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[がん政策レター 2012/09/18(第78号)]国のがん対策予算案を読み、地域の予算策定作業に備える

配信日付:2012年09月18日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012/09/18(第78号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース

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[1] センター長コラム

●国のがん対策予算案を読み、地域の予算策定作業に備える

 このほど、政府の2013(平成25)年度予算の概算要求が財務省に提出されました。こ
の中で、厚生労働省管轄分のがん対策予算についても明らかになりました。概算要求は、
各省庁が例年夏に財務省に出す予算要求で、この後、折衝が行われ、毎年12月に来年度
の予算案となります。これから金額などはかなり変化することがあり得ますが、どのよ
うな予算になるか、内容の推測をすることができます。国が都道府県や市町村等を新た
に補助する事業の候補なども明らかになりますので、国のがん対策予算案を読むことは、
地域のがん対策予算を策定するに当たり、欠かせない作業のひとつでしょう。

 厚労省発表資料に基づき、まず、厚労省のがん対策予算総額の推移を見ておきましょ
う。
・2010(平成22)年度 予算時316億円/概算要求時453億円
・2011(平成23)年度 同343億円(前年度比9%増)/同541億円
・2012(平成24)年度 同357億円 *275億円 (前年度比4%増)/同415億円
・2013(平成25)年度 同未定/同392億円

 2012年度までは国立がん研究センターへの研究費を含めて表記されていましたが、2013
年度はそうでなくなっているので、比べる際は、それに該当する数字を引いた※印の数
字を使う必要があります。すなわち、本年度の予算275億円に対し、来年度の概算要求は
392億円と、117億円(43%)増加しています。11年度は前年度に比べて9%、昨年度は前
年度より4%増えていました。このように、国のがん対策予算は他の多くの項目が減少す
るなかで増加し続けています。来年度も、例年のように概算要求時から予算時に減額が
されるであろうものの、本年度に比べると増加すると予想されます。

 がん対策予算にはいくつかの追い風が吹いているといえます。まず、がん計画が第1期
から第2期に入る節目の時期であること。本年度から5年間の、国の第2期がん対策推進基
本計画は、6月8日に閣議決定されました。昨年のうちに編成が行われた本年度予算から、
新計画のための予算は一部が織り込まれていましたが、新計画の決定を受けてそれを推
進する事業の予算化が本格的になる側面が含まれてきます。また、日本の高齢化の進展
を受けて、厚労省予算では在宅ケア関連が強化されていますが、がん対策においても在
宅ケアは大きなテーマとなっています。さらに、日本の科学技術力を高めるためのイノ
ベーションの推進が国家戦略に位置づけられ、その中で生命科学に関するライフイノベ
ーションが3本柱のひとつとなっていますが、そのライフイノベーションのうち、がん研
究が大きなテーマとなっています。がん研究に関しては、厚労省管轄分のみならず文部
科学予算からも、多くの予算が手当てされます。

 追い風と同時に、次のような従来から指摘されている継続課題があることも、忘れな
いように吟味することも大切かも知れません。

・要望されたり、国の計画に記載されたりした事項のうち、どのように予算項目が選ば
れたかについての、さらなる明確化と説明が必要
・地域のニーズと国が予算化する項目が、必ずしも一致しない
・国の用意した予算が地域には活用しにくく、残ってしまうことがある
・新規についた予算項目にスポットライトが当てられる一方で、既存の重要項目が減額
されたり廃止されたりすることがある
・新規に予算化されたときなどは、一定の広報がされるが、予算執行後にどのような成
果があったかなど、評価に関する情報が少ない

 次に、がん対策予算がどんな分野にどの程度配分されているのかを見ておきましょう。
厚労省の説明文書では下記の8つに分類されています。数字は、左から2013年度概算要求
額、2012年度予算、シェア(2013年度がん対策概算要求額に占める割合)です。予防・
早期発見とがん研究が規模も大きく、伸び率も高くなっていることが分かります。

1.放射線療法・化学療法・手術療法の充実、医療従事者の育成
 34億円(30億円)(シェア約9%)
2.緩和ケアの推進
 13億円(5億円)〔シェア約3%〕
3.がん登録と相談支援・情報提供
 9.3億円(9.5億円)〔シェア約2%〕
4.がんの予防・早期発見
 184億円(124億円)〔シェア約47%〕
5.がん研究
 141億円(102億円)〔シェア約36%〕
6.治療と職業生活の両立
 5.5億円(新)〔シェア約1%〕
7.小児がん
 4.8億円(4億円)〔シェア約1%〕
8.がん対策総合推進費
 2000万円(2100万円)〔シェア約0.05%〕

 さて、個別の事業で、新規かつ補助先が都道府県等になっているものをピックアップ
してみましょう。いずれも、上記の8つの分野のいずれかの下に入っています。特別重点
とされた項目は、概算要求から予算案の間で減額される可能性が低いと考えられます。
こうした新規事業について、47都道府県のうちどれだけが、国の予算を活用して都道府
県の来年度予算に組み入れるかが注目されます。

