配信日付:2012年10月02日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012/10/02(第79号) ■□ がん政策レター □■ 日本医療政策機構 市民医療協議会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策 の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1] センター長コラム [2] がん対策レポート [3] インフォメーション [4] がん対策トピックス [5] がん対策ニュース ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1] センター長コラム ●都道府県のがん計画をより良いものに仕上げよう 来年度から全国47都道府県で2013~17(平成25~29)年度の「都道府県がん対策推進 計画」(以下、第2期都道府県計画)が、運用されます。現在、各地でその策定作業が進 められています。 9月5日の国のがん対策推進協議会で発表された資料では、8月の調査時点では13自治体 が「計画見直し作業に未着手」となっていましたが、その後、検討を始めたところも増 えてきていると思われます。各地で“時間との闘い”の作業が繰り広げられていると想 像されます。行政の担当者、審議に当たる都道府県がん対策推進協議会の委員、意見を 出す県民などにとって、ここ3カ月ほどが、正念場とも言えるでしょう。 9月21日、沖縄県のがん診療携協議会(以下、沖縄県連携協議会)に委員として出席し ました。ここではユニークな活動が行われています。沖縄県連携協議会は沖縄県がん対 策推進協議会(以下、沖縄県推進協議会)とは別の組織で、第2期都道府県計画を審議す る直接の任務があるわけではないのですが、自発的にその案を策定し知事や沖縄県推進 協議会に提案をしようとしているのです。 これまで7つある部会(のべ約70人の委員)が担当した分野別に審議を重ね、それをが ん政策部会が取りまとめ、事務局が事務作業を行い、9月21日の沖縄県連携協議会におい て、その案が示され審議されました。多くの人が関わり、時間を掛け、手順を踏んで作 成されたものです。まだ荒削りな部分が残っていたとしても、このように「自主的に」 「県民の声と現場の考えを集める」というプロセスを経た取り組みは、注目に値するの ではないでしょうか。沖縄県連携協議会が主催した9月22日のタウンミーティングでも、 次期計画に関する意見が聴取されました。並行して9月18日から10月9日まで、この案に 対するパブリックコメントを実施中です。 ウェブに掲載された案を見れば、その構成と内容の特色が読み取れると思います。11 分野別に1~3ページの分量で、簡潔明瞭に表現されています。分野別に理想イメージと しての「分野目標」を示した後で、具体的な分野別の「最終目標」と「中間目標」が記 載されています。そのうえで、中間目標の達成に役立つと思われる施策が列挙されてい ます。 緩和ケア分野を例に見てみましょう。「最終目標」は「患者・家族・遺族満足度が向 上する」と「精神的痛みを含む除痛率(痛みが取れている率)が上昇する」です。指標 と計測方法も想定しており、前者については患者満足度調査を新たに実施すること、後 者は沖縄県連携協議会の緩和ケア部会で測定している方法を準用すること、としていま す。数値目標は、初回調査で現在水準を見てから将来の値を決める、としています。そ して「最終目標」の達成に資すると思われる7つの「中間目標」を設定し、こうした中間 目標の達成に資すると考えられる施策を7本挙げています。 このように、最終目標につながる施策を抽出しようとしていること、随所にアウトプ ット(結果)ではなくアウトカム(成果)を計測する考えを取り入れていること、具体 的な評価指標と計測方法を想定していること、計測を実施すること自体を施策として案 に組み入れていることなどが、構造的な大きな特色となっています。アウトプット とは施策が直接的にもたらす結果、アウトカムはその結果として患者などに生じる成果 のことです。例えば、医師が研修会に参加するのがアウトプット、研修に参加した医師 が診療を行い患者の苦痛が除去されることがアウトカムです。今後、沖縄県連携協議会 委員、タウンミーティング参加者、パブリックコメントからの意見を反映して改訂し、 沖縄県知事と沖縄県推進協議会に提出する予定です。 いよいよ「がん政策サミット2010秋」が近づいてきました。10月6日、7日、8日に奈良 県にて開催されます。終了後、結果をがん政策情報センターウェブサイトにてご報告い たします。その際は、ぜひ、そちらをお読みください。ここでは、予定されている内容 を事前に少し紹介いたします。 テーマは「患者と地域に成果をもたらす県計画に仕上げよう」です。先にここ3カ月ほ どが正念場と書きましたが、その限られた時間内で関係者が一体となってベストが尽く せるように知恵を合わせよう、というのが主たる趣旨です。事前に都道府県のがん計画 策定担当者(45都道府県)から、計画策定進捗状況に関するアンケートの回答をいただ きました。策定プロセスに沿って、「関係者等の意見の把握」「計画の評価および課題 の抽出」「目標の設定および施策の明示」「進捗状況の評価」などについて、9月中旬時 点の現況を聞きました。また、「自県でうまくいっていること」と「苦労していること、 困っていること」も尋ねました。当日は、こうして集まった情報を基に参加者一同で学 び合い、県計画の質が“均てん化”することに役立てたいと考えています。 9月5日の国のがん対策推進協議会でも議論の焦点となっていましたが、現在、計画を 評価する指標を策定することが大きな課題となっています。都道府県計画においても同 じです。今回のがん政策サミットでは、「患者と地域に成果をもたらす県計画に仕上げ る」という観点から、計画が継続的に成果をもたらしているかどうかを観察できる指標 について、みんなで考えるセッションを設けています。 厚生労働省で近く立ち上がる「がん診療提供体制のあり方に関する検討会(仮称)」 において、地域がん診療連携拠点病院制度の見直しが進められます。このタイミングを 考慮に入れ、事前にいただいた意見(参加者のうち43人からいただきました)も共有し、 がん政策サミット参加者によるタウンミーティング形式の意見集約を行います。患者、 現場、地域の実情を知っているみんなで、関心をもって議論に参画していこうとの趣旨 です。 たくさんのがん対策関係者が来賓、演者としてご来場くださいますので、報告レポー トを楽しみにしていてください。7回目となるがん政策サミットですが、東京以外の開催 は初めてです。地域の自主性と創意工夫が重視されつつある今、地域において地域の好 事例などを交換する意義は大きいと思われます。今回の奈良県での開催は、地元のボラ ンティア、奈良県庁の方々のご尽力があってこそ、実現することができました。この場 を借りてお礼申し上げます。 地元奈良県では、10月8日の午後には「奈良県のホスピスとがん医療をすすめる会」に よる「市民公開タウンミーティング第2回『奈良県のがん医療を考える』」が開催されま す。10月10日には、県主催の「奈良県がんと向き合う日 キャンペーン」が行われます。 お近くの方はどんな内容か見に行かれてはどうでしょうか。