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[がん政策レター 2012/04/03(第66号)]患者・市民の医療政策決定プロセス参加がさらに進む

配信日付:2012年04月03日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012/04/03(第66号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース

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[1] センター長コラム

●患者・市民の医療政策決定プロセス参加がさらに進む

 3月30日、厚生労働省は次期医療計画の作成に関する指針を、都道府県に通知しました。
医政局長通知である「医療計画について(医療計画作成指針)」と、医政局指導課長通
知である「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」です。がん計画を含む医
療計画の考えが大きく変わるため、これは必読です。

 各都道府県はこれから年末ごろにかけて医療計画の策定作業をし、2013年4月1日から
実施することになります。これまでは4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)5
事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)の9種類でしたが、今
回、精神疾患と在宅医療が加わり、「5疾病5事業と在宅医療」の11種類となります。が
んに関しては、地域医療計画のがん分野編と、都道府県がん対策推進計画の両方が、整
合性をもって作られることとなります。

 これまでの指針から大きな変化がありましたが、ここでは2点ご紹介しましょう。まず、
計画策定への「患者参画」の位置づけが進んだことです。「都道府県は、患者・住民の
作業部会への参加やタウンミーティングの開催、患者・住民へのヒアリングやアンケー
ト調査、医療計画のパブリックコメントなどにより、患者・住民の意見を反映させるこ
と」「(作業部会においては)医療サービスを受ける患者の意見についても、十分に配
慮することが望ましいことから、患者・住民(を代表する構成員)に対しては、十分な
情報提供と解説などの支援を行うことにより、議論に参加しやすい環境が整うように努
めること」などとあります。

 それぞれの作業部会は、「5疾病5事業・在宅医療」それぞれの計画案を審議する役割
があります。5年前の医療計画改訂時には作業部会に患者委員を入れる都道府県はまだ少
数でしたが、今回の通知変更によりすべての部会に患者委員が入ることが原則に近くな
ったといえます。がんの作業部会にがん患者アドボケートのみなさんが入ることが考え
られますし、その他の疾病や事業に関しても関心がある分野に参加したり、参加した患
者アドボケートを支援したりするなどの広がりが生まれるでしょう。47都道府県で11の
作業部会に患者・市民代表が2人ずつ入れば、約1000人の患者・市民アドボケートが活躍
することとなります。また、医療保険者の代表も作業部会に入ることになりましたが、
ここでも保険加入者・医療消費者の立場から患者・市民が委員に入れば、さらにそれが
広がります。

 もうひとつは「アウトカム評価」と「PDCAサイクル」の考えが、明確に入ったことで
す。「アウトカム」とは活動や施策の結果(アウトプット)がもたらす成果のことです。
野球に例えると、投球をするのがアウトプット(結果)で、打者をアウトにするのがア
ウトカム(成果)です。10球投げるか20球投げるかの投球数ではなく、アウトをどれだ
け取るかが大事なわけです。これまでの医療政策ではどれだけ対策を打ったか(アウト
プット)に関心があっても、それがどれだけ国民の健康を増したか(アウトカム)によ
って、十分には評価されていませんでした。

 「PDCAサイクル」とは計画(Plan)、実施(Do)、評価(Check)、改善(Action)の
循環のこと。計画を作りっぱなしではなく、成果(アウトカム)をもたらしているかで
評価し、評価に基づいて、施策や計画を見直していくことです。通知では次のように記
載されています。

 「5疾病・5事業及び在宅医療については、全都道府県共通の、病期・医療機能及びス
トラクチャー・プロセス・アウトカムに分類した指標を用いることなどにより、地域の
医療提供体制に関する調査を通じて現状を把握した上で、別に通知する指針で述べる5疾
病・5事業及び在宅医療のそれぞれについて目指すべき方向の各事項を踏まえて、課題を
抽出し、課題の解決に向けた数値目標の設定及び施策の明示、それらの進捗状況の評価
等を実施する」

 「その際には、個々の施策が数値目標の改善にどれだけの効果をもたらしているか、
また目指すべき方向の各事項に関連づけられた施策群が全体として効果を発揮している
かという観点も踏まえ、個々の施策や数値目標並びに目指すべき方向への達成状況の評
価を行い、その評価結果を踏まえ、必要に応じて医療計画の見直しを行う仕組みを、政
策循環の中に組み込んでいくことが必要となる」

