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[がん政策レター 2013/05/07(第94号)]地域の特性をデータで把握して戦略を練ろう

配信日付:2013年05月07日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013/05/07(第94号)
■□   がん政策レター   □■  日本医療政策機構 市民医療協議会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター

がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策
の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。

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[1] センター長コラム
[2] がん対策レポート
[3] インフォメーション
[4] がん対策トピックス
[5] がん対策ニュース


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[1] センター長コラム

●地域の特性をデータで把握して戦略を練ろう

 今回は、がん領域以外の分野も含め、都道府県や地域の格差データを、改
めて少し勉強したいと思います。

 厚生労働省は、今年2月末に、平均寿命データを示す「平成22年都道府県別
生命表の概況」を発表しました。男女とも、平均寿命が最も長いのは長野県、
最も短いのが青森県でした。この要因のひとつとして、がん死亡率が青森県
で高く、長野県で低いこともあると考えられます。都道府県のがん死亡率(75
歳未満、年齢調整済)の格差については、がん政策情報センターの格差デー
タコーナーからご覧ください。

 地域のがん医療体制や治療成績を把握し対策を練るには、都道府県単位で
はなく、地域別の死亡率を把握しておくことが重要となります。その地域の
がん登録の仕組みが整備されていれば、そうしたデータを得ることができま
す。地域がん登録が発達している大阪府では、こうしたデータが活用され始
めています。

 大阪府立成人病センター・がん予防情報センターのウェブサイトでは、「統
計でみる大阪府のがん」のコーナーから、大阪府に11ある二次医療圏別の5年
生存率など、多様な情報を提供しています。5年生存率データについては、二
次医療圏別、6つのがんの種類別、男女別に、表やグラフや色分け地図で表示
できるようになっており、活用に便利です。例えば、大腸がん(男性)の5年
生存率では、最も生存率の高い南河内医療圏の70.6%と最も低い中河内地区
の56.8%では、13.8%ポイントの差があるといったことが一目瞭然に分かり
ます。

 大阪府では、国指定のがん拠点病院、府指定のがん拠点病院、大阪府全体
の3つの5年生存率の違いを、11種類のがんについて、進行度別に表示するこ
とも行っています。例えば、大腸がんの領域進行度(がんが発生場所の近く
まで広がっている段階)では、3つの生存率が67.0%、64.4%、60.9%となっ
ており、差があります。こうしたデータはすべての都道府県で閲覧できるよ
うになってほしいものです。

 こうした結果の差がどのような原因から出ているのか、どうした対策を打
てば改善できるのかといったテーマについては、まだ十分な確度の情報が得
られていない段階かも知れません。今後、治療の内容、がんの罹患率、がん
が発見されたときの進行度、がんの早期発見(がん検診)の状況、がん予防
対策といったデータが整備されると同時に、データ相互間の関連性に関する
分析が進むことが期待されます。

 施設別の治療の内容に関しては、院内がん登録全国集計データが示唆を与
えてくれます。すでに、5種類のがんについて進行度(ステージ)別に、がん
拠点病院ごとの治療方法の頻度が、手術療法、放射線療法、化学療法、その
組み合わせなどの分類で表示されています。ご自分の地域の拠点病院に関し
て、例えば大腸がん3期などひとつのがんのひとつのステージに関する治療方
法の内訳データを見ると、病院によって大きく異なっている場合があること
が分かります。院内がん登録のデータ精度が高まることと並行して、こうし
た差がなぜ起こっているのか、適切な範囲の差なのか、地域での検討が進ん
でいってほしいものです。

 がん拠点病院別の手術療法、放射線療法、化学療法などの治療件数は、国
立がん研究センターがん情報サービスが提供している拠点病院の機能情報デ
ータからもある程度、見ることができます。手術のうちの開腹手術、内視鏡
手術、腹腔鏡下手術の件数や、放射線療法のうちの強度変調放射線治療(IMR
T)や定位照射と呼ばれる比較的精度が高いとされる方法の件数なども表示さ
れています。また、病院ごとの専門的医療従事者の数もここから分かります。

