拠点病院の指定と機能のあり方を集中審議 |
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第16回がん対策推進協議会では、冒頭、細川律夫厚生労働大臣があいさつ。前回、前々回と2回に渡って有志の委員が提出した「がん対策推進協議会運営の見直しに関する意見書」の内容を踏まえ、協議会の回数を増やし、厚労省としても真摯に協議会の意見を取り入れていくことを約束しました。
また、前回、一部の委員から解任を求められたために辞意を表明した会長の垣添忠生さんは、多くの委員などの慰留を受け、「任期(2011年3月までの予定)を全うして会長を務めさせていただく」と会長続投の意思を表明しました。
緩和ケアの専門委員会の発足を決定 |
2012年4月からスタートする次期がん対策推進基本計画の策定にあたっては、議論が必要で重要な問題については「集中審議」を行い、協議会委員以外の専門家による知見や検討が必要な分野については「専門委員会」を設置することが決まっています。
「がんになったら早期からの緩和ケアが必要ですが、現状はそうなっていません。緩和ケアについては掘り下げた議論が必要ではないでしょうか」(前川育さん・周南いのちを考える会代表)
「病院から退院して緩和ケアを受けたくても受け皿がない患者さんがさまよっている。在宅で療養困難な事例は今後増えることが予想され、そういった問題を専門的に検討する必要がある」(川越厚さん・パリアンクリニック川越院長)
専門委員会については、前回までに決まっていた「がん研究」「小児がん」に加えて、在宅医療を含む「緩和ケア」の委員会設置が決定しました。協議会委員として、がん研究の専門委員会には、野田哲生さん(癌研究会癌研究所所長)、小児がんの委員会には、天野慎介さん(グループ・ネクサス理事長)、檜山英三さん(広島大学自然科学研究支援センター長)の参加が内定し、近々、他の専門家を交えて検討を始める予定です。
相談支援センターが機能していない |
「外科医は全国レベルで不足しており、外科手術については集約化を検討せざるを得ない」(門田守人さん・大阪大学理事・副学長)
「薬物療法についても、ある程度集約化しなければクオリティが保てない。5大がんは拠点病院で、それ以外に関しては集約化などを含めて体制のあり方を考える必要がある」(南博信さん・神戸大学医学部附属病院腫瘍内科教授)
このように、がん種や治療法によって、集約化が必要なものがあるとの意見が多く出されました。さらに、二次医療圏に1つという拠点病院の指定の仕方について、天野さんらは次のように指摘し、都道府県によって柔軟な対応を求めました。
「昨年、提案書とりまとめワーキンググループで行ったタウンミーティングでは、二次医療圏に1つではなく、地域によって柔軟に運用できるようにしてほしいという意見が多かった。都道府県によって柔軟に対応してはどうか」
一方、拠点病院の機能として重視されているのが、「相談支援機能」です。2009年10月末に各都道府県から厚労省に提出された「がん診療連携拠点病院の現況報告」では、10年6月から7月の2カ月間に相談件数が0件だった病院が5施設あったことが報告されています。
これについて、安岡佑莉子さん(高知がん患者会一喜会会長)が、10年12月に行なわれた高知県がんフォーラムで実施されたアンケートによると、がんに関心のある人が集まったにもかかわらず、「相談支援センターの存在を知っていた」と答えた人が240人中21人だったと指摘。「国や県の補助金が出ている事業であるにもかかわらず、拠点病院の相談支援センターが機能していない。患者はもちろん、院内でさえセンターの存在が知られていないのは問題」と強調しました。
前川さんは、患者委員が自分の住んでいる県の相談支援センターが患者から見てわかりやすい場所に看板を出しているか、次回までにチェックすることを提案。「見に行きますと事前に知らせることで、病院側に看板を大きくしてほしい」と、現地訪問の前向きな効果に期待を表しています。
拠点病院に関しては、「そもそも、拠点病院の役割は何か。体制が不十分なところでも育てるために指定しようということでやってきたが、もう一期それを続けるのか、それとも思い切って集約化していくのか。拠点病院の指定をしている方々にも話を聞きたい」(本田麻由美さん・読売新聞社会保障部記者)といった意見も。次回の協議会では、参考人のヒアリングも行い、拠点病院について引き続き議論していくことになっています。
厚労省は、2011年5月ごろまで集中審議を行い、第2期がん対策推進基本計画の骨子案を作る方針を示しています。集中審議の項目としては、ほかに、相談支援、在宅医療、がん登録、がん検診・予防、化学療法・放射線治療、ドラッグ・ラグ、5大がん以外の難治がん対策、がん計画(全体目標とその評価指標と尺度)などが挙がっています。
(医療ライター・福島安紀)
(医療ライター・福島安紀)
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