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[がん政策レター 2012/03/20(第65号)]「評価のための指標づくり」という営みは、貴重で奥が深い

配信日付:2012年03月20日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012/03/20(第65号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

●「評価のための指標づくり」という営みは、貴重で奥が深い

 現在、国際患者団体連合(IAPO:International Alliance of Patients’Organizati
ons)の第5回「世界患者会議」に参加しています。今回の大会のテーマは、「患者中心
の医療の実現~進歩と成功の指標」となっています。すなわち、「医療の患者中心度」
を計測して評価するための指標を決めていこうという趣旨です。

 今回の会議に合わせ、IAPOから既存の「患者中心の医療度を測る指標」を文献検索調
査したレポートが発表されました。IAPOは患者中心の医療に関して「(1)尊厳」
「(2)治療選択への患者参加」「(3)医療政策決定への参加」「(4)広く公平な受療
機会」「(5)情報提供」--の5原則を定めています。今回のレポートによると、この
うち「(4)広く公平な受療機会」「(5)情報提供」については比較的多くの指標が見
つかったものの、「(2)治療選択への患者参加」を測る指標は少なく、「(3)医療政
策決定への参加」に至っては、ほとんど発見できなかったとのことです。

 レポートは、現状では患者中心の医療を計測する指標は不足しており、多様なチェッ
クポイントが評価できる指標群がセットとして適切に開発される必要があるとしていま
す。また、その開発に当たっては患者が参加して患者視点の発想が盛り込まれるべきと
もしています。こうした提言を受けて医療界や患者関係者がどのような指標を整備して
いくのか、IAPOがどのような指標を採用していくのか、今後の進展が期待されます。

 IAPOは1999年に設立された、「疾病横断」「国境横断」の患者団体、患者支援団体、
医療消費者団体の連合組織です。医療を良くするために、患者の声を政策決定や意思決
定に反映させるための活動を行っており、アドボカシー(政策提言活動)のためのハン
ドブックも出しています(英語)。「がん政策情報センター」のミッションは、「がん
患者・市民が、がん医療政策決定プロセスを主導することにより、最上のがん医療とが
ん対策を社会全般に実現する」です。アドボカシーの活性化に関わっているという意味
で、IAPOと当センターの使命には共通するところがあります。そこで、がん政策情報セ
ンターを運営する市民医療協議会は、2009年から)IAPOに準会員として加盟しています。

 このたび、がん政策情報センターでは、これまでの活動を「がん政策情報センター第
1期報告書~患者アドボケートと歩んできた3年間の記録~」として取りまとめた冊子を、
ウェブサイトに掲載いたしました。この場を借りて、プロジェクトにご参加・ご協力く
ださったすべての方々に、改めて感謝いたします。これに目を通していただければ、当
センターの活動を知るだけでなく、ここ数年のがん患者アドボカシーの発展状況を振り
返るためにも、参考になる点もあろうかと思います。

 5章構成の34ページの冊子は、どこからでも読めるようになっています。1章はプロジ
ェクトの概要、2章はアドボカシー活動のまとめ、3章は提供した格差データなどの紹介、
4章はプロジェクトの評価、5章は年表、です。このうち2章については外部の編集者に、
みなさんの近年のアドボカシー活動に関する資料に目を通してもらい、さらには関係者
インタビューも設定していただき、書き下ろしていただきました。ここでは、アドボケ
ートのみなさんの多様で創意工夫あふれる活動の中に、「(1)芽生える」⇒「(2)つ
ながる」⇒「(3)学び合う」⇒「(4)広がる」⇒「(5)未来を拓(ひら)く」--と
いう5ステップのダイナミックな流れが見いだされました。

 15ページある2章をここでごく少ない字数で要約するとしたら、(1)がん患者・市民
の立場の人々が「がんは政治である(がん対策を良くするには政治を動かして政策・制
度を変える必要がある)」と発見してアドボケート(政策提言する人)となり、(2)仲
間と出会ったことで喜びとやりがいを感じ、全国ネットワークを形成し、(3)知識や情
報が共有される学び合いが進展し、(4)各地の創意工夫や好事例がネットワーク上で各
地に伝播され、(5)患者アドボケートがリードしつつ、異なる立場の人々と協働する“
六位一体”(患者、議員、行政、医療提供者、民間、メディアが共に活動すること)の
スタイルが広がりつつある--といった風になるでしょうか。

 当センターは、こうしたトレンドをどの程度、側面支援することができたのか。でき
たこともあるでしょうし、できなかったこともあるでしょう。それを、できるだけ客観
的に評価できるように、いくつかの工夫を行っています。

