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[がん政策レター 2013/04/09(第92号)]パブリックコメントの反映状況を見てみよう

配信日付:2013年04月09日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013/04/09(第92号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

●パブリックコメントの反映状況を見てみよう

 このがん政策レターの読者の多くの方が、都道府県がん対策推進計画の案
に対するパブリックコメント(パブコメ)募集に対して、ご意見を提出され
たことと思います。そうしたパブコメがどのように扱われ、計画文の変更な
どの影響を与えたか、検証をしておくことも大切と考えられます。そこで、
各都道府県のホームページから、パブリックコメントの実施結果のページを
探して、読んでみました。

 今回、発見できたのは青森県、岩手県、秋田県、茨城県、栃木県、群馬県、
東京都、神奈川県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、愛知県、三
重県、滋賀県、大阪府、兵庫県、奈良県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県、
徳島県、香川県、愛媛県、高知県、佐賀県、熊本県、宮崎県、鹿児島県の31
都府県分です。

 まず、パブリックコメントの意見提出の数を見てみましょう。100件以上で
あったところは山口県(296件)、神奈川県(202件)、滋賀県(176件)、奈
良県(119件)、山梨県(101件)、岡山県(100件)でした。5年前の計画策
定時のパブコメ数と比べて増加しているのは、宮崎県(前回2件⇒今回33件)、
佐賀県(前回4件⇒今回27件。ただし、今回数値は同様意見をまとめた件数で
す)などです。

 各県は意見に対して、考え方として見解を示しています。また、「全部反
映」「一部反映」「参考」「反映困難」「その他」などに分類して数を示し
ている場合もあります。重要なのは、患者アドボケート(政策提言する人))
や患者・市民、地域の関係者等からの声が、どの程度、計画の内容に反映さ
れたかでしょう。反映数がゼロのところもあります。岩手県は反映件数31件、
山梨県は24件、兵庫県は17件、岡山県は14件、佐賀県は14件です。回答に際
しての各県の姿勢にはかなりの違いを感じます。

 反映されたといっても、そのレベルは、施策の追加、施策の強化、目標の
明確化、記述の詳細化、文章の分かりやすさ向上、訂正など、さまざまです。
全体としては、文言の微修正レベルのものの方が多くなっていますが、中に
は、施策に具体的な影響がありそうなものも含まれています。パブコメによ
って意見が伝えられたからこそ、計画・施策が向上したと感じられる例もあ
ります。そうしたものを、以下にいくつか列挙してみます。

 佐賀県は、「肝がん死亡者数」に関して、新たに数値目標を設定しました。
また、「計画の目標達成状況と効果の評価」の項目を加筆しました。さらに、
「患者満足度」を把握する調査についての記述を追加しました。がんサロン、
ピア・サポートに関する記載を加えました。がん登録の精度については、目
標にあるDCO比(登録漏れの割合を示す数値で、低いほど優れている)を10%
未満から5%未満に引き上げました。がん教育に関して、教育委員会と連携す
る旨、文言を修正しました。

 秋田県は、がん専門薬剤師とがん薬物療法認定薬剤師の人数に関して数値
目標を追加しました。島根県は、医療従事者の育成に関する数値目標に医療
ソーシャルワーカーの人数を加えました。鳥取県は、小児がん患児家族の状
況や小児がん患児の教育環境について、現状把握のうえ必要応じて有効な施
策を検討すると加筆しました。

 長野県は、がん対策推進計画を単独で作らず、信州保健医療総合計画の一
部として作成しています。パブコメの声に応じて、県は、がん対策部分にお
いて10カ所程度の加筆・修正などを行いました。山梨県は、がん医療に携わ
る専門的な医療従事者の育成についての個別目標を、「がん患者にとって分
かりやすく提示できる体制の整備」としていましたが、「体制の整備だけで
なく、情報提供を行うとしてほしい」との声に答え、表現を加筆しました。
山梨県は、同様の細やかな修正を多数行っています。岡山県は、全体目標3の
「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」の中に、「がんになっても
安心して働き続ける社会の構築」に関する記述を加えることを検討するとし
ました。

