配信日付:2013年03月26日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013/03/26(第91号) ■□ がん政策レター □■ 日本医療政策機構 市民医療協議会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策 の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1] センター長コラム [2] がん対策レポート [3] インフォメーション [4] がん対策トピックス [5] がん対策ニュース ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1] センター長コラム ●「国民ががんと向き合う社会」の実現に向けて 新聞でもたくさん報道されていましたが、内閣府が3月16日に発表した、 「がん対策に関する世論調査」の結果を読んでおきましょう。全国の一般成 人1883人からの回答を集計したものです。 がんに対する印象は「こわいと思う」が76.7%、「こわいと思わない」が 22.4%でした。「こわいと思う」理由は、「死に至る場合があるから」(75.1 %)、「痛みなどの症状が出る場合があるから」(50.5%)が1位と2位でし たが、3番目に多かったのが46.5%の「がんの治療費が高額になる場合がある から」でした。30歳代では、51.5%に選択率が上がっていました。また、「が んによって仕事を長期間休むか、辞めざるをえない場合があるから」が全回 答者のうち26.5%ありました。40歳代では37.1%と高くなっていました。 「現在の日本の社会は、がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に 通う必要がある場合、働きつづけられる環境だと思いますか」と、仕事と治 療の両立について尋ねた設問に対しては、「そう思わない」と継続就労の困 難さを感じる人が68.9%にものぼりました。なかでも20歳代、30歳代、40歳 代では75%を超えており全体平均より高くなっています。「がん対策につい て、政府としてどういったことに力を入れてほしいと思いますか」の問では、 3番目に多かったのが「がんによって就労が困難になった際の相談・支援体制 の整備」(50.0%)でした。国民の間で、がんになったときの就労や費用の 経済的問題が大きな不安となっていることが分かります。 上の調査は一般成人に聞いたものですが、以前、がん政策情報センターが 行った患者意識調査でも、同様の状況が表れていました。「がんの診断や治 療を通して、どのようなことについて悩みましたか」の問に対して、39.7% の人が「収入、治療費、将来への蓄えなどの経済的なこと」と回答し、「仕 事、地位、人間関係などの社会とのかかわり」を30.9%の回答者が選びまし た。また、「がんの治療にかかった費用は、どの程度の負担感がありました か」に対しては、70.9%が「負担が大きい」としました。 国のがん対策推進基本計画には、「『がん患者を含めた国民が、がんを知 り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会』の実現を目指す」とあ りますが、まだその実現には遠い状態のようです。国の第2期がん対策推進基 本計画では、関係者の尽力もあって、全体目標に「がんになっても安心して 暮らせる社会の構築」が入り、分野に新たに「がん患者の就労を含めた社会 的な問題」が追加されました。様々な立場、当事者からのこうした領域への 取り組みが加速されているでしょうし、都道府県による施策においても対策 の芽生えが見られるようになってきたようです。 以前もこのコラムでご紹介しましたが、現在24道府県が制定済のがん対策 推進に関する条例の中で、就労支援や経済的負担の軽減について規定してい るものがあります。鳥取県と和歌山県の条例には、「患者が不当な扱いを受 けない社会を実現する」との条項があります。鳥取県、群馬県、秋田県、京 都府、大分県、大阪府、香川県、山梨県、北海道、宮崎県、沖縄県、愛知県、 和歌山県、千葉県の条例は、事業者の責務としての就労支援について記載し ています。また、大阪府条例は、府による就労支援と経済的負担の軽減を、 盛り込んでいます。富山県条例は、基本理念の条項に、がん患者の就労など の社会経済活動への参加を入れています。 4月からスタートする第2期都道府県がん対策推進計画の案を読んでも、こ うした領域に関する施策が散見されます。これもまた以前のコラムの繰り返 しになりますが、その中から下記にいくつかの例を拾っておきます。 岡山県計画には、「がん患者とその家族を社会全体で支える仕組みの構築 のために使用される、寄付制度の創設等を目指します」とあります。山形県 は独自調査による地域の現状を踏まえた上で、「がん患者を理由に失職する 勤労者の割合を現状の25%から減少させる」との目標を設定しました。熊本 県は、「がん患者等の就労問題をテーマとする連絡会議を3年以内に立ち上げ、 5年以内に職場復帰の支援などに関するネットワークを構築する」と書きまし た。茨城県は「がん患者就労支援関係機関ネットワーク(仮称)の構築」を 盛り込みました。鳥取県は、「がん検診受診率向上パートナー企業」の指定 要件を設定することによって、「従業員にとって、がん療養・家族看護しや すい環境に配慮する企業数」と「がん経験を理由に不利益な扱いを受けるこ とのない環境に配慮する企業数」を、増やすとしています。 「がんと向き合う社会」がどのように実現していくのでしょうか。国と地 域の行政による施策実施、企業など民間の取り組み、患者アドボケートのさ らなる活躍などが、必要とされているのでしょう。内閣府の「がん対策に関 する調査」は、2007年9月、09年9月、13年1月(今回)の3回行われています が、次回の調査においてこの記事のはじめでご紹介した数値がどのように変 化しているかも、注目されるところです。