 現在、社会保障制度改革国民会議において、医療を含めた社会保障の枠組
み改革の議論が進行しています。この会議では医療や健康保険に関する都道
府県格差に関するデータも多数、資料として提出されています。4月19日に高
橋泰参考人が行ったプレゼンテーションでは、地域ごとの医療ニーズや医療
資源の違いを示した上で、同一県内であっても地域によって環境が異なり、
取るべき対策が違う場合があるとの説明がなされました。これは、がん対策
にとっても当てはまることだと思います。

 がん政策情報センターでは、5月17日~19日の「がん政策サミット2013春」
の準備が佳境となっています。開催レポートに関しては、後日、このがん政
策レターにてご紹介いたしますので、掲載時にはぜひご一読ください。
(センター長 埴岡 健一)

参考サイト

>>平成22 年都道府県別生命表の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/tdfk10/dl/07.pdf
>>がん政策情報センター 格差データ
http://ganseisaku.net/gap/data/gan/
>>統計でみる大阪府のがん(二次医療圏別5年生存率データ入口)
http://www.ccstat.jp/osaka/2-1/2-1-7_.php
>>がん拠点病院生存率比較 部位別(拠点病院とそれ以外の治療成績比較)
http://www.mc.pref.osaka.jp/ocr/images/treatment/image0021.pdf
>>がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計(施設別・がんの種類別・ステージ別治療方法データ含む)
http://ganjoho.jp/data/professional/statistics/hosp_c_registry/2010_shisetsubetsu_report02.pdf
>>がん診療連携拠点病院を探す(がん情報サービス)
http://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/fTopKyoten?OpenForm
>>社会保障制度改革国民会議(開催状況、資料など)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/kaisai.html
>>第9回社会保障制度改革国民会議(4月19日)高橋泰氏発表資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai9/siryou3_3.pdf


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[2] がん対策レポート

●中間評価の指標づくりの一環として「患者体験パイロット調査」実施へ

 2012年度から始まった第2期のがん対策推進基本計画の中間評価の指標を作
るために、患者体験パイロット調査が実施されます。第38回がん対策推進協
議会では、その調査の内容を公表しました。

>>第38回がん対策推進協議会レポート
http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/38.html

>>第38回がん対策推進協議会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002yq85.html

>>過去のがん対策推進協議会レポート一覧
http://ganseisaku.net/practices/reports/domestic/gan_kyougikai/


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[3] インフォメーション

今回はお休みさせていただきます。
次号をお楽しみに。


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[4] がん対策トピックス

>>がんに関する統計・調査〔5月2日更新、北海道〕
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm

>>ぎふがんねっと〔5月1日更新、岐阜県〕
http://gifugan.net/

>>広島がんネット〔5月1日更新、広島県〕
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/

>>しまねのがん対策〔5月1日更新、島根県〕
http://www.shimane-gan.jp/index.html

>>佐賀のがん情報〔4月30日更新、佐賀県〕
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top.html

>>秋田県地域がん登録の状況について〔4月26日更新、秋田県〕
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1188873911026/index.html

>>群馬県のがん対策〔4月26日更新、群馬県〕
http://www.pref.gunma.jp/02/d2900006.html


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[5] がん対策ニュース

>>乳がん検診受診率、受診勧奨で効果-神奈川県茅ヶ崎市でモデル事業[4月30日、CBNews]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130430-00000000-cbn-soci

>>がん患者の口腔ケア 医科歯科連携広がる[4月30日、静岡新聞]
http://www.at-s.com/news/detail/618046070.html

>>がん医療 患者の評価を国が初めて調査へ[4月28日、NHK]
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130428/t10014246161000.html

>>がん検診ネットで予約...福井県開設[4月25日 読売新聞]
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=76701

>>子宮頸がんワクチン 定期接種化 リスクてんびんに[4月18日、中日新聞]
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013041802000142.html

※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。
http://ganseisaku.net/newsclip/


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日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール
マガジンを配信しております。
配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。
今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

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がん政策レター 2013/05/07(第94号)

発行所	   :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
発行人/編集長:埴岡 健一

住所	   :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101
Tel	   :03-3222-6532
Fax	   :03-3222-6535
E-mail	   :gan_newsletter@hgpi.org
Web	   :http://ganseisaku.net/
	    http://www.shimin-iryou.org/

Copyright(c) 2013 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター
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