんカルタ、禁煙相談などの「がんを知ろう」
(2)座談会、大阪がんええナビのサイト体験、患者相談コーナーによる「がんを調べよ
う」(3)オール巨人さんの肝炎経験談、平岩正樹医師の患者相談、患者会ブースによる
「がんを聞こう」(4)がん対策情報の展示などの「がんを考えよう」--の4つの企画が、
大阪府健康科学センター(ゲンキープ大阪)の1階から3階の会場を使って、盛りだくさん
に実行されました。

 私は、「~北から南から~がん情報座談会」の司会をさせていただきました。4つの
地域の活動について6人のパネリストから紹介がありました。北見NPOセンターの谷井貞夫
さんによる「がん予防検定を用いた地域ぐるみ・がん予防プロジェクト」、「青森県よろ
こびの会」の滝川啓子さんによるがん患者と家族への実際の支援活動のポイントに関する
話、徳島県の患者会の「がんフレンド」代表でAWAがん対策募金の理事長である勢井啓介
さんと県庁健康増進課長の左倉昇さんによる「各県の好事例を参考に取り組む」、大阪府庁
健康づくり課がん対策グループ課長補佐の森元一徳さんと大阪がんええナビ制作委員会代表
の濱本満紀さんによる大阪府がん対策推進条例とがん情報の収集と提供に関する解説--
の4つです。いずれも患者・市民目線で、“現場感覚”あふれる創意工夫に満ちた活動と
感じました。

 「情報は伝えたと思っても意外と伝わっていないもの」「自分に必要な情報を選択して
もらえるようにする」「患者さんが困っていることに具体的に役立つノウハウを伝えて
いく」「患者さんの心を開く人間的フォローアップが大切」「ともによりよい情報を伝えて
いくスタンスでやっている」「市長や町長に自分の地域のがんの現況の情報を知ってもら
っている」「やっぱり情報は力になる」--など、日々の実践に基づいた数々の説得力
ある言葉に、会場参加者もうなづくことしきりでした。情報を力にするためには、(1)
情報を必要としている人に、信頼できる人や影響力ある人から伝えること(2)患者・現
場・地域発の知恵でノウハウを生み出すこと(3)がん対策に取り組む人的ネットワーク
によって互いに知恵を伝えあうこと--などが、教訓として浮き彫りになっていました。

 大阪の前日の12月2日は、沖縄にいました。沖縄県がん診療連携協議会が開催されたから
です。沖縄県ではがん対策推進条例づくりが山場を迎え、その状況が話題となっていまし
た。県議会議員の発議ではなく、執行部による条例づくりとなったこともあり、県がさき
ごろ示した条例案(県庁案)は同協議会と沖縄県がん患者連合会が提案した条例案(協議
会・患者会案)とはへだたりがあり、このところ制定されている他県の案と比べて見劣り
するともされ、なかなかの苦戦を強いられているようです。地元紙の記事では、沖縄の協
議会・患者会案を参考にした大阪府がん対策推進条例が4月に施行されて先を越されてし
まったこと、大阪府条例と比較して沖縄県条例は内容が薄いものになってしまいそうと、
危機感がにじみでていました。こうした声によって県の条例案が前向きに修正されるか、
注目されます。

 同協議会はいつもながら、傍聴者多数でメディアの取材も入っているなかで行われまし
た。患者必携の沖縄地域版の配布方法と来年度改訂の方針などについて、審議が行われま
した。来年度の同協議会の開催頻度に関しては、4回を3回に減らすとの案もありましたが、
国の第2期がん対策推進基本計画(2012~16年度)の策定を受けて、第2期沖縄県がん対策
推進計画(2013~17年度)を検討する時期となることから、むしろ開催数を増やす方向と
なりました。今後の方向に関する審議という重要な局面を迎えるのは、いずれの都道府県
についてもいえることでしょう。5つの病院での疼痛除去率の報告など、7つの部会の活動
進捗報告もありました。次回の開催は3月です。そのときは泣いても笑っても、沖縄県が
ん対策条例の制定は終わっているはずで、次の焦点は、第2期沖縄県がん対策推進計画の
内容に移っていくでしょう。

 国の第2期がん対策推進基本計画は、意見聴取の段階から取りまとめの段階に入ってい
ます。12月には12日と26日に開催され、基本計画の骨子案が審議されます。現在示されて
いる骨子案は、患者・現場・地域のがんの現状を好転させる決め手に欠けている印象が否
めず、これからどれだけ修正されるかが勝負となります。都道府県にも骨子案が提示され、
意見聴取が行われています。地域からの声が重要な局面です。

 同時に、国の計画の成案を予想して、都道府県の計画に国の内容を反映したり、国では
実現できなかった内容を取り入れるなど、都道府県の計画を考えはじめるタイミングとも
なってきます。都道府県での作業日程としては、4月から6月に協議会や部会の頻回開催に
よる集中審議、7月、8月ごろの骨子とりまとめ、9月、10月ごろの次年度(第2期計画初年
度)予算の検討、その後、翌年3月までに素案の審議、パブリックコメントの実施、成案
の策定といったかたちが想定されます。今から来年3月までに開かれる本年度最終の協議
会では、こうしたことを意思決定しておく必要があります。
(センター長 埴岡 健一)

