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[がん政策レター 2012/02/21(第63号)]WHO(世界保健機関)もアドボカシー活動を推奨

配信日付:2012年02月21日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012/02/21(第63号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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東日本大震災により被災された皆さまには心よりお見舞いを申し上げます。
皆さまの安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

●WHO(世界保健機関)もアドボカシー活動を推奨

 2月6日に新たに掲載した「政策とアドボカシー」という冊子、もうお読みいただいたで
しょうか。

 これは、国際連合の専門機関である世界保健機関(WHO)が「がん対策 知識を行動へ
効果的なプログラムのためのWHOガイド」シリーズのひとつとして作成したもの。WHOの許
可を得て翻訳いたしました。ここでは、アドボカシーは「意思決定者に影響を与え、変革
をもたらすこと」と定義され、リーダーの役目は「影響力のある人を説得して、変化を生
み出す力」とされています(翻訳4ページ)。各地でがん対策に取り組まれている患者ア
ドボケートの方々にとっても、きっと何らかのヒントが見つかる冊子になっていると思い
ます。

 冊子の冒頭には、人種差別撤廃に取り組んだ米国のマルチン・ルーサー・キング・ジュ
ニア牧師の「変革は必然性の車に乗って訪れるものではなく、絶え間ない苦闘の末にやっ
て来るものである」という言葉が、末尾には、米国の文化人類学者マーガレット・ミード
女史の「思慮深く献身的な市民からなる少人数の集団が世界を変えられることを決して疑
ってはならない。それどころか、これまで世界を変えてきたのはこうした人々以外にいな
い」との言葉が配され、アドボケートの気持ちを鼓舞するかのようです。

 WHOは、アドボカシー活動を一連の手順の流れとして表現し、(1)現状を把握する(2)
アドボカシーの目標を決める(3)アドボカシーの活動対象を決める(4)連携の輪を広げる
(5)メッセージを作成する(6)アドボカシー活動の方法を選ぶ(7)アドボカシー活動
計画を立て、実行する(8)モニタリングと評価を行う---の8つのステップを推奨してい
ます。詳細は冊子を読んでいただくとして、ここではそれぞれのステップの要点だけ書き
出しておきましょう。

 ステップ1「現状把握」:がんの負担、がん対策、アドボカシー活動、阻害要因などの
現状を把握します。ここで、何のためのアドボカシー活動をしたいのかも明確にしておき
ます。たとえば、総合的な計画の枠組みの立案、計画の改訂の提唱、効果が出ていない分
野の改善、がん計画実施への支援の強化などのうち、どの点なのかといったことです。

 ステップ2「目標決定」:最終的な目標を大きく掲げて方向を見失わないようにするた
めの「大きな目標」と、日常的な活動の運営の目安となる「小さな目標」の両方を決める
必要があります。小さな目標は、「具体的、数値化可能、達成可能、現実的、期限付き」
であるように作るのがポイントです。

 ステップ3「対象決定」:対象は、総理、担当大臣、国会議員、地域のリーダーなどの
意思決定者や、そうした意思決定者に影響力を持つ有力団体や著名人とします。そのうち、
現状分析のうえ、もっとも有効な対象を選びます。そして、だれがだれにどのルートで働
きかけるかを、一覧表を使って検討するなどして、決めていきます。

 ステップ4「連携拡大」:連携の輪を広げること、患者さんの広い参加を促すこと、社
会全体を巻き込んでいくことが、アドボカシー活動の成功には欠かせません。連携を広げ
ることには労力もかかりますが、独創性と行動力が強化されることとなり、目標達成を阻
害する要因を克服することにもつながります。

 ステップ5「メッセージ作成」:意思決定者を説得し、影響力を持つ人を動かすつもり
で作りましょう。そのためには、まず、活動が何を目標とし、どんな変化をもたらそうと
しているのかを、端的に訴求できることが必要です。また、話す相手の事前知識レベルや
価値観や動機についても考慮に入れ、効果を生み出すように訴えることが大切です。

 ステップ6「活動方法の選択」:意思決定者に直接話をする「ロビー活動」と、社会に
訴えかける「キャンペーン活動」に大別されます。両方の分野から個別活動候補を書き出
して、自分たちの強みと弱み、効果、労力、リスクなどの観点から、優先的に取り組むべ
き事項を決めていきます。それぞれの事項のポイントに留意して実行します。

 ステップ7「活動計画の立案と実行」:これまでのステップで検討した資源、対象、活
動内容、短期的想定成果、長期的想定成果などの全体を関連づけて「論理モデル」を作成
し、計画を立案します。簡潔な図に落とし込むこと、戦略的に作成することと同時に、環
境の変化や活動からの学びによって柔軟に改訂できるようにしておくことも大切です。

