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第27回がん対策推進協議会

第27回がん対策推進協議会が、11月2日、厚生労働省内で開かれ、がん登録に関する集中審議とがん患者が直面する就労問題などについてのヒアリングを実施。がん体験者からは、がんになったことで働くことが出来るにも関わらず解雇されるなど不当な差別を受けないための法整備を求める声が相次ぎました。

 第27回がん対策推進協議会では、まず、がん研究専門委員会が「今後のがん研究のあり方について」と題した報告書を提出。協議会の委員からは「国民、患者が臨床試験を理解し、参加してくれなければがんの研究や治療薬の開発は進まない。患者と医療者が医療を育てていくということを次期がん対策推進計画の文言に入れていただきたい」(国立がん研究センター理事長・嘉山孝正さん)との発言がありました。

 同専門委員会のメンバー以外の複数の委員も、ドラッグ・ラグの解消、日本発の新薬開発のためには、がん患者や国民の臨床試験に対する理解が不可欠であることを強調しました。

  社会保障番号導入を合わせて検討すべき


 がん登録についての集中審議では、法制化を求める意見が相次ぎました。また、社会保障番号制の導入に賛同する声がありました。

 「がん登録を徹底してやるなら法制化が必要ではないか」(NPO法人グループ・ネクサス理事長・天野慎介さん)

 「がん登録を定着させるためには、登録実務者の地位向上策を計画の中に盛り込むべき。また、情報の受け手となる国民や患者も、がん登録によって公表された数字の読み方も勉強していく必要があると考えています」(NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会理事長・松本陽子さん)

 「がん登録を進めるキーは、社会保障番号のような個人認識番号制度の導入にあるのではないか」(東京大学医学部附属病院放射線科准教授・中川恵一さん)

 ただ、「社会保障番号制については、どのように悪用されるか分からないなど不安視されている面がある。ゲノム情報も含めて個人情報保護の安全性をどう担保するかが重要であり、慎重に考えたほうがよい」(日本医師会常任理事・保坂シゲリさん)との意見もありました。

  がん患者に対する不当な就労差別の撤廃を


参考人として提言する櫻井さん
参考人として提言する櫻井さん
 「サバイバーシップ・経済負担」の参考人として参加したNPO法人HOPEプロジェクト理事長の桜井なおみさんは、2010年にインターネットと書面で実施して発表したアンケート調査「がん罹患が及ぼす家計への影響調査」の結果を説明。

 調査によると、就労者のうち34%が依願退職、解雇、廃業、休職・休業という形で仕事に影響を受け、定期的な収入があった20歳から69歳の67%が減収、平均年収減少率は36%でした。個人事業主も事業への影響があった人が72%、17%が取引先との関係に影響が出ています。その結果、治療方法を変更・中止した人は全体の8~9%に上ったといいます。

 「仕事の切れ目が金の切れ目、金の切れ目が命の切れ目、残念ながらこれが日本の現状です。がん経験者・家族が直面する就労、経済的負担という社会的痛み解決に通じる言葉をぜひ、次期がん計画に刻み込んでいただきたい」。桜井さんは、7年前、乳がんになって退職に追い込まれた経験を交えて、社会的痛みの改善を訴えました。

 また、「がん患者・家族の就労問題」をテーマに話した獨協医科大学公衆衛生学講座准教授の高橋都さんは、次の3点を提言。(1)本人・家族、人事労務担当者・上司・同僚、治療医、産業保健スタッフ、地域の相談支援センターや患者会など、ステーホルダー間の意見交換の推進(2)就労可能者への理不尽な差別の撤廃(3)日本人のがんイメージ改善の推進--。「がん患者を特別扱いするのではなく、『働きづらさ』を抱える人々の一部と位置づけ、不当な差別を受けないように、障害者差別禁止法のような法制化を考える必要がある」と強調しました。

 就労問題に対しては、「医師が就労の問題を理解することで、夜間の治療を行うなど働きながら治療をする患者への対応も進むのではないか」(NPO法人ミーネット理事長・花井美紀さん)、「愛媛で行ったがん患者満足度調査では、派遣、パートの方の半数は罹患によって職を失っています。派遣、パートの方々は収入8割減という厳しい現実があります」(松本さん)といった声も出ています。

 一方、がん検診については、大阪府立成人病センターがん予防情報センター疫学予防課の中山富雄さんが、「地域でのがん検診の取り組みの実情」と題して発表。「受診率を上げたくてもがん検診を行う医療機関が足りず、予算規模が少ないため、小さな市町村単位でのがん検診事業の運営には限界がある。国民に広く検診を受けていただくためには、実施主体を保険者にするなどの抜本的な対策が必要ではないか。また、検診の精度を上げるためには、検診機関の外部評価を担う機関を作り立ち入り検査を行うことなども必要」と提言しました。

 次回の協議会は11月21日に、サバイバーシップと経済負担、就労支援、がん予防・検診についての集中審議と、「がん対策の指標」に関するヒアリングを実施する予定です。
  (医療ライター・福島安紀)

関連サイト

第27回がん対策推進協議会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001tpur.html

厚生労働省関係審議会議事録等 がん対策推進協議会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008fcb.html#shingi1



(更新日付:2011年11月14日)

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