配信日付:2013年06月18日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013/06/18(第97号) ■□ がん政策レター □■ 日本医療政策機構 市民医療協議会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策情報センター がん政策レターでは、各地の「がん患者アドボケート」による活動やがん対策 の好事例を紹介し、がん医療の“均てん化”を目指します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1] センター長コラム [2] がん対策レポート [3] インフォメーション [4] がん対策トピックス [5] がん対策ニュース ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [1] センター長コラム ● 岩手県でがん条例制定への動き 6月10日は、「岩手県議会がん対策に関する条例検討会」に出席し、「がん 政策の現状と課題」との演題で1時間半ほどお話をしました。触れたトピック は、岩手県のがんの死亡率などの数値の現状、がん計画などがん対策の概況、 各地のがん対策やがん条例の条文の好事例候補などです。 同検討会では、年度内のがん条例制定を目指しています。がん政策サミット に参加した経験のある議員が推進役となっており、そういう意味では、全国の がん患者アドボケートをはじめとした関係者のこれまでの取り組みが大いに岩 手県を刺激しているともいえそうです。今後、地域の住民・患者などの声を聞 くなどのプロセスを経て、条例案が取りまとめていかれると思われます。 会議に「全国のがん対策関係条例の構成」という資料が出されていました。 これまでに制定された24道府県の条例に関して、100近くの項目について条文 への記載の有無を分析した“星取り表”です。条例の制定に取り組む場合、議 会スタッフなどがこうした資料を作成するのが通例と思いますが、この表と各 条例を併せて読むと、とても勉強になります。県によって条例に盛り込んでい る幅が異なること、条例の内容がだんだん充実していく傾向があること、ある 県が新しい条項を入れるとそれに追随する県が増えること--などが改めては っきりと見て取れます。 「がん対策カルテ2012」を作成した際(2012年6月)には、長野県、静岡県、 滋賀県、佐賀県などでもがん条例制定の動きがあるとのことでした。その後、 新たに取り組みはじめたところがあるかも知れません。いずれにしても、年度 内に岩手県以外にも条例を制定する県が出て来そうです。 6月16日は、NPO法人ブーゲンビリアが主催した「いのちのバトン 薬はみん なで作るもの パート4 わかりやすい情報とは」に参加し、シンポジウム部 分の司会をさせていただきました。パネリストは、ブーゲンビリア理事長の内 田絵子さん、米国の患者アドボケートであるポーラ・キムさん、TBS報道局解 説委員の小嶋修一さん、厚生労働省研究開発振興課の佐原康之さん、国立がん 研究センターがん対策情報センターの渡邊清高さんでした(50音順)。 話題は多岐に及びましたが、次の2点がクローズアップされました。まず、 臨床試験検索サイトを患者や家族により分かりやすくすること。国立保健医療 科学院が従来から検索サイトを提供していますが、国立がん研究センターが3 月から同じデータベースを用いつつ、より使い易くした検索サイトをスタート しました。ただし、これをさらに使い易くしていくためには、もとのデータの 集め方などから工夫を加える必要があるのとの指摘が出ていました。 次に、臨床試験情報に関して患者・家族を案内するナビゲーター役が必要で あるということ。どんなに検索サイトや情報提供サイトを分かりやすくしても、 それだけでは深い理解には不十分で、質問に答えたり、考える際のガイド役に なってくれたりする人が欠かせないと、参加者の意見が一致していました。米 国でキムさんが開始したコールセンター(電話相談窓口)が紹介され、その充 実ぶりには感銘を受けました。公的な機関とNPOなどの両方が、こうしたナビ ゲーター業務を進めるべきとの意見がありました。 その他、「患者と医療提供者の間にはそもそも文化とコトバに大きな溝があ る。その間の“通訳者”の育成が大切」「現場の医療提供者で、臨床試験の情 報を選択肢の一つとして患者に提供できる人が少ない。医療者の教育や、医療 者が熱心に取り組める環境づくりも重要」「現状では、臨床試験サイトが使い 易くなっても、臨床試験が少ないために自分が対象となる臨床試験がないとい うことが分かる結果になりがち。いかに臨床試験を増やすかという観点も必要」 など、多様な意見も出ていました。 6月7日、政府は「科学技術イノベーション総合戦略」を閣議決定しました。 現在、厚生労働省、文部科学省、経済産業省の3省による「今後のがん研究の あり方に関する有識者会議」が、2014年度からの次期「対がん10か年総合戦略」 に向けて、「今後のがん研究のあり方について(報告書)」をまとめる作業を 行っています。昨年3月には、文部科学省と厚生労働省が「臨床研究・治験活 性化5か年計画2012」を発表しています。こうした大きな文脈の中においても、 この日のシンポジウムの「臨床試験に関する分かりやすい情報提供」というテ ーマは、大切なポイントのひとつとして位置づけられるでしょう。 (センター長 埴岡健一) 参考サイト >>都道府県のがん対策に関する条例 http://ganseisaku.net/law_state.html >>NPO法人ブーゲンビリア http://www.buugenvilia.com/ >>臨床研究(試験)情報検索(国立保健医療科学院) http://rctportal.niph.go.jp/ >>がんの臨床試験を探す(国立がん研究センター がん情報サービス) http://ganjoho.jp/public/dia_tre/clinical_trial_new/index.html >>科学技術イノベーション総合戦略 http://www8.cao.go.jp/cstp/sogosenryaku/index.html >>今後のがん研究のあり方に関する有識者会議 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000ahdf.html#shingi56 >>臨床研究・治験活性化5か年計画2012 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/dl/120403_3.