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[がん政策レター 2012/05/15(第69号)]「がん政策サミット2012春」を開催しました

配信日付:2012年05月15日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012/05/15(第69号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース

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[1] センター長コラム

●「がん政策サミット2012春」を開催しました

 5月11日、12日、13日の3日間、東京で「がん政策サミット2012春」を開催しました。
患者関係者65人、県会議員24人、都道府県行政担当者37人、医療関係者14人が参加しま
した。また、民間関係者18人が傍聴し、メディア23人が取材されました。ご参加された
みなさま、ご協力者、ご支援くださった方々にこの場を借りて感謝いたします。このメ
ルマガをお読みのみなさまにも、内容を少し共有したいと思います。

 本年度は、都道府県がん対策推進計画の改訂作業を行う時期に当たることから、テー
マは「都道府県第2期がん計画を、六位一体でより良いものに」としました。実際に地域
に戻ってより良い計画の策定につながるよう、グループワークを中心に構成しました。
世界保健機関(WHO)のがん計画策定ガイドブック(「計画策定:がん対策シリーズ第1
巻」)を参考に、手順を踏んで計画を策定することを重視しました。

 同ガイドブックでは、計画策定には「現状を知る」「目標を設定し計画を策定する」
「実行し評価する」といった3段階があるとしています。そこで、その流れに沿って、
「地域の現状を知る」「患者・現場・地域の声を集める」「計画を組み立てる」「日程
案を作る」の4つのグループワークを実施しました。

 セッション1は、県において「○○がんの死亡率がワースト1」といった課題が分かっ
た場合、この課題を検討するにはどんなデータが必要なのか、そうしたデータがどこに
あるのか、ない場合はどうして作ればいいのかを検討しました。そして、12のグループ
に分かれて議論した結果を共有し、データの集め方を学びあいました。

 セッション2は、「地域の声を集めるためにどんなことをすればいいのか」を検討しま
した。まず、意見集約型のタウンミーティングを開く、アンケートを実施するなどから
最適と思う方法を一つ選びました。そして、それを実際に、何を目的に、だれが、いつ、
どのような方法で、だれを対象に実施するのかまで想定した具体案を作りました。さら
に、各グループの討議結果を発表し、共有しました。

 セッション3は、「本当に役立つ施策を見つける」ための一つの方法の練習です。アウ
トカム(成果、あるべき姿)がキーワードです。既存の施策やアイデアを思いつきで選
んでしまうのではなく、まず、現状の課題から達成したいアウトカムを導き出し、その
アウトカムに影響を与える可能性の高い施策を選んだり考え出したりするというアプロ
ーチです。「その施策は本当にアウトカムに結びつくの」を繰り返し問いかけながら、
より良い施策を考えていくというわけです。ここでも、議論のあと各チームの発表を行
いました。

 セッション4では、実際に計画を策定する日程案を作りました。現状を知り、論点を集
約して施策を作り、組み立てて計画にしていくわけですが、これをプロジェクト管理の
発想で進捗管理しなければ、仕上がりません。来年度の都道府県のがん対策予算の要求
に間に合わせるためには、いつまでに計画案を作らなければならないか、そのためには
いつまでに骨子案を作らなければならないか、そのためにはいつまでに意見集約を行わ
なければならないか、といった具合です。「実際にやってみたらよく分かった」「(自
県の計画作りが)もうすでに遅れがちであることが分かり、気を引き締めた」といった
感想が聞かれました。

 こうしたグループワークは常に、患者関係者(患者・家族・支援者)、議員、行政担
当者、医療提供者の混成チームで一緒に行いました。立場、地域、経験の違うものが集
まるからこそ、知恵が交換され、活発な議論が展開され、議論がより高まっていくよう
です。グループ発表も患者関係者だけでなく、県庁担当者や議員も行い、ときには和気
あいあいと、ときには激しい意見交換をしながら、活発な議論が続きました。

 12日の午前には、特別セッション「国のがん計画から学ぶ」を行いました。都道府県
の計画を作る際、国の計画やその背景を熟知しておくことは必須と考えられるからです。
国のがん対策推進協議会会長の門田守人さん、厚生労働省健康局がん対策・健康推進増
進課がん対策推進官の鷲見学さん、がん対策推進協議会会長代理(NPO法人グループ・ネ
クサス理事長)の天野慎介さん、国立がん研究センター理事長の堀田知光さんから、レ
クチャーをいただきました。

 門田さんからは、「がん対策推進基本計画1期の数値目標はおおよそクリアできたもの
の、本当に質が伴っているのという問いかけが出ている」「公共の精神に基づき、みん
なで一緒に考えることが大切」「複眼思考で考えていってほしい」といったメッセージ
がありました。

 鷲見さんは、「がん対策は一定の枠組みができたが、今後はばらつきのない質の向上
が課題となる」と指摘しつつ、新計画の要点を概説。また、「今後、がん拠点病院制度
の変更を考えているので、ぜひ地域からのご意見を寄せてください」との呼びかけがあ
りました。

 天野さんは、がん対策基本法制定に大きな功績があった故・山本たかし議員の参議院
での演説を示し、救える命のためにバトンを引き継ごうと訴えました。そして患者の視
点から、計画改訂案のハイライトが示されました。また、他県の優れた施策を学び導入
すること、新たに全体目標に入った“がんになっても安心して暮らせる社会の構築”に
資する施策を地域で考えること、の重要性を指摘しました。

 堀田さんは、がん研究センターのミッションと運営方針を述べた上で、関心ある課題
として(1)がん医療における日本版コンペンディア制度(適応外薬について一定のエビ
デンスによって保険診療にできる仕組み)の導入(2)地域がん登録の法制化(3)がん
と共生できる社会作り(4)がん対策を評価する指標の策定(5)がん対策の達成状況の
把握のための調査を実施--の5つを上げました。さらに、がん拠点病院制度を再構築す
ること、地域がん登録の現況を検証して公表していくことも重要と指摘しました。