 ここでのストラクチャー指標とは、医療サービスを提供する物的・人的資源などを測
る指標のことで、例えば「放射線治療を実施している医療機関数」。プロセス指標とは、
医療サービスを提供する活動を測る指標で、例えば「放射線治療の実施件数」。アウト
カム指標とは、医療サービスの結果としての健康状態を測る指標で、例えば「放射線治
療を受けるべき人が質の高い治療を受けている率」「生存率(死亡率)」などです。評
価を確立していくには、まだそのための指標が整備されていないので、そこから始める
必要があります。また、施策や活動のアウトプットをストラクチャー指標やプロセス指
標で測り、それがどのようなアウトカムをもたらしたかのアウトカム評価を行って、施
策や活動の良し悪しを見極めていくことになります。

 また、「都道府県においても、地域の実情に応じて独自に指標を開発していくことが
望ましい。独自に開発した指標が全国で参考になると考えられる場合は、厚生労働省に
報告することをお願いする」ともあります。国の第2期がん対策推進基本計画(案)にお
いては、アウトカム評価とPDCAサイクルの考え方は示唆されたものの不明確で、指標の
設定も今後の課題とほぼ先送りされました。しかし、地域医療計画の指針を併せて読め
ば、都道府県がん対策推進計画において何が必要か、浮き彫りになってきます。がん対
策においても、アウトカム評価を進め、そのための指標を開発していくことが、問われ
ていることが分かります。

 3月21日、「がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計(2009年)」が公表されまし
た。第2期都道府県がん対策推進計画を策定する際に、活用できる資料のひとつとなりま
す。集計された数は50万件弱で、年間がん罹患数の3分の2近くが、がん拠点病院におい
て診療されていることとなります。県別、病院別に集計されたデータを、さまざまな観
点から分析することができます。例えば、全国では男性のがんが女性のがんの1.3倍であ
るのに対し、沖縄県では0.89倍で女性のがんの方が多くなっています。また肺がんの進
行度(治療前ステージ)については、全国では1期が37.9%、4期が29.7%であるのに対
し、沖縄県では1期が22.2%(全国最低)で4期が43.7%(全国最高)となっていました。
病院別に治療件数や治療内容を見ることもできます。今後は、3年生存率も算定して公表
されることとなっています。

 4月1日には、「全国がん罹患モニタリング集計 2007年罹患数・率報告」が公表され
ました。こちらは、都道府県全体を対象とした地域がん登録のデータです。47都道府県
のうち登録を実施しており、かつ精度基準を満たした21府県のデータ(全国の4割余りと
推定)から、2007年の日本のがん患者数は70.4万人(男性41.1万人、女性29.3万人)と
推計されました。自分の住んでいる地域の地域がん登録が精度基準を満たして全国推計
に使われているか確認してみましょう。また、今後、地域がん登録の精度が高まり追跡
調査のカバー率も高まれば、大阪府のように地域、2次医療圏、病院別にがんの罹患、死
亡、治療成績が見えるようになり、国や地域のがん対策に活用できるようになってくる
はずです。

 3月29日には、「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」の選定結果が発表され
ました。この通称「がんプロ」は、がん対策の柱の一つである専門的医療スタッフの育
成の重要施策となっています。15グループ(100大学)が選定され、今後5年間で、大学
院にて医師1800人、医師以外の医療スタッフ(看護師、薬剤師など)1200人が、教育を
受けると見込まれます。自分の地域のがんプロ担当者に、今後どの程度、がんの専門的
治療スタッフが育成されて配置され、チーム医療の充実がどのように進む予定なのか、
聞いてみるのもいいでしょう。

 3月22日には、奈良県がん対策推進協議会に委員として参加しました。奈良県のがん対
策推進計画の策定に役立つ解説を求められ、「良い、がん対策推進計画づくりへのヒン
ト」と題して20分の話をしました。事務局からは、「奈良県がん対策推進計画の次期計
画策定に向けて」という資料集が提示され、委員には「次期計画策定に向けてのご意見
記入用紙」が配られました。奈良県がん対策推進アクションプランは、国の第2期計画に
先んじてアウトカム評価の発想が入っていますが、今後、その体系をより精緻にし、か
つ個別政策も吟味し、また評価指標の開発も進める必要があります。