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [2] がん対策レポート 今回はお休みさせていただきます。 次号をお楽しみに。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [3] インフォメーション 今回はお休みさせていただきます。 次号をお楽しみに。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [4] がん対策トピックス >>子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン〔6月17日更新、厚労省〕 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/ >>第3回がん診療提供体制のあり方に関するワーキンググループの開催について〔6月13日更新、厚労省〕 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000033fea.html >>第39回がん対策推進協議会開催案内〔6月12日更新、厚労省〕 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034b9a.html >>がん情報サービス〔6月7日更新〕 http://ganjoho.jp/public/index.html >>ぎふがんねっと〔6月17日更新、岐阜県〕 http://gifugan.net/ >>しまねのがん対策〔6月17日更新、島根県〕 http://www.shimane-gan.jp/index.html >>健康推進課がん対策室〔6月14日更新、秋田県〕 http://www.pref.akita.lg.jp/www/genre/0000000000000/1238473618657/index.html >>がんに関するイベントのお知らせ〔6月14日更新、千葉県〕 http://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/event/ganevent.html >>がん検診を積極的に受けましょう〔6月14日更新、神奈川県〕 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f417303/p443382.html >>広島がんネット〔6月14日更新、広島県〕 http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/ >>佐賀のがん情報〔6月14日更新、佐賀県〕 http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1019/gan/top.html >>北海道のがん対策情報〔6月13日更新、北海道〕 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/gantaisakujyouhou.htm >>青森県のがん情報サービス〔6月12日更新、青森県〕 http://gan-info.pref.aomori.jp/public/ >>がん相談のご案内〔6月11日更新、福井県〕 http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kenkou/gansoudan.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [5] がん対策ニュース >>子宮頸がんワクチン接種、推奨中止...副作用報告[6月14日、読売新聞] http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130614-OYT1T01159.htm?from=ylist >>がん医療ネット講座など「抜本的な改善を」[6月13日、CBNews] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130613-00000002-cbn-soci >>人工乳房、7月から保険適用...患者負担が大幅減[6月12日、読売新聞] http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=79424 >>混合診療拡大へ...抗がん剤からと規制改革に明記[6月12日、読売新聞] http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130612-OYT1T00706.htm?from=ylist >>現場から記者リポート:県内死因1位、がんへの備え 健康時に正しい情報/滋賀[6月11日、毎日新聞] http://mainichi.jp/area/shiga/news/20130611ddlk25040441000c.html ※がん対策関連のニュースは下記にまとめて掲載しております。 http://ganseisaku.net/newsclip.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センターでは定期的にメール マガジンを配信しております。 配信の停止をご希望の方は、下記事務局まで、連絡してください。 今後とも当機構の活動へのご支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ がん政策レター 2013/06/18(第97号) 発行所 :日本医療政策機構 市民医療協議会 がん政策情報センター 発行人/編集長:埴岡 健一 住所 :〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-10-101 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