 ステップ8「モニタリングと評価」:アドボカシー活動がうまくいったか、想定する影
響を与えられたか、を把握します。それによって、計画の改善などに結びつけます。その
ためには、参加者へのアンケート、働きかけた対象の反応や行動変化の記録、メディアで
の報道状況の把握など、あらかじめ評価するポイントや把握方法を決めておきます。

 以上、私なりに要点を抽出しましたが、多様な内容を含んでいますし、読む人によって
役立つところや、気づきのあるところは異なるでしょう。ぜひ、通読してみてください。
同時に、がん政策情報センターが作った「アドボカシーワークブック」も併せてご覧くだ
さい。これも、患者アドボケートのみなさんの活動に役立てばと、作成しています。本編
では、アドボカシーの実践的ノウハウなどを描いており、ツールキット編では、WHO冊子
と同様に、活動プロセスのステップを意識して作業支援シートなどを掲載しています。WHO
の冊子で世界共通の枠組みを頭に入れたうえ、アドボカシーワークブックを参考に日本の
状況も織り込みつつ、活動方針を作り込んでいくというのも一つの方法です。

 こうした冊子から、自分の活動、参加する組織の活動、地域の六位一体の協働活動、い
ずれにも有効な点が見いだせる場合があるでしょう。対象は、ある分野の対策の個別活動
でも、地域のがん計画の作成といった幅広い領域でも、どちらであっても役立
つときがありえます。ご興味のある方は、この2冊を併せ読む勉強会を地域で開催して
みてはどうでしょうか。その際、患者関係者だけでなく、行政の担当者や地域のがん対策
推進協議会メンバーの医療関係者などといっしょに開催するのも、一つのやり方かも知れ
ません。(センター長 埴岡健一)

参考サイト

>>政策とアドボカシー がん対策~知識を行動へ~効果的なプログラムのためのWHOガイド
http://ganseisaku.net/practices/archives/advocacy/who.html

>>アドボカシーワークブック~患者さんが作る提言活動の手引き~
http://ganseisaku.net/impact/training/workbook/download.html


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[2] がん対策レポート

●次期がん対策基本計画素案を公表

 2月1日、厚生労働省内で開かれた、第31回がん対策推進協議会。来年度から始まるがん
対策推進基本計画の素案が発表されました。前回見送られた喫煙率削減目標値が明記され
た一方で、「具体策に乏しい」「さらに質の評価も必要」等の意見も。実現を約束できな
い施策は盛り込めないとする厚労省側との折衝は、最後まで続きました。

>>第31回がん対策推進協議会レポート
http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/31.html

>>第31回がん対策推進協議会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021l3w.html
>>過去のがん対策推進協議会レポート一覧
http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>みやぎのがん情報ポータルサイト〔2月17日更新、宮城県〕
http://www.pref.miyagi.jp/situkan/gan-portal/top.html

>>岩手県がん対策推進計画の策定について〔2月17日更新、岩手県〕
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=137&of=1&ik=1&pnp=51&pnp=94&pnp=137&cd=2645

>>第10回岩手県がん対策推進協議会の開催結果〔2月17日更新、岩手県〕
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=137&of=1&ik=1&pnp=51&pnp=94&pnp=137&cd=37190

>>しまねのがん対策〔2月16日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>広島がんネット〔2月16日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/gan-net/index.html

>>秋田県地域がん登録の状況について〔2月14日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1188873911026/index.html

>>がん対策〔2月14日更新、神奈川県〕
http://www.pref.kanagawa.jp/life/2/6/32/

>>講演会「小児がん経験者の長期フォローアップ」の開催案内について〔2月13日更新、高知県〕
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/130401/kouen-shouni.html

>>子宮頸がん予防ワクチン〔2月13日更新、京都府〕
http://www.pref.kyoto.jp/kenshin/1292302439438.html

>>がんに関する医療〔2月10日更新、愛媛県〕
http://www.pref.ehime.jp/h20180/gan_iryou/index.html

>>山梨のがん情報〔2月8日更新、山梨県〕
http://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/seizinhoken/ganjyouhou.html

>>「ATL(成人T細胞白血病・リンパ腫)シンポジウムin沖縄」の開催について〔2月3日掲載、沖縄県〕
http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/contview.jsp?cateid=30&id=26254&page=1


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[5] がん対策ニュース

>>受動喫煙:防止訴え 医師らが悪影響強調 中区でシンポ/広島[2月19日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20120219ddlk34100388000c.html

>>高鍋たばこ振興会解散 会員大半廃作[2月16日、宮崎日日新聞]
http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/?itemid=43826&catid=74&blogid=13

>>次期健康日本21「育児中の禁煙を目標に」-厚労省会議で委員が提案[2月15日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120215-00000006-cbn-soci

>>マナー条例案 賛同6割[2月14日、読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/news/20120213-OYT8T00984.htm

>>胃がん検診3倍作戦 珠洲、輪島[2月12日、北国新聞]
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20120212102.htm

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2012/02/21(第63号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

住所	   :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
Web	   :http://ganseisaku.net/
	    http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2012 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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