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[がん政策レター 2012/07/10(第73号)]eラーニングで、勉強してみました

配信日付:2012年07月10日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012/07/10(第73号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース

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[1] センター長コラム

●eラーニングで、勉強してみました

 前々号のこのセンター長コラムで、米国の患者アドボケートのベティ・グリーンさん
に触れました。「患者アドボケートが臨床試験を猛勉強し、専門家とほぼ対等に話せる
ようになることが大切とし、患者アドボケートのためのトレーニングコースの整備に力
を入れています」と、彼女の活動を紹介しました。そこで、臨床試験の勉強をするには
どうしたらいいか考え、自分でもさっそくひとつのことを実行してみました。

 「がん医療を専門とする医師の学習プログラムeラーニング(Cancer e-Learning)」
というウェブサイトがあります。厚生労働省の委託事業として、日本癌治療学会など9学
会が共同で運営しているものです。対象は、主に若い医師、専門医、医学生などを想定
していますが、一般の人でも受講することができます。内容は、共通科目7分野、専門科
目4分野で合計約130本の講義が並んでいます。このうち、ひとまず、臨床試験の基礎に
関連すると思われる下記の数本を選んで、受講してみたのです。

・「臨床研究と倫理」:臨床研究の歴史を概観し、「生命・医療倫理の4原則」、「臨床
研究の8要件」、倫理性を担保するしくみ、などの基礎を押さえています。

・「臨床第I相試験、第II相試験」:人体に初めて抗がん剤候補を投与する第I相試験と、
有効性を確認するための第II相試験について、基本的なことを学びます。

・「臨床第III相試験、メタ解析」:新しい治療法とこれまでの標準治療を比較検証する
第III相試験の手法を、学ぶことができます。

・「医療統計学」:治療法、薬の選択などに関する情報の信頼性を見抜き、客観的な推
論・判断を導くため、医療統計学の基礎が学べます。

・「臨床研究の倫理と利益相反(COI)マネージメント」:臨床研究の際に守るべき倫理
と、避けるべき利益相反について、その管理を含めて解説しています。

・「遺伝子解析研究と倫理」:遺伝子診断も含む遺伝子解析研究の注意すべきポイント
などが、解説されています。

 実際に受けてみて、よかったと思います。1コマの所用時間は、1時間から1時間半ぐら
いです。各講義の終わりに簡単な試験があるので、少し緊張します。試験は2回から5回
ぐらい繰り返すことで、パスできました。例えば、医療統計学の試験は私にはとても難
しく、パスするのに5回も掛かってしまいましたが、講義内容はとても興味深く大いに勉
強になりました。全体に、受講によって、それぞれのテーマの基礎がざっくり分かった
ような気持ちにはさせてくれます。医療提供者や政策立案担当者とこうした話題になっ
た場合でも、一応、最低限の基礎を勉強したことがあるという安心感は抱けるのではな
いかと感じました。

 何となく分かったような気になっていた事項も、本当の意味が分かっていなかったと
いうことも多かったです。一方、医療従事者にとっては当たり前の専門用語は解説なし
に出てくるものがあるので、そうしたものは自分でウェブ検索して意味を確かめる必要
がありました。収録されてから少し時間が立っている講義も含まれていますが、基本を
押さえるという観点からはあまり問題がないと思いました。一口でいって、受講してみ
て、自分にとっての満足度は高かったです。同時に、これだけで十分勉強できたと錯覚
するのは危険で、はっきり分からないことは、専門家や詳しい人に聞いたり、調べたり
しなければならないとも思います。

