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死亡率目標の独自設定に関するレポート

47都道府県のほとんどが、「がん対策推進計画」の策定を終えました。 その中には、多くの創意工夫も見られます。 ここでは、がん対策における20項目ほどの観点から、好事例となりそうな取り組みを紹介します。 他県でも参考になりそうな政策が、たくさんあります。 すべての県がこうした好事例に追随すれば、日本全体のがん計画が前進していく可能性があります。

 国のがん対策推進基本計画では、全体目標のひとつとして、「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」が決められている。この目標を10年間で達成することになっている。多くの都道府県がこれにならって「がんの死亡(75歳未満、年齢調整済)の20%削減」を全体目標に定めている。

 しかし、47都道府県の「がん死亡率」にあるように、都道府県のがんの死亡率には大きな格差が存在する。たとえば、がんの死亡率が全国ワースト5の県が、20%削減を目標にしてそれを達成しても、他の県が同様に20%削減を達成すれば、やはり10年後に全国ワースト5の位置づけは変わらない。現在、日本の平均より死亡率が高い県は、20%削減以上の目標を設定することが望ましいのだ。

 死亡率削減の目標設定に関して、独自の内容を盛り込んだのは、兵庫県、島根県、和歌山県、神奈川県。

 兵庫県は、「兵庫県がん対策推進計画(第3次ひょうご対がん戦略推進方策)」(2.29MB)の中で、次のように記述しています。
「具体的な目標値については、国の計画と同様の今後10年間ベースで『がんによる年齢調整死亡率(75歳未満)の25%減少』とし、本計画の5年間では、『がんによる年齢調整死亡率(75歳未満)の16%減少』とする。なお、『がんによる年齢調整死亡率(75歳未満)の16%減少』を人数換算すると、平成17年(直近データ)を基準に、75歳未満のがん死亡者を平成24年に900人減少させることとなる」

 和歌山県も、「和歌山県がん対策推進計画」において、国より高い目標設定を行った。

 「本県においては、がんによる死亡率が全国的に見て高水準となっています。/そこで、本県のがんの克服に向けた第一歩の目標としては、国の目標を達成することに加え、75歳未満の年齢調整死亡率を、全国の平均水準にまで減少させることを目標とします。すなわち、平成17年の国の75歳未満の年齢調整死亡率(92.4)の20%減の数値(73.9)と和歌山県の75歳未満の年齢調整死亡率(平成17年98.5)を同水準にするためには、25%の減少が必要となります。/したがって和歌山県では、『10年以内に年齢調整死亡率(75歳未満)の25%減少』を目標とします」

 島根県は、「島根県がん対策推進計画」で、男性と女性の死亡率削減目標を別々に設定した。男性の死亡率が全国より高めであることを踏まえたものだ。

 「男性の年齢調整死亡率は全国値より高いことを考慮し、平成27年までの10年間で年齢調整死亡率を男性は26%低減、女性は20%低減することを目標とします。
 したがって、本計画終了年度の平成24年までには年齢調整死亡率を男性は20%低減、女性は14%低減することを目標とします」

 一方、神奈川県は「神奈川県がん対策推進計画」に該当する「がんへの挑戦・10か年戦略(改訂計画)」(4.02MB)において、ユニークな目標設定を行った。都道府県がん死亡率を全国47都道府県中のベスト10にするというものだ。

 計画には、「がんによる死亡(人口10万人あたり年齢調整死亡率)の引き下げを図り、都道府県別の比較で死亡率の低いほうから10位(ベスト10)以内を目指します。このため、特に、他県に比較して死亡率が高い男性の大腸がん、女性の乳がん、死亡数が多く増加している男性の肺がんについて、死亡率の引き下げを目指します」と書かれている。

 さらに、疾病別にも記載があり、「がん年齢調整死亡率低いほうから10位以内←平成12年度男性22位・女性31位(平成17年度男性20位・女性36位)/大腸がん(男性) ワースト4位からベスト10位以内へ(平成17年度ワースト8位)/乳がん(女性) ワースト2位からベスト10位以内へ(平成17年度ワースト2位)/肺がん(男性) 急増をストップ」としている。

 三重県は、がんの死亡率が全国平均より低いが、それを維持するという目標設定の仕方をした。「三重県がん対策推進計画」に該当する「三重県がん対策戦略プラン改訂版」の中で、「本県におけるがんの年齢調整死亡率2は、全国平均と比較して低い水準にあることから、今後もこの状況を維持するだけでなく更なる減少をめざします。目標値については、計画期間中のがんの年齢調整死亡率(75 歳未満)を、国平均値よりもマイナス10%以上とすることをめざします」とした。

 がん対策推進計画において、「計画全体の数値目標」と位置づけられる死亡率減少の目標数値はもっとも重要な数字と位置づけられる。これを達成するために、個別目標をはじめとしたそれぞれの目標や施策があると考えられるからだ。今後、死亡率減少目標が達成できているかが、継続的にモニターされることになるわけだ。死亡率減少目標を独自設定した県は、がん対策全体に前向きな姿勢を持っている可能性が高い。


●参考サイト
47都道府県のがん死亡率
http://ganseisaku.net/gap/data/gan/prefectures/shibouritsu/
がん対策推進計画(県別)
http://ganseisaku.net/practices/archives/plan/local/gan_keikaku.html

●参考記事
「あなたが住む県は、がんの死亡率が高いですか? 県別の“死亡率ランキング”に注目しよう」(がんナビ、2007年12月04日)
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/report/071204_01.html

※報告内容は、掲載当時のものです。

更新日:2011年01月18日

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