一連のイベントで、奈良で はがん対策推進強化ムードが高まることでしょう。 「がん政策サミット2012秋」の内容に関しては、10月中旬ごろに当日発表資料などを、 11月上旬ごろにレポート記事をがん政策情報センターウェブサイトに掲載する予定です。 みなさんも、都道府県がん計画を仕上げるために、こうした情報をご活用ください。 (センター長 埴岡健一) 参考リンク >>第35回がん対策推進協議会資料 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002j3za.html >>がん政策サミット(これまでの開催情報) http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/ >>沖縄県がん診療連携協議会 http://www.okican.jp/index.jsp >>沖縄県がん対策推進計画(案)パブリックコメント募集ページ http://www.okican.jp/detail.jsp?id=45218&menuid=9917&funcid=1 >>奈良県のホスピスとがん医療をすすめる会 http://nara-hospice.org/ >>「奈良県がんと向き合う日」キャンペーン http://www.pref.nara.jp/secure/52706/gankeihatu.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2] がん対策レポート 今回はお休みさせていただきます。 次号をお楽しみに。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [3] インフォメーション 今回はお休みさせていただきます。 次号をお楽しみに。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [4] がん対策トピックス >>がん情報サービス〔9月26日更新〕 http://ganjoho.jp/public/index.html >>北海道のがん対策情報〔10月1日更新、北海道〕 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm >>がん患者の支援〔10月1日更新、神奈川県〕 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f417303/p513312.html >>しまねのがん対策〔9月28日更新、島根県〕 http://www.shimane-gan.jp/index.html >>平成24年度健康やまぐちチャレンジ月間の実施について〔9月28日更新、山口県〕 http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a15200/kenkou/24challenge.html >>広島がんネット〔9月27日更新、広島県〕 http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/ >>みやぎのがん情報ポータルサイト〔9月24日更新、宮城県〕 http://www.pref.miyagi.jp/situkan/gan-portal/top.html >>がんに関するイベントのお知らせ〔9月24日更新、千葉県〕 http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/event/ganevent.html >>子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業について〔9月20日更新、徳島県〕 http://www.pref.tokushima.jp/docs/2010122700113/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [5] がん対策ニュース >>県の次期がん対策 1期目の検証生かした改定を[9月26日、愛媛新聞] http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201209263279.html >>緩和ケア推進で中間報告とりまとめ[9月26日、CBNews] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120926-00000008-cbn-soci >>がん対策推進議連:検診率向上へ発足--県議会/奈良県[9月20日、毎日新聞] http://mainichi.jp/area/nara/news/20120920ddlk29010524000c.html >>禁煙指導「たばこ相談員」、全国の病院に配置へ[9月17日、読売新聞] http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120917-OYT1T00525.htm >>がん治療特区、申請へ 県、重粒子線治療拠点に/群馬県[9月15日、産経新聞] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120915-00000074-san-l10 ※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。 http://ganseisaku.net/newsclip/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール マガジンを配信しております。 配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。 今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策レター 2012/10/02(第79号) 発行所 :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター 発行人/編集長:埴岡 健一 住所 :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101 Tel :03-3222-6532 Fax :03-3222-6535 E-mail :gan_newsletter@hgpi.org Web :http://ganseisaku.net/ http://www.shimin-iryou.org/ Copyright(c) 2012 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●がん政策レターのバックナンバーは下記URLよりご覧ください。 http://ganseisaku.net/impact/mailmagazine/gan_/ ●がん政策レターを購読ご希望の方は下記URLにアクセスしてください。 https://shimin-iryou.org/plugins/cch/mailmagazine/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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