 今後、日本で臨床試験が推進されていくでしょうから、グリーンさんが指摘するよう
に、臨床試験の仕組みをよく理解した患者アドボケートが大勢存在する必要性が高まっ
ていくと思われます。「がん政策サミット2012春」に出席してくださった米国アドボケ
ートのポーラ・キムさんも、「患者の視線を忘れないと同時に、専門家の信頼を得るに
は、患者が専門家の言語を理解している、と専門家に思ってもらうことが大切」と、語
っていました。昨年、米国がん研究所(NCI)と米国医薬食品局(FDA)を訪問した際の
ことを、このセンター長コラム(2011年6月14日/28日)でご紹介しました。米国では臨
床試験の多くの段階で患者参加が進み、それに伴って患者への研修も深められていまし
た。患者アドボケートには、理解者とけん制者の両面で、社会・市民・患者と専門家の
橋渡しが期待されているようです。

 今回は臨床試験関係だけをご紹介しましたが、このeラーニングプログラムには「緩
和医療学」「精神腫瘍学(サイコオンコロジー)」など、たくさんの分野があります。
最近はさまざまなeラーニングの仕組みも増えてきましたし、入門の書籍もたくさん出
ています。こうした勉強はいつかやろうと思いながら、きっかけがないとなかなか始め
られないものですが、やっぱり勉強は大切と改めて実感した次第です。
(センター長 埴岡健一)

参考サイト

がん医療を専門とする医師の学習プログラムeラーニング(Cancer e-Learning)
http://www.cael.jp/

[がん政策レター 2011/06/14(第45号)]
米国のASCOに出席し、NCIとFDAを訪問し、JHU病院も見学しました
http://ganseisaku.net/impact/mailmagazine/gan_/0045.txt

[がん政策レター 2011/06/28(第46号)]
米国がん研究所と食品医薬品局での「患者参加の仕組み」に学ぶ
http://ganseisaku.net/impact/mailmagazine/gan_/0046.txt


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[2] がん対策レポート

●「がん政策サミット2012春」レポートを掲載しました。

 2012年5月11日(金)から13日(日)の3日間、東京都千代田区で「がん政策サミット2012
春」を開催しました。

 参加者は総勢140人。都道府県第2期がん計画策定の年にあたる今回は、六位一体でよ
り良いがん計画策定を行うことをテーマとしました。白熱した議論が交わされたがん計
画策定のワークショップの他、国のがん対策推進協議会委員や厚生労働省等の出席を得
て開催した特別セッションなども行われました。

>>がん政策サミット2012春 開催レポート
http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/gan_summit_2012_spring/reports/index.html


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔7月5日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html

>>山梨のがん情報〔7月9日更新、山梨県〕
http://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/seizinhoken/ganjyouhou.html

>>がんに関するイベントのお知らせ〔7月9日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/event/ganevent.html

>>平成24年度原爆被爆者のがん検診〔7月6日更新、宮崎県〕
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/fukushi/kenko/cancer/page00158.html

>>しまねのがん対策〔7月4日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>みやぎのがん情報ポータルサイト〔7月3日更新、宮城県〕
http://www.pref.miyagi.jp/situkan/gan-portal/top.html

>>がんに関するイベントのお知らせ〔7月3日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/event/ganevent.html

>>「働く世代をがんから守るがん検診推進事業」参加企業募集のお知らせ〔7月2日更新、福岡県〕
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/b01/gankoujou.html


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[5] がん対策ニュース

>>がん治療「離島も充実を」県計画反映へ[7月8日、沖縄タイムス]
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-07-08_36064

>>県:がん対策推進協委員を初の公募 20日締め切り/奈良県[7月6日、中国新聞]
http://mainichi.jp/area/nara/news/20120706ddlk29010560000c.html

>>「がん登録法制化」への政策提言に期待-国がん・外部委員意見交換会[7月4日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120704-00000008-cbn-soci

>>国立医療研究センターの関連法案を来年提出[7月2日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120702-00000008-cbn-soci

>>がん復職、支援急務 民間調査 就労状況、患者半数が変化[7月2日、産経新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120702-00000084-san-soci


※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2012/07/10(第73号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

住所	   :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
Web	   :http://ganseisaku.net/
	    http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2012 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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