(センター長 埴岡 健一) 参考サイト >>がん対策に関する世論調査 http://www8.cao.go.jp/survey/h24/h24-gantaisaku/index.html >>患者が求めるがん対策vol.2 ~がん患者意識調査2010年~ http://ganseisaku.net/impact/reports/gan_ishiki_2010.html/20110509.pdf >>都道府県のがん対策に関する条例 http://ganseisaku.net/practices/archives/law/gan_local.html >>全国のがん対策推進計画の着目点 http://ganseisaku.net/impact/mailmagazine/20130312.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2] がん対策レポート 今回はお休みさせていただきます。 次号をお楽しみに。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [3] インフォメーション 今回はお休みさせていただきます。 次号をお楽しみに。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [4] がん対策トピックス >>がん情報サービス[3月18日更新] http://ganjoho.jp/public/index.html >>岡山県がん診療連携協議会〔3月27日更新、岡山県〕 http://www.okayama-ganshinryo.jp/ >>健康推進課がん対策室〔3月25日更新、秋田県〕 http://www.pref.akita.lg.jp/www/genre/0000000000000/1238473618657/index.html >>長野県のがん対策〔3月25日更新、長野県〕 http://www.pref.nagano.lg.jp/eisei/hokenyob/kenzo/g_taisaku/g_taisaku.htm >>ぎふがんねっと〔3月22日更新、岐阜県〕 http://gifugan.net/ >>青森県がん情報サービス〔3月19日更新、青森県〕 http://gan-info.pref.aomori.jp/public/ >>山形県がん対策〔3月19日更新、山形県〕 http://www.pref.yamagata.jp/ou/kenkofukushi/090005/gantaisakuhome.html >>しまねのがん対策〔3月19日更新、島根県〕 http://www.shimane-gan.jp/index.html >>がん患者の支援〔3月15日更新、神奈川県〕 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f417303/p513312.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [5] がん対策ニュース >>禁煙支援の相談員配置へ 厚労省、13年度から[3月25日、中国新聞] http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201303250084.html >>【がん対策】現役世代への支援態勢を[3月21日、高知新聞] http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=300292&nwIW=1&nwVt=knd >>青森県、「短命」返上へ健康増進計画 喫煙率など数値目標[3月21日、河北新報] http://www.kahoku.co.jp/news/2013/03/20130321t21002.htm >>がん研究の「司令塔」が必要-文科省検討会、若手研究者の支援も[3月19日、CBNews] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130319-00000004-cbn-soci >>がん治療・検査と仕事の両立、7割が「困難」[3月17日、読売新聞] http://www.yomiuri.co.jp/job/news/20130317-OYT8T00484.htm?from=hochi ※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。 http://ganseisaku.net/newsclip/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール マガジンを配信しております。 配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。 今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策レター 2013/3/26(第91号) 発行所 :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター 発行人/編集長:埴岡 健一 住所 :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101 Tel :03-3222-6532 Fax :03-3222-6535 E-mail :gan_newsletter@hgpi.org Web :http://ganseisaku.net/ http://www.shimin-iryou.org/ Copyright(c) 2013 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●がん政策レターのバックナンバーは下記URLよりご覧ください。 http://ganseisaku.net/impact/mailmagazine/gan_/ ●がん政策レターを購読ご希望の方は下記URLにアクセスしてください。 https://shimin-iryou.org/plugins/cch/mailmagazine/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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