 3日目は、患者の立場からの参加者だけの振り返りセッションです。まず、事前に寄せ
られた日頃の悩みへの回答を、アドボケート同志で話し合いました。そして、米国を代
表するアドボケートの一人であるポーラ・キムさんの話がありました。がん政策サミッ
ト3日間を見た感想を述べたうえで、キムさんがアドボカシー活動の際にモットーとして
いる10カ条を次のように共有してくださいました。

 (1)大志を抱こう(2)関係者と信頼関係を築こう(3)患者ならではの患者向けサー
ビスを提供しよう(4)がん研究など専門的なこともできるだけ勉強し、専門家の中では
「郷に入っては郷に従え」で(5)議会やがん政策立案のプロセスなどの仕組み学ぼう
(6)がん研究資金を集めて研究者や医療者を助成しよう(7)有力ながん研究者に自分
のことを知ってもらおう(8)戦略的思考を心がけ、優先事項を決めよう(9)働きかけ
るターゲットを絞ろう(10)「北風」と「太陽」をいっしょに使おう(ハードな交渉と
ソフトな交渉のバランスが大切)。

 米国の仲間からのアドボケート精神の伝授に、参加者たちは大きな共感と感動を覚え
たようです。アドボケートに国境はないようで、多くの人がキムさんと一緒に記念写真
を撮っていました。

 最後に参加者が一人ずつ感想と抱負を述べました。「ここで学んだことを活かしたい」
「ここで今まで遠い存在だった地元の医師と信頼関係を築いたのでそれを発展させてい
きたい」「全国のみなさんと知りたいになれたので、今後もいろいろ教えてもらいたい」
など、多くの前向きなコメントや“公約”が述べられました。

 がん政策サミットの冒頭で、「国会がん患者と家族の会」(超党派議員連盟)の総会
が開かれました。テーマは、「地域がん登録の体制整備の必要性」。代表世話人の尾辻
秀久氏、事務局長の梅村聡氏、(以下50音順)福島みずほ氏、古川俊治氏、三原じゅん
子氏、渡辺孝男氏らが参加しました。同議連は、地域がん登録の推進に関して大きな問
題意識を感じています。会場参加者からは、地域がん登録の法制化の必要性を示唆する
声が相次ぎました。こうした声が参加した議員のところに確実に届いたと思われます。

 今回の「がん政策サミット2012春」の内容は、がん政策サミットのコーナーにレポー
トを近日中に掲載し、みなさまに共有いたします。次回の「がん政策サミット2012秋」
は10月に開催する予定です。(センター長 埴岡 健一)

参考サイト

>>がん政策サミット
http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/
>>世界保健機関のがん対策シリーズ冊子、「計画策定」
Cancer control: Knowledge into action. Planning
>>WHO guide for effective programmes(英語)
http://www.who.int/cancer/publications/cancer_control_planning/en/index.html
>>米国がん患者リーダーが贈る、日本への「10の教訓」(がんナビ記事)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/200612/100042.html
>>がん登録法制化「議員立法で命がけで」-超党派議連で尾辻氏発言
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120511-00000004-cbn-soci


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>第33回がん対策推進協議会〔5月17開催〕
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008fcb.html

>>がん情報サービス〔5月14日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html


>>青森県がん情報サービス〔5月14日更新、青森県〕
http://gan-info.pref.aomori.jp/public/

>>「ピンクリボンdeカープ」開催のご案内〔5月11日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-suishin/20120610event.html

>>秋田県がん検診実施要領〔5月11日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1322738290114/index.html

>>4疾病及び5事業ごとの医療機関名一覧〔5月10日更新、新潟県〕
http://www.pref.niigata.lg.jp/fukushihoken/1230062477639.html

>>みやぎのがん情報ポータルサイト〔5月10日更新、宮城県〕
http://www.pref.miyagi.jp/situkan/gan-portal/top.html

>>長野県のがん対策・がん検診〔5月9日更新、長野県〕
http://www.pref.nagano.lg.jp/eisei/hokenyob/kenzo/g_taisaku/g_taisaku.htm

>>しまねのがん対策〔5月9日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>北海道のがん対策情報〔5月7日更新、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm

>>新潟県たばこ対策推進協議会の委員を公募します〔5月2日更新、新潟県〕
http://www.pref.niigata.lg.jp/kenko/1335387622094.html

>>栃木県のがん対策〔5月2日更新、栃木県〕
http://www.pref.tochigi.lg.jp/e04/welfare/gantaisaku/tochigikennogantaisaku.html

>>がん検診について〔5月1日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/gan/kenshin/index.html

>>がんに関するイベントのお知らせ〔5月1日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/event/h23/ganevent.html


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[5] がん対策ニュース

>>がん登録法制化「議員立法で命がけで」-超党派議連で尾辻氏発言[5月11日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120511-00000004-cbn-soci

>>大阪市議会も全面禁煙決定・・・来月から/大阪府[5月9日、読売新聞]
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120509-OYO1T00382.htm?from=main3

>>受動喫煙防止、飲食店配慮し再検討 努力義務も削除 労安衛生法改正案、今国会成立へ[5月6日、産経新聞]
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120506/mca1205060136000-n1.htm

>>路上喫煙、徴収1億円超 千代田区条例 来月で10年/東京都[5月4日、産経新聞]
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120504/trd12050414250014-n1.htm

>>国会議事堂:衆院議員食堂を全面禁煙へ 議運で検討[5月3日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/select/news/20120504k0000m010037000c.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2012/05/15(第69号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

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Copyright(c) 2012 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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