 がん医療部会からは、「放射線治療実施状況調査」の、相談支援・情報提供部会から
は、「がん相談支援センター利用状況調査」の結果が報告され、計画策定時に参考にす
べき情報も増えてきました。「緩和ケア・在宅医療部会」からは「がん患者への緩和ケ
ア導入のための主治医必携ガイド」が配布され、地域医療部会からは完成した各種の
「私のカルテ(患者用連携パス)」が紹介されました。

 3月25日には、秋田県で市民公開講座「がんについて学ぶ がん学 事始め」に参加し
ました。与えられた演題は「がん患者学」で、私の手に余る大きなテーマでした。「が
ん患者学」を「がん患者や家族などが、がんになっても、がんと向き合って、がんを生
きるための、哲学や知恵や活動や技能に関する知識を集めて整理したもの」としたうえ
で、それを大きく「自助・支援活動」と「提言・提案活動」の2つの領域に分けて、概観
してみました。

 前者としては、がん患者の歩みに沿って多様な悩みが生じ、それを解消する一助とし
てさまざまな支援が誕生してきていること、後者としては、がん治療・がん対策の仕組
みや環境を変えるため、患者がアドボケート(政策提言者)として活動することが高ま
っていることをご紹介しました。市民公開講座の後、数十人が病院ホールに移動し、み
んなでコーヒーをいただきながら、長時間Q&Aセッションをして、たくさんの話題を率直
に話し合いました。こうした機会が各地で増えるといいなと思いました。
(センター長 埴岡 健一)

参考サイト

>>第10回医療計画の見直し等に関する検討会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001yj85.html
>>がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計 2009年全国集計報告書/2009年全国集計施設別集計表
http://ganjoho.jp/professional/statistics/hosp_c_registry.html
>>全国がん罹患モニタリング集計 2007年罹患数・率報告
http://ganjoho.jp/professional/statistics/monita.html
>>奈良県がん対策推進協議会
http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-25149.htm
>>奈良県がん対策推進アクションプラン
http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-21332.htm
>>市民公開講座 がん学 <事始め>(秋田県がん対策室の活動報告ブログより)
http://akitaken-gantaisaku.blogspot.jp/2012/03/blog-post_30.html
>>がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン 選定結果
http://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/detail/1319081.htm


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔4月2日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html


>>青森県のがん情報サービス〔4月1日更新、青森県〕
http://gan-info.pref.aomori.jp/public/

>>かながわのがん対策〔4月1日更新、神奈川県〕
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f417303/

>>北海道のがん対策情報〔3月31日更新、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm

>>がん-岡山県ホームページ〔3月29日更新、岡山県〕
http://www.pref.okayama.jp/life/2/11/204/

>>しまねのがん対策〔3月27日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>佐賀のがん情報〔3月26日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top.html

>>山梨のがん情報〔3月22日更新、山梨県〕
http://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/seizinhoken/ganjyouhou.html


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[5] がん対策ニュース

>>厚労省、次期医療計画の作成指針を通知-13年度からスタート[3月30日、CBNews]
http://news.livedoor.com/article/detail/6421044/

>>がん細胞事典、米英で作成中 患者の抗がん剤効果予測へ[3月29日、朝日新聞]
http://www.asahi.com/health/news/TKY201203290128.html

>>子宮頸がんワクチン全額助成の期限迫る[3月28日、デーリー東北]
http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/news/2012/03/28/new1203280903.htm

>>職場でたばこ対策強化を 都がハンドブック作製[3月27日、共同通信]
http://www.47news.jp/feature/medical/2012/03/post-649.html

>>がん検診 伸びない受診率 カギは自治体取り組み[3月27日、東京新聞]
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2012032702000067.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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マガジンを配信しております。
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今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2012/04/03(第66号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

住所	   :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
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	    http://www.shimin-iryou.org/

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