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がん政策サミット2014 開催レポート

  「アウトカム志向のがん医療評価」
 東京大学大学院 医学系研究科 医療品質評価学講座 特任教授 宮田 裕章さん

成果を見るシステムを作り、各ステークホルダーが連携して改善を

 各地域で地域医療計画との連携の中で、それぞれが魅力ある医療を提供する必要があります。その際、評価の指標について、構造、過程、成果に分解するのが一つの視点です。日本は、今まで医者が何人いるか、病院の数など「構造」の議論を主体にしてきましたが、今後は成果(アウトカム)をみることが重要になってきます。

 先行事例を紹介すると、医療の質の評価をするために、外科領域でナショナルクリニカルデータベース(NCD)設立され、日本で手術を行っているほぼすべての施設が参加しています。このデータベースでは、単にデータを集めて終わりではなく、各施設にデータを全国平均と比較する形でフィードバックし改善をはかります。また、各疾患の診療ガイドラインの順守率を調べ、患者さんにとって価値の高い指標については守っていない施設に改善を促します。守られた結果がいい成果をもたらしたのか確認しながら新しいガイドラインを作るといったように、PDCAサイクルを回していくことも必要になります。

 患者市民の価値を中心にすることは、今後の日本の医療を世界で魅力のあるものにするうえでは必須の事項です。日本のがん対策は国民・市民の目線が入って評価されている点で先進的です。がん対策に関わるすべての人たちが協調する中で、目標設定を共有するがん対策を行うことで、世界に誇る日本の医療ができていくのではないでしょうか。

 例えば救急搬送緊急手術の標準化死亡比を都道府県別に検討し改善に取り組むということも有用な視点です。救急搬送を伴う緊急手術においては、患者側は病院を選ぶことができないので、搬送体制の整備、専門性の連携など地域単位での取り組みが重要になります。今後は地域全体をどういうふうに支えていくかといった視点が必須になっていきます。すでに、広島では、肺がん手術や心臓手術に関して、広島市内の4病院に集約化する方向で検討を進めています。アウトカム思考の客観的な指標によって地域のあり方を考え、いろいろな人が集まって地域の連携を考えていくことが何よりも重要です。
( 医療ライター・福島安紀 )



  アウトカム志向のがん医療評価 (15.1MB)


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(更新日付:2012年06月05日)

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