○がん性疼痛緩和推進事業(特別重点) 4.8億円
 地域がん診療連携拠点病院において、がん性疼痛の緩和についての相談支援事業を強
化する。
○緩和ケアセンター整備事業(特別重点) 3.5億円
 都道府県がん拠点病院等において、緩和ケアチーム、緩和ケア外来、緊急緩和ケア病
床の確保などが実施できる体制を整備する。同時に診断時より切れ目のない緩和ケア診
療体制を構築する。
○たばこクイットライン事業 1.6億円
 「クイット」とは「やめること」。がん拠点病院に「たばこ相談員」を配置し、電話
相談、禁煙支援、禁煙治療機関に関する情報提供などを行う。
○がん患者の就労に関する相談・情報提供事業(特別重点) 3.2億円
 長期の治療等が必要ながん患者の「治療と仕事の両立」等を支援するため、拠点病院
に相談窓口を設置し、就労に関する相談支援と情報提供を行う。

 都道府県がん対策推進計画の策定作業が進行している今の時期に、地域の視点から、
国の来年度予算情報についてどのように考え、どのように行動すればいいのでしょうか。
私は、例えば次のようなところが押さえどころに含まれるのではないかと推察します。
みなさんなら、どんなことを挙げますか。

・地域に生じている課題を解決に導くために有効な施策を自律的に考え、第2期都道府県
計画に盛り込む
・その際、国の第2期基本計画と来年度予算案を参考にする。また、他県の本年度予算の
うち、好事例がないか参照する
・都道府県の第2期がん対策推進計画に盛り込む施策のうち、事業化すべきものについて
予算化する
・その際、国の予算が使えるものは活用する。そうでないものは、独自予算化する
・都道府県のがん計画や予算の策定について、参画したり意見を述べたりする
(センター長 埴岡 健一)

参考サイト
>>平成25年度厚生労働省概算要求(がん対策はページ番号3~7)
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/13syokan/dl/04-02.pdf
>>厚生労働省予算
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/
>>がん対策推進基本計画(第2期)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ckvt.html
>>都道府県のがん対策予算
http://ganseisaku.net/practices/archives/budget/gan_local/gan_torikumi.html


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

●格差データ更新情報

都道府県でみる「がんの医療資源」2012年版更新
http://ganseisaku.net/gap/data/gan/prefectures/doctor/doctor_nintei/2012/all.html


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[4] がん対策トピックス

>>がん情報サービス〔9月3日更新〕
http://ganjoho.jp/public/index.html

>>がん対策情報〔9月12日更新〕
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/index.html


>>北海道のがん対策情報〔9月12日更新、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm

>>青森県がん情報サービス〔9月12日更新、青森県〕
http://gan-info.pref.aomori.jp/public/

>>広島がんネット〔9月12日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/

>>かながわのがん対策〔9月11日更新、神奈川県〕
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f417303/

>>新潟県のがん罹患等の状況(平成20年標準集計)〔9月11日更新、新潟県〕
http://www.pref.niigata.lg.jp/kenko/1346792493993.html

>>しまねのがん対策〔9月10日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>長野県のがん対策〔9月9日更新、長野県〕
http://www.pref.nagano.lg.jp/eisei/hokenyob/kenzo/g_taisaku/g_taisaku.htm

>>健康推進課がん対策室〔9月7日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/genre/0000000000000/1238473618657/index.html

>>佐賀のがん情報〔9月7日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top.html

>>福島県地域がん登録事業について〔9月6日更新、福島県〕
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=30859

>>茨城県のがん対策にようこそ〔9月5日更新、茨城県〕
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/hoken/yobo/cancergroup/index/index.html

>>千葉県がん診療連携協力病院について〔9月3日更新、千葉県〕
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/gan/kyouryokubyouin.html

>>【上越】9月はがん征圧月間です:あすなろ健康づくり情報第3号〔9月3日更新、新潟県〕
http://www.pref.niigata.lg.jp/jouetsu_kenkou/1339102903380.html


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[5] がん対策ニュース

>>路上喫煙に過料2千円/神奈川県[9月13日、タウンニュース]
http://www.townnews.co.jp/0301/2012/09/13/157220.html

>>小児がん拠点病院の指定要件通知[9月10日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120910-00000002-cbn-soci

>>小児がん拠点の要件で、譲れなかったこと[9月10日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120910-00000003-cbn-soci

>>行田市 禁煙治療 薬代助成へ 補正予算案 上限1万円で県内初/埼玉県[9月8日、東京新聞]
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20120908/CK2012090802000171.html

>>がん患者ら県に進言/広島県[9月7日、朝日新聞]
http://mytown.asahi.com/hiroshima/news.php?k_id=35000001209070001

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2012/09/18(第78号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

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Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
Web	   :http://ganseisaku.net/
	    http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2012 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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