参考サイト
>>大阪がんええナビ
http://www.osaka-anavi.jp/
>>なんでもがんでも情報は力!展
http://www.osaka-anavi.jp/from/2011/09/123.html
>>がん政策情報センター 地域発:がん対策市民協働プログラム
http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/
>>府民へ届け!大阪ならではのがん情報
~効果的ながん対策の実現と患者・家族・府民の支援を目指して~
http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/2011/osaka/osaka.html
>>がん予防検定を用いた地域ぐるみ・がん予防プロジェクト
http://ganseisaku.net/impact/gan_coproduction/2011/hokkaido/hokkaido.html
>>NPO AWAがん対策募金
http://www.awagan.com/pc_top.html
>>沖縄県がん診療連携協議会
http://www.okican.jp/index.jsp
>>地域の療養情報「おきなわがんサポートハンドブック」
http://www.okican.jp/UserFiles/File/patient/kanjyahikkei/ryouyoujyouhou.pdf
>>沖縄タイムス2011年11月17日[がんになっても・安心社会への模索](44)
天野慎介 厚労省がん対策推進協会長代理 県の瞬発力が必要
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-11-17_26141/
>>沖縄タイムス2011年11月8日[がんになっても・安心社会への模索](38)がん条例 上
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-11-08_25738/
>>沖縄タイムス2011年11月10日[がんになっても・安心社会への模索](39)がん条例 下
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-11-10_25831/
>>がん対策推進協議会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008fcb.html


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔12月5日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html


>>禁煙治療医療機関紹介 10月届出分〔12月09日更新、青森県〕
http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/tabako.html

>>山梨のがん情報〔12月02日更新、山梨県〕
http://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/seizinhoken/ganjyouhou.html

>>しまねのがん対策〔12月02日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>「清水の里地域づくりシンポジウム&がん検診推進タウンミーティング」を開催します!
〔12月01日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1322633199582/index.html


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[5] がん対策~気になるデータ

●がん患者の声の政策への反映

 このコーナーでは、がん対策に関連する気になる情報やデータをご紹介します。
今回は「がん患者の声の政策への反映」に注目します。

 当機構で実施したがん患者意識調査では「がん患者の声は、現在どの程度がんの医療政
策に反映されていると思いますか」という質問を設けました。その結果、「全く反映され
ていない」「どちらかといえば反映されていない」と回答した人は合わせて63.7%でした。
また、がん患者の声を実際に反映させるために積極的に行うべきと思うことを聞いたところ、
「がん患者のニーズに関する積極的な情報発信」66.8%と最も多く回答を集めました。

>>患者が求めるがん対策 vol.2 ~がん患者意識調査2010年度版~(2010年度調査)
http://ganseisaku.net/impact/reports/gan_ishiki_2010.html

 がん患者の声を政策に届けるために活動をすること、つまりがん患者アドボカシーにつ
いては、がん対策に関連するさまざまなステークホルダーが「重要である」と認識してい
ます。当機構が実施した「がんアドボカシー・アンケート」では、がん患者・家族、医療
提供者、国会議員・都道府県議会議員、都道府県庁のがん対策担当者、それぞれに「がん
患者アドボカシーの重要性」について聞いたところ、いずれの対象者においても約9割が
「重要だ」あるいは「どちらかといえば重要だ」と回答しました。

>>【レポート】患者アドボカシー、9割が「重要」
http://ganseisaku.net/practices/whitepaper/gan_2011_advocacyenquete.1.html

 がん患者・家族の声を集め、がん対策における課題を明らかにする試みが行われていま
す。厚生労働省委託事業「平成22年度がん対策評価・分析事業」では、がん診療連携拠点
病院において外来通院中または入院中のがん患者とその家族を対象として、がん対策に関
するアンケート調査が実施されています。

>>厚生労働省委託事業 平成22年度がん対策評価・分析事業
http://ganseisaku.net/impact/reports/gan_hyoka/

 アドボカシー活動はさまざまな地域で活発に行われています。また、患者さんやご家族
の声を集めて問題点や課題を明らかにする動きもおこっています。これからは、患者さん
やご家族の声が、どのように政策に反映されていくのかに注目が集まっています。
(プログラム・オフィサー 山口 綾香)


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[6] がん対策ニュース

>>がん患者:就労調査を開始[12月11日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/select/science/news/20111211ddm013100022000c.html

>>難病で逝ったわが子、忘れない 母親7人の手記出版[12月11日、朝日新聞]
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201112080334.html

>>手取り合い24時間リレー がん患者ら友好深める[12月11日、琉球新報]
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-185080-storytopic-1.html

>>がん診療連携拠点病院:“準じる”病院 益田で2院、県が指定/島根[12月10日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20111209ddlk32040641000c.html

>>胃がんに関する講演とトーク[12月9日、産経新聞]
http://sankei.jp.msn.com/life/news/111209/bdy11120908080001-n1.htm

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2011/12/13(第58号)

発行所	:日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人	:埴岡 健一
編集長	:沢口 絵美子

住所	:〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	:03-3222-6532
Fax	:03-3222-6535
E-mail	:gan_newsletter@hgpi.org
Web	:http://ganseisaku.net/
	 http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2011 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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