新会長の下、患者が参賀する意義を再確認 |
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3人の患者委員が新たに加わり次期計画案策定へ |
新会長の選出にあたっては、候補として大阪大学理事・副学長の門田守人さんと国立がん研究センター理事長の嘉山孝正さんが推薦されました。候補者2人が運営方針を述べた上で、無記名投票が行われるという異例の展開になりました。
嘉山さんも、この協議会が患者の意見を聞く重要な会であると改めて強調し、がん研究センター理事長として新会長の下で全力で貢献していく、と協力することを約束しました。
会長代理には、「患者目線を重視したい」という門田さんの指名で、前期に引き続き、患者関係委員でグループ・ネクサス理事長の天野慎介さんが就任。また、小児がん専門委員会の委員長には、委員としての任期を満了した広島大学自然科学研究支援センターの檜山英三さんに代わり、大阪市立総合医療センター副院長の原純一さんが選ばれています。
希望を持って病気と向き合える対策を |
3期目の協議会の目下の課題は、来年度から5カ年計画で始まる次期がん対策推進基本計画案の策定です。5カ年計画の初年度に当たる来年度の予算編成の準備はすでに始まっており、予算に関する項目は遅くても7月までに提案しなければ間に合わない状況です。
さらに、前期から引き続き委員を務める周南いのちを考える会代表の前川育さんは、「現計画で重点的に取り組むべき課題とされた項目が進んでいるかといえば恐らく進んでいない。次期計画では、しっかり実施できて患者さんがよかったと思えるような計画になれば」と話しました。
3期目の患者、家族、遺族を代表する委員は、天野さん、松本さん、前川さん、花井美紀さん(ミーネット理事長)、眞島善幸さん(パンキャンジャパン理事)の5人です。
秋までに重要項目を集中審議 |
次期計画案の作成の仕方については、それぞれの立場から意見が出されましたが、名古屋市病院局長の上田龍三さんは、「中間報告を見ると、問題点を列挙して終わっている。今後の審議は、それをどのくらい具体的にするか。自分たちの立場で本当にやっていきたい項目を次回までに会長へ提案するくらいでないと解決しない」と指摘。また、がん医療の均てん化と病院の連携について、「患者さんのためには、しっかりと連携した中核病院、その上に拠点病院があるという“面”の考え方を実現することが一番大事ではないか」と提言しました。
ドラッグ・ラグ解消に向けた検討など、ほかの検討会で審議が進んでいるものもあり、「必要に応じて健康局以外に医政局などの担当者も呼んで効率的に議論を進めるべき」との意見も出ています。
なお、今回、新たに示された次期計画案作成へ向けたスケジュールは以下の通りです。
1, 夏から秋ごろまでに基本計画に掲げられた7つの分野の変更について、集中審議も重ねながら議論
2, 専門委員会の意見を夏から秋ごろまでにとりまとめ、それを踏まえて本協議会で当該分野について検討
3, 協議会の意見を踏まえ、冬ごろまでに、厚生労働省が「がん対策推進基本計画の変更案」を作成
4, パブリックコメントの実施等を経て、2012年度当初に基本計画の変更を閣議決定
協議会は今後、秋まで概ね1カ月に1回開催される予定ですが、まだ議論されていない項目も多く、中身のある計画を作るためにはこれからが正念場です。時間がない中で、新会長がどうリーダーシップを取るのか、患者関係委員をはじめとしたさまざまな立場の委員がどう積極的な意見提出を行っていくのか、厚労省事務局が意見をどのように前向きに取り入れていくのか、今後の運営が注目されます。
(医療ライター・福島安紀)
(医療ライター・福島安紀)
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