 意見が計画の文言に反映されるには至らないものの、回答文が一種の公約、
アクションプランの提示、内容の解説などの意味合いを持ってくるような場
合もあります。

 高知県は、「高知県がん対策推進条例の条文を追加してほしい」との意見
に対して、議員発議の条例であり、がん条例のテーマはがん計画そのもので
はないものの、「条例の見直しにつきましては、平成25年度に具体的な検討
作業を進めたいと考えております」と、考え方を示しました。また、回答の
なかで、「平成25年度には、第2期高知県がん対策推進計画のアクションプラ
ンの策定を予定しております。アクションプラン策定の際には作業部会を設
置し、分野ごとに具体的な取組を検討することとしております」と、計画の
進捗管理の考え方の説明もしています。

 福井県は、「ピア・サポート体制、患者や経験者同士の交流の場に関して、
今後の方針を教えてほしい」との声に、「5つのがん拠点病院の相談支援セン
ターおよび県ホームページなどを通じて、ピア・サポーターとして協力いた
だける方を定期的に募集する予定です」と回答しています。奈良県は、「目
次に小児がんの記載がないが、記載する必要があるのではないか」との意見
に対し、「分野別施策の柱の一つとはなっていませんが、(中略)小児がん
患者やその家族への支援のあり方や長期フォローアップ体制等について検討
を進めてまいります」と答えています。大阪府は、大阪府のがん対策基金に
関する意見への回答のなかで、「約4カ月で550万円(の寄付実績があった)」
「寄付金状況を踏まえ、患者支援も視野に入れながら、公募方式による事業
も実施してまいります」と、情報を提供しています。

 ぜひ、みなさんも各県のホームページにあるパブコメ結果を閲覧してみて
ください。地域によってパブコメの活性度には、違いがあったようです。行
政によるパブコメへの回答の姿勢や反映の度合いも、かなり差があるようで
す。そして、パブコメによって施策が進展した例は確実にあるようです。し
ばしば、「計画や施策へのアドボカシー(政策提言)活動は川上から行うべ
し」と言われます。枠組みや施策の柱を決める段階から参画すれば大きな影
響力が発揮できる可能性があり、川下の文言修正やパブコメの段階では大き
な変更をもたらすことは困難、というわけです。もちろん、それが基本原則
であるとは思います。しかし、今回パブコメ結果を閲覧してみると、パブコ
メに意見を出すことが計画や施策の改善に一定の成果を発揮していることは
確実だと感じました。意見を提出された方々に改めて敬意を表したいと思い
ました。(センター長 埴岡 健一)


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[2] がん対策レポート

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>しまねのがん対策〔4月8日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>がん情報〔4月8日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan.html

>>青森県がん情報サービス〔4月5日更新、青森県〕
http://gan-info.pref.aomori.jp/public/

>>ぎふがんねっと〔4月5日更新、岐阜県〕
http://gifugan.net/

>>がん対策課〔4月5日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/55/

>>みやざきのがん情報〔4月5日更新、島根県〕
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/fukushi/kenko/cancer/index.html

>>山梨のがん情報〔4月3日更新、山梨県〕
http://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/seizinhoken/ganjyouhou.html

>>健康推進課がん対策室〔4月1日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/genre/0000000000000/1238473618657/index.html


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[5] がん対策ニュース

>>学校敷地内は禁煙 県条例が施行[4月7日、丹波新聞]
http://tanba.jp/modules/topics/index.php?page=article&storyid=6621

>>受動喫煙:県と市町村管理施設、全域禁煙は3市町だけ 市民団体が防止策調査/愛知県[4月4日、毎日新聞]
http://mainichi.jp/area/aichi/news/20130404ddlk23040238000c.html

>>がん死 年間1500人以下に...奈良県が第2期対策計画[4月4日、読売新聞]
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=75556

>>喫煙率半減など明記 県が健康増進計画 76項目の数値目標 群馬[4月4日、産経新聞]
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130404/gnm13040402060001-n1.htm

>>がん検診車、運用ピンチ...山口[4月4日、読売新聞]
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=75560


※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2013/4/9(第92号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

住所	   :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
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	    http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2013 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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