 まず、ミッションを定め、活動の成果(アウトカム)や結果(アウトプット)の目標
を設定し、「何のために何をしようとしているのか」を、見失わないように心掛けるこ
とです。この点については、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグスクールの
チームから指導を受けたことが、大いに勉強になりました。また、国内では外部委員主
体のプロジェクト評価委員会を置いて評価を受けており、この開催報告はウェブサイト
に掲載しています。もちろん、私たちが実施するイベントの参加者や情報の利用者から、
「役に立ったか」をアンケートによって尋ねています。第1期報告書の第4章も、「プロ
ジェクト評価(活動と成果の関係を考察)」の紹介に充てています。

 ところで、「評価」という言葉には、あまり良い印象がないかも知れません。「競争
の激しい企業の中で他社を打ち負かすために、職員の個人業績を金銭的な数値とノルマ
で厳しく評価する」といった使われ方もするので、それも無理のないことです。

 しかし、ここでいう評価は、そういうものとはまったく異なります。「いま何がなさ
れるべきか」「自分たちは何をしようとしているのか」「やっていることが、狙ってい
た成果をうまくもたらしているか」「さらにやるべきことは何か」「何からやるべきか」
「もっとうまいやり方はないか」「自分たちのやっていることを参加者、協力者とどの
ように共有するか」などと、「活動の意義を考え続けていくこと」とつながっているも
のなのです。

 「競争社会で個人を締め付けるような評価」ではなく、「公共性が高い協働作業をす
る際に、みんなで成果を共有して喜びとやる気を高めるための評価」。そういう意味で
の評価を上手にすること、そして、そのための指標と手法を見つけ出し整備することは、
けっして簡単ではない営みでしょう。それでも、“六位一体”の活動を高めるためには、
不可欠なことのひとつではないだろうか--。IAPOの会場で繰り広げられる真剣な議論
に触発されて、そんなことを考えさせられました。(センター長 埴岡 健一)

参考サイト

>>国際患者団体連合(IAPO)〔英語〕
http://www.patientsorganizations.org/
>>IAPO第5回「世界患者会議」〔英語〕
http://www.patientsorganizations.org/showarticle.pl?id=1286;n=610
>>「パートナーやステークホルダーと連携する~患者団体のためのツールキット~
(IAPOアドボカシー・ハンドブック)〔英語〕
http://www.patientsorganizations.org/iapo_media/Toolkits/current/iapo_toolkit.html
>>がん政策情報センター第1期報告書~患者アドボケートと歩んできた3年間の記録~
http://ganseisaku.net/mission/gan_project.html
>>プロジェクト評価委員会 報告書
http://ganseisaku.net/mission/gan_project.html


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

●「がん政策サミット2012春」患者関係者参加者募集中!

 今回は、患者視点を織り込んだ「都道府県がん計画」策定のために、みんなで意見・
知恵を出して学び合うことを目的として開催いたします。ひとりでも多くの方とお話が
できるよう、患者関係者の参加公募を行います。

◆日程:2012年5月11日(金)~5月13日(日)
◆会場:東京・九段下

詳細についてはこちらをご覧ください
>>「がん政策サミット2012春」参加者募集のお知らせ
http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/gan_summit_2012_spring/index.html


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[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔3月12日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html


>>しまねのがん〔3月15日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>北海道のがん対策情報〔3月15日更新、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kak/gantaisakujyouhou.htm

>>健康推進課がん対策室〔3月15日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/genre/0000000000000/1238473618657/index.html

>>山梨のがん情報〔3月8日更新、山梨県〕
http://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/seizinhoken/ganjyouhou.html

>>平成23年度第3回福岡県がん対策推進協議会の開催について〔3月7日更新、福岡県〕
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/b01/h23-3gantaisakusuishinkyougikai.html


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[5] がん対策ニュース

>>「がん検診推進」は804社に 計約189万人[3月16日、産経新聞]
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120316/bdy12031607250001-n1.htm

>>平均寿命 女性14年ぶり前年下回る/群馬[3月16日、読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20120315-OYT8T01184.htm

>>目標達成は12.8%/県民健康指標/青森県[3月14日、東奥日報]
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2012/20120314222336.asp?fsn=eb33f76037153e93cde084f7e7644d6f

>>患者会との意見交換会を初開催-国がん、積極的姿勢示す[3月14日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120314-00000008-cbn-soci

>>横浜F・マリノス:J初の試み!横浜本拠地、日産スタジアムが全面禁煙に[3月13日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/enta/sports/news/20120313spn00m050014000c.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2012/03/20(第65号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

住所	   :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
Web	   :http://ganseisaku.net/
	    http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2012 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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